探し物の行方
ホイップが二階に上がり、リビングに残されたシオンは用意してもらったフルーツを食べ、ムギははぁ。とため息つきながらソファーに移動し、うーんと背伸びをする。シオンが少し振り向いてリビングの入り口を見ると、三人の話をする声が聞こえてきた
「私もその魔術書を探した方がいい?」
「うーん、シオンさんは魔力が無さそうだから、どうなんだろう……。でも本は持てたから……」
シオンに聞かれて、ムギが腕を組み少し首をかしげ悩む。そんなムギを見ながら最後のフルーツを食べると、階段の方からバタバタと騒がしい足音が聞こえてきた
「ムギー。ちょっと来て!」
ホイップが二階からムギを呼ぶ。名前を呼ばれたムギがすぐにソファーから立ち上がり、リビングの入り口までバタバタと走る
「シオンさん、ちょっと行ってきますね」
そうシオンに声をかけ、またバタバタと走り、階段を駆け上がる。また静かなリビングに戻り、一人になったシオンは、フルーツを食べ終えたお皿を持ち椅子から立ち上がる
「本は持てたってなんのことだろう……」
そう呟きながら、お皿をキッチンへ持っていこうとした時、テーブルにコトンと何かが落ちる音が聞こえた
「なるほど。今度は水の魔術の本が無くなったと。まだ見つかってないの?」
「そうなの。最近は水の魔術は使ってなかったから、あるはずなんだけど……」
その頃、ムギと一緒に書庫に入ったホイップは、ライとアリエルの話を聞いて、書庫を見渡し歩いていた。一歩遅れてホイップの後を追うアリエルも本棚を見渡し、魔術書を探す。ライとムギは二人の邪魔にならないように、書庫の入り口前で二人の様子を見ている
「ホイップ、悪いけれど探してくれる?」
「仕方がないですね……」
アリエルに返事をしながら、はぁ。とため息をついて書庫の中をゆっくりと歩く。アリエルもライとムギが待つ書庫の入り口まで移動しホイップの様子を見守る。ホイップが本棚にある本を見ながら歩いていると、触れていないはずの本がガタガタと揺れはじめ、独りでに本棚から飛び出し、ホイップについていくように、周りに浮かぶ。次々と本棚から出てくる本と共に書庫の中を一周し、三人がいる入り口付近に近づくと、ホイップの周りについてきていた本達が、元いた本棚に戻りはじめた
「探している水の魔術書は、この部屋にはないようですね」
「あらそう……。他の場所には?」
「ないようです。この家に探している水の魔術書の気配はありません」
ホイップとアリエルが話している間に、ライとムギが書庫に入り、本棚を見渡す。ライが適当に一冊とりだし、パラパラとページをめくると、ムギも一緒にライが持つ本を見る。一通り見終えたムギが、アリエルと本棚を見るホイップに声をかける
「ねえホイップ。他に無くなっている本もありそう?」
「あるみたいだけれど、何かまでは……」
「アリエルさんも分からないの?」
「そうね。探そうにも、うまく邪魔されているのよね。困ったわ」
「……あの」
書庫にいる四人とは違う声が突然聞こえて、全員が驚き声のする方に振り向くと、一斉に見られ少し驚いた顔をしたシオンが書庫の入り口で、一冊の本を抱きしめ立っていた
「探していた本、リビングのテーブルの上にありましたよ。きっとたぶん置いていたのを忘れていたんですね」




