買い物終わり、一息つきながら
「アリエルさん、ただいま!」
ライとムギが一緒にバンッと勢いよく玄関の扉を開ける。アリエルのいるリビングまで聞こえる二人の声と足音で、静かだった家が一気に騒がしくなる
「お帰りなさい。だいぶ遅かったわね」
「ライとムギが寄り道ばかりするから」
「ホイップだって、シオンさんとお喋りばっかりしてたでしょ」
紅茶を飲み一息ついていたアリエルに返事をしながらリビングを通り過ぎキッチンへと向かうライとムギ。ほんの少し遅れてホイップもキッチンへ向かう。三人の楽しそうな話し声を微笑み聞いていると、だいぶ遅れてたくさんの荷物を持ったシオンがリビングに入ってきた
「あら、たくさん買ったのね。お疲れ様」
少し疲れた顔をしたシオンにアリエルが声をかけると、シオンがテーブルにふぅ。とため息をつきながら買い物袋を置く。置いた袋から野菜が落ちてコロコロとテーブルの上を転がる
「村はどうだった?」
「楽しかったです。みなさん、優しくて……」
ティーカップの隣に転がってきた野菜を取り、シオンに手渡しながら会話をする。のんびりとした時間が流れるリビングとは対照的にうるさいキッチンにいる三人の声が聞こえてきて、シオンが買い物袋を持ち、キッチンへと向かっていく
「ホイップ、おやつ食べよう。お腹空いちゃった」
「お片付け終わったらね」
テキパキと買ってきた食材を片付けていく三人。邪魔にならないようにそーっとキッチンに入ると、持ってきた買い物袋をテーブルに置いた
「ムギ、それはここの棚に。ライ、勝手に食べちゃダメ」
あれこれと指示していたホイップが、シオンが持ってきた買い物袋の中を見て、一個ずつ袋から取り出し、数個シオンに渡した
「これはライの近くにある戸棚に置いてください」
ライのいる場所を見ながらシオンにそういうと、買い物袋に残していた分の持ち、ムギのいるシンクの所へと向かう。シオンもライの所へ行き、一緒に片付けをしていると、シンクにあった食器がシオンの顔の横を通り過ぎ、食器棚の中に入っていった。少し驚いてキッチンを見渡すと、コップやお皿があっちこっちにキッチンの空中に浮かび、独りでに食器棚に入っていく。最後のコップが食器棚に入ると、ホイップがふぅ。とため息を着いた
「荷物はそうやって運べないの?」
「ええ。重たい荷物は不安定なって大変なので、使わないです」
「そうそう。使えなくなっちゃったの。前にライが買った物を魔術で飛ばしちゃって、それから禁止にしたんだよ」
ホイップの話の後、ムギがライを見ながら言うと、シオンも隣にいるライを見る。シオンと目線があったライが急いで残りの片付けをはじめる。ホイップとムギのお喋りが続く中、シオンも片付けの続きをはじめる。ホイップに渡された分を戸棚に入れ終え、ふぅ。と一息ついていると、同じく片付け終えたホイップ達も、背伸びをしたり椅子に座ったり休んだりしている
「やっとお片付けが終わったし、おやつにしよっか」
「やった」
ホイップの言葉にライとムギのテンションが上がる。何のおやつにしようか話していると、ホイップが、いつの間にかキッチンからシオンが居なくなっているのに気づいてキッチンを見渡す
「あれ?シオンさんは?」
ホイップに聞かれてライとムギもキッチンを見渡してシオンを探す。キッチンの入り口から顔を出し、廊下や他の部屋の前を見回してみるが、シオンの姿はなく、二人顔を見合わせて首をかしげる
「疲れて休んでいるのかな?」
「そうかも。おやつの準備が終わったら後で呼ぼう」
そう二人で納得すると、椅子に座り直しホイップとおやつの相談をはじめる。更に明るく楽しそうな声がキッチンから聞こえる中、2階に上がり寝室に着いたシオンは、窓辺ある椅子に座り、そよ風に当たりながら帰る途中拾った赤い果実を一口齧った
「まだ少し酸っぱいかな。でも、確か誰かがこれくらいが好きだった気がする……」




