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森の娘と最後の騎士  作者: OWL
第二章 森の娘
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第19話 啓蟄にうごめくもの②

お城のお医者様やレベッカ先生達に魔術師達が協力したおかげでわりと早く感染経路は発見された。

飛沫は問題なく、人畜から吸血する小さな飛ぶ虫のせいらしい。

わたしとミリアムおねえさまの血に注意すれば問題ないけど、しばらくは研究棟の一階で生活することにした。

寝込むほどでは無いと主張したけど、日に日に体調は悪化していったので寝台に縛り付けられている。


「まったく、お前はどこでそんな病気を貰って来たんだい?」

「お嬢様は私達以外とはどこへも行っておられませんよ。普通に城内のどこかで噛まれたのではありませんか?」


でもレベッカ先生やハンネからは検出されなかった。

お城の使用人にも何人か感染者はいたけれども、城住みでなく城下町に住んでいる。

東の塔ではわたし一人だけ。


「姫様はいつも体にぴったり張り付く長袖に長靴下ですし、そうそう噛まれる機会も無さそうですけど」


感染する可能性が一番高そうなグリセルダも問題なかった。


うーん。


「そういえば、人畜からというと、鳥はどうなのでしょうか?」

「鳥からも吸うらしいぞ、或いは逆に鳥に食べられてるかもしれんが」

「では鳥の死骸からは?」

「どういうことだい?」


今度はミリアムさま、皆で相談中なのだ。

イーデンディオスおじいさまはもう重篤化していて来られない。

お歳もお歳だから心配だ。


「いえ、姫様はよく塔にお戻りの際に城壁から落下して死んでいるコローネを弔ってあげてましてたから」


グリセルダはいかにも魔女といった感じのミリアムさまが苦手そう。

他の研究者達みたいにちょっと特殊な扱いらしいけど、トレイボーンおじさまと違って魔術師としても優れた貴族だからね。


ああ、それだ。とミリアムさまが天を仰いだ。


「おや、ミリアム。貴女がそんな事をしていたとは人は見た眼では判断できないものですね」

「やかましい、通り道に落ちてたから邪魔だっただけだよ。ついでだよ」


オルプタさまにからかわれたミリアムさまが少し顔を赤らめて可愛らしい。


その後は論より行動だと動き出した魔術師達が、魔術で鳥達を狩り集め、死骸からも生きてる個体からも数羽血の中に潜む奇妙な病原体を発見した。


「どうやらこれが脳や内臓に異常を引き起こすようですな、次はどう始末するかですが医師達は何かご存じありませんか。オルプタ殿も」

「知っていれば苦労はありませんよ、これは手持ちのものとありとあらゆる薬品を取り寄せてこの鳥達に投与して経過を見てみるしか思いつきません」


オルプタさまに医師達も同意する。


「そんな!そんな悠長なことでお嬢様にもしものことがあったらどうするんですか!!」

「止めろ、ハンネ。私にもこんな病原体、見つかったからといってどうしたらいいかわからない。お前にも。医師達に当たるな」

「・・・はい、申し訳ありませんでした。皆様」


ハンネが憤ってくれるけど、レベッカ先生に止められてしゅんとしてしまう。

医師達は患者やその家族に八つ当たりされるのはなれたものだと気にしないでいいよ、と慰めてやっている。

それ慰めなのかなあ・・・


「じゃあ、ハンネはわたしと一緒に別の手段を捜しましょう」


ぱっとハンネが頭を上げて希望に顔を輝かせる。わたしは大丈夫ですよ、ハンネ、と応えて安心させてやる。

ここにはエイファーナお姉様みたいな研究室があるんだからどうにかなる筈だ。

お姉様からは初歩しか教わってないけれど、でも試してみよう。


「イルン・・・スール、何かアテがあるのか?」


レベッカ先生は人前ではいちおうイルンスールと呼ぶようにしているけどいまでもイルンイルンと愛称で呼んでくる。


あのコローネは何処でも見かけるが、吸血虫はわたしの行動範囲にはいない。

昔、ナジェスタから教わった事も参考になるだろう。


「レベッカ先生。結果が出てからお伝えします」


なので、寝台から起こして。


「駄目だ、私が代わりに行く。どこへ行きたいんだ」

「オルタ・エイペーナの聖なる森へ」

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2022/2/1
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