一歩踏み出した後
片付けを終えたご褒美のおやつの後、お風呂上がりのライとムギがドタバタと騒いで走っている
「ムギ、ちょっとまって」
「ヤダ。ライ、イタズラするでしょ?」
ちょうどお風呂場から出てきシオンとホイップの前を二人が走り抜けていく
「二人とも走っちゃダメだよ」
ホイップが注意をしながら階段で遊ぶ二人に駆け寄る。シオンも少し遅れて階段に行くと、階段の側に置いている棚の上に置いていたアリエルが置いていた多数の本が、独りでに階段を上ろうとしていたムギに向かっていく
「当たらないもん!」
と、ムギが本に向かって左手を横に大きく振る。ムギに向かってきた本が方向を変え、ちょうどムギの隣に着いたシオンに多数の本が次々と向かっていく
「大丈夫ですか?」
足元が本だらけになったシオンに三人が慌てて駆け寄る。あたふた慌てるライとムギにシオンが二人の頭を撫でにこりと微笑む
「シオンさん、ごめんなさい……」
「当たってないから、大丈夫だよ、心配しないで」
「二人とも騒ぎすぎなの。もう今日は遊ぶの終わり。私が片付けるから、もうお部屋に行って、二人は先に寝てて」
ホイップが怒った声でライとムギに言うと、少し二人うつ向いて顔を見合わせる
「わかった。おやすみ」
「おやすみ」
寝室のある二階に上がる二人をシオンが手を振り見送る。パタンと寝室の扉が閉まる音が、ホイップが、はぁ。とため息をついて、廊下に散らばる本を一冊ずつ拾いはじめる
「もう少し魔術の練習が必要ですね。明日はもっと厳しく教えなきゃ」
「……ねぇ」
一緒に本を取っていたシオンが本を棚の上に置き直すホイップに声をかける。シオンが拾った本を受け取りながら返事をする
「はい。なんでしょうか?」
「練習の時、渡そうとしていた本、どこにあるの?」
「あの魔術書は、寝室の隣の部屋にありますよ。一応、魔術書なのでアリエルさんの結界は張ってあります。今、魔力があるかわからないシオンさんは簡単には入れないかもしれません」
「そうなんだ……」
まだ数冊廊下に残っていた本を取り、ホイップに渡す。本を棚の上に置き、二人がふぅ。と一息つくと、二階の自室で休んでいたアリエルが階段を降りてきた
「ホイップ、ちょっといいかしら?」
アリエルに呼ばれ、シオンを見るホイップ。目線があったシオンは、目線をそらすようにアリエルを見る。今度はアリエルと目線が合うと、アリエルがシオンとホイップに向けて、にこりと微笑む
「シオンさん、先に寝室に行って休んでください」
ホイップがシオンにそう言うとパタパタと早足で階段を上る。アリエルと合流すると、会話をしながらアリエルの部屋に入り、パタンと扉が閉じる音が一階に居るシオンまで聞こえた。一人残ったシオンは、辺りを見渡した後、二階に上がるため手すりに手を掛け、踏み板に右足を置いた
「寝室の隣の部屋か。見つからないように、ちょっとだけ寄ってみよう」




