表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その配信は【閲覧注意】~ダンジョン死亡配信録~  作者: にとはるいち
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/91

第73話 電ノコ少女とドラゴンと

 ドラゴンの登場で、事態はさらに悪化した。


 鱗に覆われた胴体が、第五層の空間を埋め尽くす。

 口から漏れる熱気だけで、喉が焼けそうになる。


「……クソ」


 最悪の乱入者だ。


 私は即座に距離を取る。

 リザは――逃げなかった。


「ははっ、いいのが来たじゃないか!」


 彼女は振り向きざま、チェーンソーをドラゴンに叩きつける。

 火花。金属音。だが、致命傷には程遠い。


 ゲンゾーの時は、共闘だった。

 しかし今は、全者が敵同士だ。互いが互いを相手取っている。

 一瞬たりとも気が抜けない。


<コメント>

・厳しい戦いすぎる

・これ神回でしょ

・撮れ高えぐい

・ドラゴンと探索者相手にするとかヤバ笑

・ヤヤコついに死ぬ?


 ドラゴンが咆哮する。


 衝撃波が走る。

 私は岩陰に身を滑り込ませ、衝撃をやり過ごした。


 その間も、リザは止まらない。


 ドラゴンの爪が振り下ろされる。

 彼女はそれを避けるどころか、さらに踏み込んで私へ向かってきた。


「隙ありだ!」


 信じられない。

 ドラゴンの攻撃を背中に受ける位置で、私を狙う。


 私は牽制のための電撃を撒き散らして、横に跳ぶ。

 距離、距離、距離。


 ドラゴンのブレスが地面を焼き、溶岩のように岩を溶かす。

 リザの背中を、熱風がかすめた。


 それでも、彼女は笑っていた。


「当たらなきゃ意味ないんだよ!」


 リザの斬撃が襲い掛かる。

 私はハンマーで防ぐ。


 それを何度も繰り返す。


 私は防戦一方だ。なんたって、ドラゴンの方にも意識を向けないといけない。

 攻め込む余裕なんてない。


 そして、リザの攻撃をかわした直後だった。

 ドラゴンの鋭い爪が襲い掛かってきた。


 ハンマーで受け止める……けど、衝撃が強すぎて吹っ飛ばされた。


「うぐっ……!」


 声をあげて、地面に転がる。

 私はすぐさま体勢を立て直そうとするも、目の前には、チェーンソーを振り上げるリザの姿があった。


 ――まずい。


 時間が引き延ばされるような感覚。


 早く動かないと、やられる。


「チェックメイトだね」


<コメント>

・うわ

・ヤバいヤバイ

・ヤヤコピンチか!?

・これはキツイ

・逃げろ!

・あかん

・早く!


 次の瞬間。


 ドラゴンの尾が、横薙ぎに振られる。


 鈍い音。


 リザの体が吹っ飛ばされて、岩壁に叩きつけられた。


「――っ!」


 着地しようとした彼女の足が、崩れる。

 無理な着地。明らかにおかしい。


 リザは片膝をつき、チェーンソーを支えに立ち上がろうとする。


 だが、足を折ったのか、動けないようだ。


「……チッ」


 それでも、彼女は私を睨んだ。


「まだ、終わってない……!」


 終わっている。

 少なくとも、ドラゴンはそう判断したらしい。


 巨大な影が、ゆっくりと彼女の上に覆いかぶさる。

 爪が持ち上がり、狙いは明確だった。


 ――トドメ。


 私は息を吸う。


「ひっ……」


 リザの顔を見た。

 意外にも、彼女は怯えていた。


 ゴーストが作り出すまがい物とは違う、本物の「死」の恐怖。

 すべての生き物が抗えない、根源的な恐怖。


 距離は、まだある。

 判断は、一瞬。


 ドラゴンの爪が、振り下ろされようとする。


 ――ここで。


 私は、ハンマーを構えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ