今は心穏やかに
「見つかったのね。良かったわ」
アリエルがホイップから受け取った魔術書をパラパラとページをめくる。最後のページを確認し、パタンと魔術書を閉じると、隣でうつ向いているホイップに気づいた
「どうしたの?」
アリエルがホイップに声をかけると、ゆっくりとうつ向いていた顔を上げ、胸に手を当て一歩アリエルに近づく
「その……。シオンさんが見つけてくれたのですが……。私が魔術書に気づかないなんて、ありえません」
「そうね。ホイップには不思議に見えるわね」
ホイップの話にアリエルがフフッ笑いながら返事をながら魔術書を本棚に戻すためホイップから少し離れる。思っていた反応とは違っていたホイップは、アリエルが魔術書を戻す棚を探すアリエルを呆然と見ている
「それで、シオンさんは?」
目当ての本棚の前に着き、魔術書を本棚に戻しながらホイップに問いかけると、ホイップは書庫の隣にある寝室の方に顔を向けた
「えっと……。今は寝室で休んでいます」
「そう。ライとムギも一緒?」
「はい。寝室で一緒にいます。遊んで起こさなければいいですが……」
「遊んでも今日は起きないかもしれないわ。それより、二人を呼んで夕飯の準備をしてくれる?」
ホイップの隣を通りすぎ、他の本棚を見て回りながらアリエルがそう言うと、ホイップが慌ててアリエルの後追いかける
「それは構いませんが……。シオンさん、起きないんですか?」
「そうね、でもきっと今日だけよ」
「なんで分かるんですか?」
ホイップが問いかけると、目当ての本棚の前に着いたアリエルが新たに一冊、本棚から魔術書を取る。取った魔術書をまたパラパラとページをめくり、最後のページまで読み終えるとゆっくりと魔術書を閉じ、ホイップににこりと微笑んだ
「それはね、あの人が、魔術に好かれた人だからよ。ホイップ」




