返事の代わりに
「そんな怒った顔しないで」
ホイップ達と会話を終えたアリエルが少し困ってクスッと笑う。アリエルが話しかけた相手は、返事をせず頬を少し膨らませながら、アリエル前に冷たい飲み物が入ったコップを置く
「カナメ、聞いている?」
「聞いているから無視しているの。分かっているでしょ?」
そう言いながらテーブル越しにアリエルの向かいに腕を組みアリエルの顔を見ないように体を横にして椅子に座る
「いつからいるの?」
「最近ね。気づいてたでしょ?」
アリエルが差し出されたコップを取りながらカナメの質問に答えると、またカナメはアリエルの話を無視して顔を背ける
「数日前に、ライとムギが倒れているところを見つけたのよ。案の定、魔力もないし記憶もないの。だからちょっと会ってみる?」
紅茶を飲んだアリエルがカナメにそう聞くと、相変わらず返事をしていなかったカナメが突然、椅子から立ち上がり、コンロの前に立つとコンロの上に置いていたお鍋に入っていたスープを小さなお鍋に入れはじめた
「お土産よ。お買い物に行くんでしょ?早く帰ってあげて」
カナメが小さなお鍋をアリエルに差し出す。椅子から立ち上がり、まだ少し温かいスープが入った小さなお鍋を受け取ると、カナメがアリエルを見ないようにプイッと顔を横に向け、紅茶を飲み干したコップを取りシンクに持っていく。ガチャガチャと少し食器の音を立てながら洗うカナメの後ろ姿を見て、アリエルがまた困ったように笑う
「カナメ、また来るわ。シオンに会いたくなったらいつでも呼んでね」




