つかんだ先に
「……あれ?」
シオンが瞬きをした瞬間、見慣れたはずのアリエルの家が、いつもと違う雰囲気が流れた。リビングの椅子に座り、すぐ側でライとムギが騒がしく遊んでいたのを見ていたはずなのに、なぜか二人は側におらず、リビングをキョロキョロと見渡す。掃除をしていたはずのホイップも居る様子もなく、少し不安になって座っていた椅子から立ち上がり廊下に出る。階段を見たりキッチンの方を見ても三人やアリエルの姿は見当たらず、首をかしげる
「外にいるのかな?」
家の中を見渡しながら外に出る。玄関の扉を開けると、風がふわりと吹いてシオンがぎゅっと目を閉じる。向かい風が家の中に入っていく中、シオンの顔の横を何かが通りすぎていった。ゆっくり目を開けると、家の前にある草むらの前に一冊の本が浮かんでいた
「あれって、探している本かな?」
そう思い、本に向かって歩いていく。ゆっくりと向かっていく中、本は草むらの前で動かずに止まっている。シオンが本の前に立つと、本をじっと見つめた後、そーっと手を伸ばした
「シオンさん!」
本に触れる瞬間、名前を呼ばれ、ハッと目を覚ましたように目を開ける。リビングのテーブルに顔を横にし突っ伏していた体を上げると、ホイップやライとムギが心配そうな顔でシオンを見ていた
「大丈夫ですか?うなされていましたよ」
「うん、大丈夫……」
「疲れていますか?お食事が出来るまで、寝室で休みますか?」
「……そうしようかな。ごめんね」
ホイップの問いかけに答えると、ホイップがライとムギを手招きして呼ぶ
「ライ、ムギ。シオンさん用のお布団の用意をしてきて」
「はーい」
ライとムギがホイップに返事をしてパタパタと小走りで二階にある寝室に向かっていく。ガチャと扉の開く音がリビングに聞こえた
「シオンさん、二階に行けますか?」
「うん、大丈夫」
返事をし、ゆっくりと椅子から立ち上がる。その時、カタンとテーブルの下から物音が聞こえてホイップが少し体を傾ける
「何か落としましたか?」
ホイップに言われてシオンもテーブルの下を覗き込む。椅子の側に何かが落ちているのを見つけ手を伸ばしす
「落としたみたい。ごめんね」
謝りながら拾った物をホイップに差し出す。その差し出された物を見たホイップが驚いた表情をした
「これ無くなっていた魔術書です」
そうホイップが言うと、シオンも拾った物を見る。それは、さっき外で見た本と一緒で、シオンも驚いた顔で本を見る。ホイップが魔術書を受け取り、ページを開いて確認しようとした時、またパタパタとこちらに向かってくる足音が聞こえた
「シオンさん、ホイップ!準備できたよ!」
就寝の準備を終えたライとムギが元気よくリビングに入ってきた。ホイップが慌てて魔術書を閉じ、無くさないようにぎゅっと強く抱きしめた
「では、この魔術書は預かっておきますので、シオンさんはゆっくり休んでいてください」




