おやつの後に
「ムギ、それ食べちゃダメ」
「なんで?ライだって食べたでしょ?」
「そんなに食べたら、アリエルさんの分が無くなっちゃうよ!」
「まだおかわりあるから大丈夫!」
たくさん食べるライとムギに注意をするホイップの声とそれを拒否するライとムギがリビングに響く。三人のやり取りを微笑ましく見ている中、シオン一人だけまだうつ向いているのに気づいた
「おかわりいるかしら?」
「……いえ、大丈夫です」
か細い声でアリエルに返事をするシオン。持っていたフォークをお皿の上に置く。二人の会話を聞いた三人が話を止め顔を見合わせ、そーっと椅子に座りなおす。少し騒がしさが落ち着き、少し気分を変えようとアリエルがパンッと手を叩いた
「さて、そろそろお片付けをして、食後のおやつにしましようか」
「すぐに用意します!」
アリエルの言葉にライとムギが返事をしつつ、手を上げ椅子から立ち上がる。そのまま二人でキッチンにあるおやつを取りに手を繋ぎ走り去っていった
。去っていく二人の後ろ姿を見ていると、いつの間にかホイップが隣に立ち、目の前にあるお皿を手に持っていた
「お片付けしますね」
「……ありがとう」
シオンとアリエルのお皿を持ち、ホイップもキッチンへと向かっていく。リビングに残った二人が会話をする間もなく、ライとムギが大きなお皿にたくさんのおやつを乗せ持ってきた
「今日のおやつはなにかしら?」
「今日はマカロンにしました!」
「ライとムギが頑張って作りました」
ドンッと勢いつけて、カラフルなマカロンがたくさん乗ったお皿をテーブルに置く。置いた勢いで、茶色いの生地のマカロンがコロコロ転がり、シオンの前に止まった
「それをいただきますか?他も好き物があればどうぞ」
ライが手のひらサイズのお皿をシオンに渡す。受け取ったお皿の上に茶色いのマカロンを一度乗せる。すぐに食べずにふと、アリエルに目線を向けると、マカロンを一つ取り食べていた
「美味しい。これ魔術で作ったの?」
「はい。上手く出来て良かったです」
ライとムギも食べはじめると、キッチンから戻ってきたホイップも椅子に座り、カラフルなマカロンをどれを選ぼうか悩んでいる
「そうだ。シオンさんは何の魔術が得意ですか?」
ムギがマカロンを食べながら話しかけた。ちょうどお皿の上に置いたマカロンを食べようとしていた
シオンの手が止まる
「得意な魔術……」
そう呟き、マカロンを見つめ動かなくなったシオン。返事のないシオンに怖くなったムギがライに近づき、ぎゅっと体を抱き締める。ホイップも心配そうにシオンを見ている。アリエルがまたパンっと手を叩き、三人の目線をアリエルに向けた
「そうだ。お風呂を用意していたわ。ホイップ、案内してあげて」
「はーい」
「二人はおやつを食べたら、キッチンの片付けをお願いね」
「わかりました……」
ライとムギがアリエルに返事をしてまたマカロンを食べはじめる。ホイップは椅子から立ちあがり、シオンの隣に移動した
「シオンさん、お風呂に案内しますね」
にこりと微笑み話しかけたホイップに答えるように、シオンがゆっくりと椅子から立ち上がる。ホイップと二人でリビングを去ると、ムギがライを抱きしめていた手を離し、食べ残していたマカロンを食べはじめる
「ライ、ムギ」
おかわりを取ろうとしていた二人に声をかける。もう数個、手に取っていた二人が固まりアリエルを見る。紅茶の入ったティーカップを取り、一口飲む。コトンとテーブルの上にティーカップを置くと、マカロンを手に持ったまま言葉の続きを待っているライとムギに向けてにこりと微笑む
「この家にこれからまた楽しい日々があると思うと楽しみね。二人とも」




