物音に誘われて
「よし、これで大丈夫そう」
ホイップ達が寝ている間、シオンがグツグツと野菜を煮込んで作ったスープの味見をする。テーブルにパンやサラダを置き全員の夕食の準備を終えたのを確認し、ラオとムギの食後のおやつも確認すると、ふぅ。と一つ一息つく
「そろそろ起こした方がいいよね」
キッチンの入り口の方を見て一人呟く。足音をたてないように階段を上り、ホイップ達三人が眠る寝室の扉をそーっと開ける。まだベッドで寝ている三人の姿を確認すると、ホイップとラオとムギの眠るベッドの間に来て、ホイップを起こすため体をユラユラと揺らす
「起きて、ご飯食べないの?」
声をかけてもホイップは起きず、今度はライとムギの体を交互に揺らし起こしてみてる。二人も起きず困ったシオンが、はぁ。とため息をつく
「どうしよう……。もう少し待ってから……」
また一人呟いていると、寝室の向こうから突然ゴツンと物が落ちたような物音が聞こえ、驚いたシオンが寝室の入り口の方を見る。ゆっくりと寝室の扉を開け廊下を見渡すと、アリエルの姿や他に人がいる気配もなく、首をかしげていると、書庫の扉が少し開いているのに気づいて、寝室を出て書庫に向かう
「誰かいますか?」
シオンが書庫の開いた扉の隙間から声をかけてしばらく返事を待ってみるが返事が返ってくることはなく、シオンが書庫の扉をゆっくりと開ける。開いてすぐ窓が少し開いているのに気づいて、窓を閉じるため一歩、書庫の中に入る。その瞬間、部屋中の本棚に入っていた無数の魔術書が、独りでに床に散らばり落ちた
「えっ、なんで……」
全て床に落ちた魔術書を見て呆然とする。部屋の中に進めないほどの魔術書を見渡した後、足元にある一冊の本を取り、表紙を見てページをパラパラとめくり、魔術に書かれた文字を指でなぞる
「この魔術、知ってる……」
「読んではダメよ」
突然背後から聞こえた声に驚いて、持っていた魔術書を床に落とした。パタンと床に落ちた音と同時にシオンが声のした方に振り向くと、家に居なかったはずのアリエルがシオンの足元に落ちていた別の魔術書を取り、パラパラと適当にページをめくりパタンと魔術書を閉じた
「あなたは読んではダメよ。三人を魔力に集中してもらってよかったわ」




