秘密のかけら
寝室の開いた窓から、朝の涼しい風が入る。ベッドから少しずれ落ちた掛け布団がそよ風でユラユラ揺れ、窓から迷い混んで入ってきた小鳥のさえずりで、寝ていたシオンが目を覚ました
「……誰も居ない?」
体を起こし、少し寝ぼけつつ寝室を見渡す。いつの間にか、騒がしい寝室に慣れていたせいで静かな部屋に違和感を覚えつつもベッドから降りて、寝室を出る。階段を降りると、ホイップとアリエルの会話が聞こえてくる。二人の声が聞こえるリビングに向かうと、テーブルに向かい合い話をするホイップとアリエルがいた。リビングの入り口で立っていると、シオンに気づいたホイップがにこりと微笑む
「シオンさん、おはようございます」
「おはよう。よく眠れたかしら?」
アリエルも入り口にいるシオンの方に振り向いて、にこりと微笑み声をかける。二人に返事代わりに少し頷いく。少しリビングを見渡すと、ソファーにライとムギがいることに気づいてふと二人を見ていると、ライとムギもシオンを見てすぐ目線を合わせないように顔をそむけた。昨日の夜とは違う二人の態度にシオンが困惑していると、ホイップがシオンを呼ぶように手招きをした
「夜中に一緒にクッキーを食べたことがバレたんです」
「そうなの?でも、なんで?」
耳元でヒソヒソと話す二人。その声がホイップの向かいにいるアリエルまで聞こえたのかクスクスと笑う
「クッキーのかけらがテーブルに落ちてたの。ちゃんと掃除したり、魔術で隠さなきゃね」
そうアリエルが言うと、ソファーにいたライとムギが立ち上がりシオンの所に来ると頬を膨らませ、ライがホイップとシオンの側にある棚を指差した
「シオンさん、ホイップ。あの棚にあるクッキーを食べましたね」
「なんでライが知っているの?」
「ちょっと前にムギと見つけていたの。今度、食べようと企んでいたのに!」
「そう。練習を頑張ったご褒美にしようとしてたのに」
「そうなんだ……。知られていたんだ。新しい隠し場所見つけなきゃ……」
ライとムギの話しにホイップが呆れ呟き、シオンも思わず苦笑いをする。その間も何やら文句を言い続ける二人の話を聞いていると、今度はアリエルがシオンにこちらに来るように手招きをする。シオンが気づかれないようにゆっくりと三人から離れ、ホイップの向かいにいるアリエルの隣に来ると、アリエルがシオンにヒソヒソと話しかける
「クッキーの味はどうだったかしら?」
「えっ?えっと、とても美味しかったです」
「そう、それは良かったわ。あのお菓子、私の大切な人も好きだったから」
「大切な人……」
シオンがそう言うと、アリエルがにこりと微笑んで、クッキーの話から、午前の予定の話しに変わっていた三人に向けて、パンッと一度、手をたたく。その音で、三人だけでなくシオンもアリエルに目線を向けると、ゆっくりと椅子から立ち上がった
「ライ、ムギ。お喋りはそこまで。ご飯を食べている間、私と魔術のお勉強しておきましょ」




