今日のオススメ
一歩その頃、ルノート村では多くの人々がガヤガヤと行き交っていた。村で買い物中のカナメも、道端でお喋りをする女性二人の横を通りすぎ、行き慣れた八百屋の近くに着くと、通りすぎていく人々の間から、野菜を店頭に並べるナタリアを見つけ、駆け足でお店に向かう
「ナタリアさん、こんにちは」
野菜を置き、腰を叩いていたナタリアが声をかけられ振り向く。手を振り隣に駆け寄ってきたカナメに気づいて、にこりと微笑む
「おや、いらっしゃい」
「ナタリアさん、今日はどんな野菜がおすすめですか?」
「そうね。今日は……」
カナメの言葉を聞いて、ナタリアがお店の中の野菜を見渡す。カナメもナタリアが置いたばかりの野菜を見たり、話を聞いたりして、買い物を楽しむ。オススメされた数種類の野菜を買い買い物用の袋に入れた
「ありがとうございます。また来ますね」
「ああ。いつでもおいで」
二人とも手を振り、ナタリアは去っていくカナメを見送る。カナメの姿が人混みに紛れ見えなくなると、ふう。とまた腰を優しく叩いていると、背後から名前を呼ぶ声が聞こえてきた
「ナタリアさん、こんにちは」
ナタリアが振り向くと、シオンとホイップが立っていた。ホイップが手を振り、挨拶をしながらナタリアの側に来ると、シオンも挨拶代わりにペコリと少し頭を下げる。そんな二人にナタリアが微笑みながら、キョロキョロと二人の周り見渡す
「おや、今日は騒がしい子達はいないんだね」
「はい。二人は勉強中です」
「そうかい。それは大事な事ね」
ホイップの返事を聞いてナタリアがハハッと笑う。それにつられて二人も笑う
「さてと、今日は何を買うんだい?」
「えーと……そうだなぁ……」
ホイップがお店の中を見渡して何を買おうか悩む。たくさんある商品に目移りしていると、シオンが店頭に並んだ野菜を一つ指差した
「これ、買う?」
シオンが先ほどナタリアが店頭に並べたばかりの野菜を指差す。ホイップが指差した先にある野菜を見ると、ナタリアがその野菜を数個手に取った
「これは今日のおすすめのトマトだよ。買っていくかい?」
「じゃあ、そうしような。なんの料理にしようかな……」
「スープとか、合わないかな?」
そうシオンが呟くと、ホイップが少し驚いた顔でシオンを見る
「スープですか……。そうですね、今日の夕ご飯にしましょう」
夕飯が決まり、ホイップが他の野菜や果物を大量に買う。ナタリアがテキパキと野菜や果実を袋詰めをし会計を終えるとシオンやホイップの両手は買い物袋で一杯になった
「明日は二人も一緒にまたおいでね」
「はい、ありがとうございます」
ナタリアに手を振り八百屋を去る二人。たくさん買った重みでシオンの歩く速度が少し遅くなる中、ホイップはスタスタとシオンの前を歩く
「まだ買うものがあるの?」
「はい。二人のおやつを買わなきゃいけませんから」
「そっか。そうだったね」
ホイップの返事にシオンが笑う。すると突然、前を歩いていたホイップが立ち止まりくるり振り向いた
「でも、シオンさんどうしてこの野菜を買おうと思ったんですか?」
ホイップがそう問いかけるとシオンが手に持つ袋を見る。袋を動かしたせいで潰れないように一番上に置かれたトマトが袋の中でコロンと一つ転がった
「なんとなく一緒がいいなって思ったの。ただそれでけ」




