雨音を聞きながら
「ごちそうさま」
スープを飲み干したシオンが手を合わせる。先に食べ終え魔術書を読んでいたアリエルが一瞬、視線をこちらに向ける。リビングにある別のテーブルを拭いていたホイップもシオンを見て駆け寄る
「私がお皿を片付けます。置いていてください」
「ありがとう」
椅子に座ったまま、ふぅ。と一息ついていると、テーブルを拭き終えたホイップがシオンのお皿を持ちリビングから出ていく。再びアリエルと二人きりになったシオンがふと、リビングの窓を見る。まだ降り続けている雨を見ていると、アリエルが読んでいた魔術書を閉じた
「雨は好き?」
「雨音とか雨の匂いとか、嫌いじゃないので好きな方なのかも」
「それは良かったわ。あのスープを作った人は、髪が濡れるから嫌いっていつも言うのよ」
そう言いながらアリエルがクスクスと笑う。シオンがその微笑みを見ていると、寝室で寝ていたライとムギが目を擦りトボトボと歩いてリビングに入ってきた
「ライ、ムギ。おはよう」
アリエルの隣に来たライとムギに声をかけるが、二人は返事をせず目を薄め、二人同時に大きなあくびをした
「あらあら。二人とも魔力の使いすぎね」
「アリエルさんが、宿題をたくさん出すからですよ」
「そうね。今度から気をつけるわ」
謝りながら二人の頭を撫でていると、片付けを終えたホイップもリビングに戻ってきた
「ホイップ、おはよう」
ライがホイップにぎゅっと抱きつく。ムギもホイップに抱きついて、リビングの入り口が少し狭くなる
「おはよう。二人ともちょっと眠りすぎね」
「ホイップ、アリエルさんとおんなじ事言ってる」
ムギがそう言い返すとホイップがフフッと笑う。先にホイップから離れたいたライが雨音に気づいて窓に駆け寄る
「雨だ。まだ降っていたんだ」
そうライが言うと、ホイップに抱きついていたムギもライの隣に来て窓から外を見る
「本当だ。早く止まないかなぁ」
「ムギは雨が嫌いだね」
「うん、だってライと外で遊べないもん」
二人が楽しそうに話している。その後ろ姿をボーッと見つめているシオンに気づいたホイップが隣に来て顔を覗き込む
「シオンさん、どうしたか?」
ホイップが心配そうに聞くと、ずっと様子を見ていたアリエルがテーブルに置いていた魔術書を手に取り読みはじめた。ホイップがシオンの返事を待っている間も、シオンはライとムギの後ろ姿を見て、ゆっくりと一度目を閉じた
「長い髪の人とよく同じ会話をしていたなって思って。とても懐かしい」




