静寂を遮る音
足音を立てないように一歩ずつゆっくりと階段を上る。そーっと廊下も歩いて、寝室の前を通ると、ライとムギのはしゃぐ声が扉越しに聞こえる。楽しそうな声を聞きながら、そーっと廊下を歩いてホイップがいるアリエルの寝室も通り過ぎ、廊下の突き当たりにある一室の前に着いた
「入れないって言ってたけれど……」
廊下に声が響かないように小声で独り言を呟く。部屋の扉を見渡し、少し振り向くと、まだライとムギのはしゃぐ声が聞こえてくる
「そうですね。ちょっとラキとムギのおやつを減らさないといけませんね」
一方その頃、アリエルの寝室ではホイップがアリエルのお願いを聞いて、深刻な顔で腕組みをしていた。話した内容よりも思っていたより深刻に捉えているホイップを見てアリエルフフッと笑う
「ちょっと難しいお願いだけど、頑張ってね」
「いえ、おやつの食べ過ぎは魔力に影響かもしれませんし、大丈夫ですよ」
「ありがとう。助かるわ」
アリエルに誉められて険しい顔から一変してニコニコと笑うホイップ。アリエルもホイップの笑顔を見てまた微笑む。と、突然扉の方に目線を向け、話しかけるホイップに返事をしないまま、扉をじっと見つめている
「アリエルさん、どうしましたか?」
「いえ、なにも」
「それよりまだライとムギが遊び足りなかったみたい。見てきてくれる?」
「わかりました」
アリエルに返事をすると、寝室の扉を開け、ライとムギのいる寝室に向かうホイップ。すぐ近くにいるシオンに気づかず二人のいる部屋の扉を開け、二人に注意をする。騒ぐ三人の声が扉を開けっ放しにしていたアリエルの寝室まで聞こえて、またアリエルがクスクスと笑う
「まだあの入るのは難しそうね」
と、ホイップが向かった方とは反対側、シオンがいる方に目線を向け、部屋の扉をそーっと閉じる。部屋にあるテーブルに左手を置き、右手の指をパチンと鳴らし、またシオンのいる部屋の方に振り向いた
「本当は勝手にあの部屋に入ってはダメだけれど、今回は特別よ。シオン、楽しんでね」




