似ているもの、似てないもの
ライとムギが魔術の練習をした数時間後、夕暮れのルノート村に、家に帰る子供達や夕飯の香りが漂う。ナタリアの八百屋の数件先の家からも窓から、食事を作る音や匂いが漂ってくる
「記憶と魔力は似ていると思う?」
椅子に座り、昨日とは違うスープをグツグツと煮込む。読んでいた本のページを閉じ、テーブルの上に置くと、スープをグルグルとかき混ぜた
「シオンは笑って答えてくれなかったけれど、きっと似てないって言いそうね」
スープを混ぜながら一人呟いていると、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。火を止め、パタパタと早足でノックが聞こえた玄関の扉を開けると、ニコニコ微笑むナタリアが立っていた
「こんにちは、カナメちゃん」
「こんにちは、ナタリアさん。どうしたんですか?」
「夕食を作りすぎたのよ。一緒に食べない?」
「私も少し作りすぎたんですよ。ぜひ分けあいませんか?」
「あらそう。じゃあせっかくだし、私の家で食べましょう」
「ええ。じゃあ、すぐに用意しますね」
そう言うとナタリアを家に招き入れる。会話をしながらキッチンに向かうと、スープの香りがより一層強くなり、カナメが鼻唄を歌いながら、食器棚から容器を取り出す
「今日はなんだかご機嫌ね」
「そうですか?きっとスープが上手く作れたからでしょうか」
「そうなの。それは楽しみね」
またスープをかき混ぜるカナメの隣にナタリアが来て、楽しくお喋りしながらカナメが容器にスープを注ぎ入れていく
「料理と似ているの?」
一方その頃、少し早めの夕食を終えたシオン達。ホイップと一緒に食器を洗いながら、ホイップと二人で話をしている
「ええ、私はとても似ていると思うんです。あの食材とあの調味料を合わせるとどうなるのか、魔術と魔術を合わせたらどうなるか、私はとても似ていると思うんです」
「ホイップはいつもそういうね」
リビングの片付けを終え戻ってきたライがシオンが返事をする前に言うと、一緒に来たムギもウンウンと頷いている
「そうかなー。でも、そう思うんだよね」
食器を洗い終えたホイップが首をかしげながら戸棚を探るライとムギの側に寄る。戸棚からお菓子を探し、あれこれお菓子を取り出すライとムギを注意するホイップを見ながら洗った食器を布巾で拭く。一通り吹き終えた頃にお菓子を選び終えたライとムギがお菓子を持ってリビングに向かっていった
「シオンさんもおやつを食べましょ」
「……うん。ありがとう」
シオンの分もお菓子を持ってリビングに向かっていくホイップの後ろ姿を見届け、拭き終えた食器を棚に戻す。その途中、ふとホイップの言葉を思いだし、そっと目を閉じ、ふぅ。と一つ深呼吸をした
「誰かが似たようなことを口癖で言ってたけれど、誰だったかな。」




