静けさを打ち消す光
ホイップが眠って数時間後、夜も更けアリエルの家の周辺にある木々に止まっている梟が鳴いている声が、シオン達のいる寝室まで聞こえてくる
「ホイップ、起きないね」
「魔力の使いすぎで、こんなに起きないのはじめてだね」
「うん、ホイップほアリエルさんの使い魔だから、魔力はすぐにもらって回復するならね」
ホイップの側でヒソヒソ話すライとムギの声が、寝室の静けさを打ち消す。その二人の話し声を窓辺に座り夜空を見るシオンが聞き耳を立てて聞いている
「アリエルさんは書庫に籠りっぱなしだし、つまんないね」
「そうだね。このままホイップが起きないと、お出掛けも出来ないかもね……」
ライが、はぁ。とため息つきながら、ふと窓辺にいるシオンを見る。ちょうど二人が見ていたシオンと目が合う。と、突然ライがなにか思い付いた顔をしてシオンの元に駆け寄る
「ねえシオンさん、ホイップ起こしてみてくれる?」
「……私が?」
「うん、シオンさんなら起こせそうだから」
「確かにそうかも」
と、ムギもライの提案に頷く。ライがシオンの腕を引っ張り、ムギがいるホイップが眠るベッドの隣まで引っ張られると、すやすや眠るホイップの体をユラユラと揺らす
「起きて。二人とも起きてほしいみたいだよ」
そう言いながらホイップの体を揺らし続けてみる。ユラユラと揺らす動きが大きくなり、強く揺らされてもホイップは目を覚ますことなく眠り続ける
「起きないね……。そんなに魔力を使ったのかなぁ」
「ねっ、なんの魔術を使ったんだろう?」
ホイップを見ながらヒソヒソと話すライとムギ。シオンがホイップの頬をつついて起こしてみても起きず、困ったようにため息をついて、ゆっくりと立ち上がった
「シオンさん、どうしたの?」
立ち上がったシオンにライが声をかける。寝室の入り口にいたシオンが少し振り向いてお腹を手で押さえた
「ちょっとお腹が空いたから、夜食を作ろうかなって」
「手伝うよ!」
シオンに返事をしながらムギが勢いよく立ち上がる。ライも立ち上がり、うーんと背伸びをした
「夜食っていうより、もう朝ごはんですね」
「そうだねー。時間あっという間に過ぎちゃった」
ライとムギが窓の方に目線を向ける。シオンも二人の後にさっきまでいた窓の方を見ると、暗かった空がいつの間にか少し明るく、木々の方からは小鳥のさえずりが聞こえていた
「じゃあ朝ごはんの時間に間に合うように、急いで作ろ。ご飯の気配で、きっと起きるかもしれないからね」




