騒がしさは眠りを誘う
「ねぇライ、ちゃんと言った通りに作ったの?ムギもちゃんと作っているの?」
シオンが倒れていた場所からすぐ近くの一軒家に騒がしくも楽しそうな声が聞こえる。一軒家の中にある狭いキッチンで、真っ白な髪の小さな女の子がご飯を作るライとムギに指示しながら寸胴鍋に入った大量のスープをかき混ぜている
「合ってるよ。ホイップが言った通りにしてるよ」
注意されたライがホイップに言い返しながら踏み台を降り、切った材料をテーブルに置くついでに、ライが切っていた食材とは別の材料を切っていたムギを見て指差した
「ムギの方が間違ってるよ。ホイップ、注意してよ」
アリエルがガヤガヤと騒がしいキッチンから、温かいお茶を持ってシオンがいるリビングへと向かう。ソファーに座り、ボーッとしていたシオンがアリエルが来たのに気づいて、テーブルにお茶を置く
様子をまたボーッと見る
「どうぞ」
アリエルがキッチンから持ってきた温かいお茶が入ったコップをシオンに差し出す。コップから少し湯気が出ているお茶に、ふぅ。と息をかけゆっくりと飲む。アリエルもゆっくりとお茶を飲み、ふぅ。と一息つく
「体調はどう?」
うつ向きコップ入ったお茶を見つめるシオンに話しかける。声をかけられ、一瞬アリエルを見るが、返事はせず、すぐにまたうつ向く。二人に会話はなく、お茶を飲み、ゆっくりと時間を過ごしていると、ドタバタとまた騒がしい物音がキッチンの方から聞こえてきた
「ねぇホイップ、買ってきた食材はどこ?」
「知らないよ。さっきムギに渡したでしょ?」
「私だって知らないよ。ライが持っていたもん」
キッチンで食事の用意をする三人の声がリビングまで響く。アリエルがクスクスと笑って、ソファーから立ち上がった
「お風呂とお部屋の用意してくるわ。ゆっくりしてて」
シオンにそう言うと、リビングを出ていったアリエル。一人残されたシオンは、まだ持っていたコップをテーブルに置き、そっと目を閉じた
「お待たせしました!おやつです!」
「違うよ、ご飯だよ。おやつは後でしょ」
シオンが目を閉じてすぐ、バタバタとキッチンから走ってきたライとムギが出来立てのご飯を持ってリビングにやって来た。テーブルの上に持ってきたご飯を置き、ソファーを見ると、シオンが横になりスヤスヤと眠っていた
「あれ?寝てるの?」
「本当だ。せっかくのご飯なのに」
ライとムギがしょんぼりしていると、遅れてきたホイップも寝ているシオンを見て、ちょっと驚いた後、椅子にかけていたブランケットを取りシオンにかけてあげた
「ムギ、どうする?今、起こしちゃう?」
「ううん、アリエルさんに聞いてからにしよう」
「そうだね。呼びに行こっか。ホイップも行く?」
「まだ料理の途中だから私はいいわ。アリエルさんを呼んだら、干しているお洗濯物を取ってきてね」
「わかった。行こう、ムギ」
ライとムギが手を繋ぎ、アリエルを探しにリビングを出る。ホイップも二人の話し声と足音が二階に向かっていくのを聞きながら、リビングを出てキッチンに戻ると、テーブルの上に置かれた買い物袋の中を見て、腰に手を当て、気合いをいれるため、ふぅ。と一つため息をついて、買い物袋から材料を一つ取り出した
「あの人、どれくらい食べるかなぁ。ムギもライも一緒に食べるなら、頑張ってたくさん作んなきゃね」




