薄暗い扉の向こう
シオンが部屋の前の扉の前で、ふぅ。と一つ深呼吸をする。扉のドアノブに手を掛け、音を立てないようにそーっと扉を開ける
「すぐに開いた……」
開かないと言っていたホイップの言葉を思いだし思わず呟く。開いた扉を更に開け部屋の中に入る
「暗い……。明かりはないの?」
扉を開けっぱなしにして部屋の中を見渡す。扉の近くにあった電気のスイッチを見つけ、スイッチを押す。ついた電球は薄暗く、つける前とあまり変わらない部屋に、シオンがはぁ。とため息をつく
「……なにもない。片付けているって言ってたけれど、結界っていうので隠しているのかな?」
薄暗い部屋の中、かろうじて見えた部屋の壁一面にある本棚を見て呟く。足音を立てないようゆっくりと歩き、本棚に近づく。壁一面の本棚には、本は数冊しかなく、近くにある本棚にあった本を取ろうと手を伸ばした時、ガチャと扉が開く音が遠くから微かに聞こえた
「シオンさんが一緒に眠るならすぐに眠る!」
「そうだね。ホイップ、シオンさん呼んできて」
「もー、シオンさん、どこにいますか?」
少し開けていた扉の向こうからドタバタと騒がしくうるさい三人の声が聞こえてきた。伸ばした手を下げ、部屋から出ると、ちょうどホイップが部屋を出て階段に向かっていた
「シオンさん!いますか?」
階段から一階のリビングに向けて叫ぶホイップ。階段の持ち手に少し体を傾かせ、シオンからの返事を待っていると、二回の方からギシッと木の軋む音が聞こえて少し振り向くと、二階の廊下にホイップに近寄るシオンと、ちょうど部屋の扉を開け出てきたアリエルがいた
「シオンさん……と、アリエルさん」
ホイップの言葉を聞いたシオンが少し振り向く。すぐ後ろにさっきまでいなかったはずのアリエルがすぐ後ろにいて、驚いたシオンが一歩後退りをし、ホイップのいる方に振り向きなおした
「えっと……。呼んだ?」
「はい……。えーっとライとムギが一緒に眠ると騒いでて。お願いできますか?」
「うん、大丈夫。私も疲れて眠りたかったから」
寝室まで話し声が聞こえたのか、ライとムギも廊下に出てきた。アリエルとホイップを交互に見た後、二人の間にいるシオンも見つけて、二人一緒に手招きをする
「シオンさん。こっち、こっち」
「う、うん……」
シオンが寝室に近寄ると、ライとムギがシオンの腕をつかんで部屋に連れ込む。結局、すぐには眠らずベッドの上でシオンを囲みお喋りをする二人。楽しそうな二人の声が階段にいるホイップまで聞こえて、困ったようにため息をつく。アリエルも困ったように笑いながら側にいるホイップに声をかける
「ねえホイップ。二人の相手の途中で悪いけれど、少し熱めのお茶を用意出来るかしら?」
「ええ、わかりました。すぐに用意します」
アリエルに返事をしてパタパタと階段を降り、キッチンへと向かっていくホイップ。キッチンに入り、姿が見えなくなると、まだライとムギの楽しそうな声が聞こえてくる寝室を見て、アリエルがクスクスと笑う
「まだ魔力はないのね。ちゃんと魔力があればすぐに本なんて見つかったのに。残念だわ。シオン」




