魔力の影響
「シオン、どうしてこうなったか分かる?」
シオンの体に乗るカナメの手がシオンの首もとに触れる。カナメがほんの少しシオンに近づき顔が近づくとシオンが苦しそうに何度か咳き込む
「分かっていたなら、こうなってないよ。重たいんだから早く退いて」
「今はダメ。ちゃんと魔力をもらってから」
シオンの言葉にカナメがクスッと笑う表情が、満月の逆光で隠れた
「ちょっとライ!シオンさんに乗っちゃダメだよ!」
「だって、ムギが意地悪するんだもん。注意するならムギに言って」
騒がしい二人の声が聞こえたシオンがゆっくりと目を開ける。声と共に視界に入ったのは、ベッドに眠るシオンを跨いで立っているライの後ろ姿。何が起きているのか分からず、ライとムギの会話をボーッと聞いていると、起きていることに気づいたムギがシオンに向けて指を指した
「ライ、シオンさん起きてるよ。早く退いて!」
ムギの言葉にライが振り返る。シオンと目が合い慌ててベッドから降りる。シオンがゆっくり体を起こし、ふぅ。と一つ深呼吸をすると、今度は掃除をしていたホイップがシオンに近づき顔色を見る
「シオンさん、気分はいかがですか?」
「大丈夫……。でも私、また眠ってたの?」
「はい。覚えていませんか?」
「二人が話していたのは覚えているけれど……」
「この家にある魔力や結界の影響を受けているかもとアリエルさんが言っていました。落ち着くまでは眠ってしまうかもしれませんね」
「そっか……」
シオンがホイップにため息混じりに返事をすると、二人の会話を聞いていたライがふと窓を見た
「雨止んでる!ムギ、ちょっと外に行こう!」
「本当だ。行こう!」
窓を見てすぐ手を繋ぎ寝室を出ていったライとムギ。バタバタと階段を降りる足音がすぐに聞こえなくなった
「二人とも、ちょっと」
ホイップも二人を追いかけ寝室を出る。すぐに三人の足音が聞こえなくなり、一人寝室に残ったシオンがゆっくりとベッドから降り、部屋の窓から外を見る。家の外出たライとムギが濡れた地面を蹴り、靴を濡らし汚している。ホイップが二人を追いかけ、三人の服が泥まみれになっていくのを見た後、空を見上げ、雲に隠れている月を見た
「魔力の影響って言うのなら、見た夢も魔力の影響で見ていたのなら、私の忘れていた記憶の夢か……。あの人は誰だろう」




