表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森の娘と最後の騎士  作者: OWL
第二章 森の娘
71/287

★第17話 暇つぶし

お父様が先日、必要な物があったらなんでもいってくれというので東の塔をまるごとわたしの物にして貰った。


そして、ハンネとグリセルダ以外の侍女は全員クビにした。

代わりの使用人は全員東の塔に住まわせて、屋上に至るまでわたしが占拠した。

塔のお部屋を全部くださいとおねだりしたらさすがに渋い顔をされたけど。


エーゲリーエ姉は言った。

殿方におねだりするときは、あのことをばらすといえば皆いうことを聞いてくれるって。

話す相手とタイミングが肝心なのよ!と力説していた。

流し目とやらの演技指導もして頂いた。

検討した結果、

試しにお父様にあのことをエーヴェリーン達に話してもよいか、と訊ねてみた。

何のことだというので、森の泉の出来事でグリセルダが・・・といいかけたら慌てて口を塞がれて黙らされた。そしたらその場面を空中廊下からエーヴェリーンが見ていて、お父様は白い目で見られていた。


で、付属の小塔も屋上も全部くれた。


約束通りわたしの所にまた来てくれれば、城の中庭で立ち話をして見られることなかったのに。

約束破ったお父様が悪い。


大体指輪つけたまま口を塞がれると、金属にお肌が過剰に反応するわたしにはひりひりして痛いのだ。嫌がるわたしに何か無理強いしているようにみえていたらしく、エーヴェリーンが後から心配してくれた。

あの子はいい子だ。アルベルドは最近、ますます冷たくなってきたのに。

エーヴェリーンはまだ9歳だから大人の話をするにはまだ早い、ちょっとじゃれていただけで心配ないと誤解を解いておいた。

わたしがラリサの城に来たばかりの頃は、わたしもまだちっこかったけど、ここ1年くらいで5,6年分は急成長してしまったので1歳差の筈のエーヴェリーンとは大分差が出来てしまった。

ヨハンナ母さんの本当の娘さん代わりの年齢設定だったから実年齢と大分食い違ってるんだろうけど、わたしにもわからないし仕方ないね。


わたしは東方候の命令だとか王様の命令で養女になったとかいう話でここに来て、わたしの顔も目のあたりは潰れてたり、体の具合も悪くて一部で囁かれていた将来愛人にする為に連れてきたなんていう噂は信じられていなかったけど、最近またそんな噂が出てきてお父様の評判を傷つけているらしい。

エーヴェリーンがその話を知っているかどうかわからないけど、泉の出来事とか世間に出まわったらきっとまたお父様の評判傷ついちゃうんだろうね。

何はともあれエーヴェリーンにはまだ早い。


姉と呼んでくれる貴重な子なので大事に育てたい。

エーゲリーエ姉の気持ちがわかってきた今日この頃なのです。


自由に出来るお部屋が増えたけど、わたしがやることはあまり多くない。

フッガー商会のダニエルさんが今日も今日とて何か買ってくれとやってくるので相手をしている。


「こちらが新帝国歴1441年度の収支報告書になります。いかがですか?そろそろ何か投資でも初めてみられては。たまに購入して頂く小物程度では利子だけで払える金額ですのでまったく目減りしておりません」

「せっかくですけど、別に欲しいもの特に無いんですよね。派遣してくれた職人さん達が何でも作ってくれますし。ギルドに目を付けられない僻地のここなら新技術の開発や研究に専念出来るって皆さん喜んでますけど、別にわたしの下につけなくてもシャールミン様の元でやって貰えば良かったんじゃないですか?」


東方の大君主のあの方ならギルドの妨害なんか怖くないだろうし。


「それがそう簡単には行かないのですよ。陛下の勢力がこれ以上強大化しても妬まれるだけですし。もともとのフランデアン王国でさえ大国であるのに、戦争で他の2国を退けて奥様が継承権を持っていたウルゴンヌ公国も統治下に置かれておりますしウルゴンヌの大運河が完成して収入はどんどん上がる一方でこれ以上はとてもとても。あまりに強大化し過ぎると帝国から難癖付けられてしまいますので行政長官も陛下主導でのギルド改革や東方各地の諸ギルドを陛下の強権で強引に抑え込む事には反対なさるのです」

「はぁ・・・陛下も大変なんですね。陛下の人望なら皆すんなりいう事聞いてくれるでしょうに」

「ええ、私もそう思いますが強大過ぎる力というのは制御が難しく、改革自体には賛同してくれてもその後の独裁化を危険視してどうしても足を引っ張る輩が出てきていずれ争いになります。力を分散し地方から自発的に新しい力が産まれ改革機運が盛り上がる手助けをするようにと私は仰せつかっております」

「なるほど。ではわたしもそろそろ染料や品種改良以外の事も始めてみましょうか」


立場上、少しは政治の事も勉強しようかと思ってきていた所だし。


「おや、お珍しい。いつもは気のないお返事でしたのに」

「まあ、思う所ありまして」

「では何か取り寄せましょうか、それとも投資なさいますか」

「研究棟の方々が錬金術用の秘薬をいくつか欲しがっていたのと、新しく来ていただいた職人さん達が金剛石の新しい切削技法を思いついたようですが実験用にもっと原石が欲しいと。あとわたしから研究用に顕微鏡というものを手に入れてきて貰えますか。オイゲン父さんからの手紙で西方で出回っていると聞きました」

「お安い御用です、取り寄せましょう」


二つ返事だ。ちょっと意外。


「よろしいのですか?宝飾産業は西方商工会の得意とする分野では?」

「大丈夫でしょう。ご心配なら断りをいれておきますが、我々は西方商工会から技術援助も受けておりますので」


おやま。商売敵ではないのかな?


「それならお願いします。でも技術開発しているのは職人さん達なのにわたしが多額の収入得ていていいのですか?」

「はは、イルンスール様は心配性ですな。投資して、居場所を与えて下さる方がいなければ彼らも活躍できませんし今までの所姫様の判断に間違いは御座いません。それに姫様の思い付きを元に開発が進んでおりますから報酬を受け取る権利は十分にありますよ。それとせっかく乗り気になって下さったのは有難いのですが、これでもまだまだご予算が有り余っております。何か別の事業でも始めてみませんか?」


事業っていってもねえ・・・実務は全部フッガー商会の手配に丸投げでわたしは報告聞いてるだけだよね。参入しても他の事業者と利権の奪い合いになるし…やだなあ。

あ、喧嘩にならない分野ならいいのかな。


「じゃあ、造船と海運業を始めましょう」

「・・・そのお心は?」


突然の提案にダニエルさんも理解しがたいという顔をしている。


「だって東方圏って大体が農業国じゃないですか。資源って西方や帝国本土が牛耳っているみたいですし、輸入するのもあちらに頼り切りでしょう?せっかく良質の木材があるんですからこっちだって造船業始めればいいじゃないですか」

「ふうむ、確かに小ギルドが乱立し過ぎていて多額の投資を必要とする造船や貿易についてはこちらは後進国ですな。本店に進めてみても構わないか確認してみますが、もしうまくいっても投資が回収できるのはかなり先の話になるかと思われます。本当に進めてもよろしいですか?」

「どうぞ」


そんなわけで新事業を開始した。

ただの暇つぶしとお金の使い道が無かったから。


それと海ばっか見ていたヨハン兄さんの影響かな?


あとはあの船長には恨みを晴らしたい。


人さらいや奴隷商人が見つかるとは思えないけど、地理的にあの船はギィエッヒンゲンに向かっていた筈だ。何か得られる事があるかもしれない。

東方圏の中でも一番北東にあるし、それ以上北はナジェスタ達が生活する高原地帯や荒れ地と蛮族の領地で行くところは限られている筈・・・。


あ、そういえばナジェスタにお手紙書こう。

この辺りから大分独自の動きを見せ始めてますね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブックマーク、ご感想頂けると幸いです

2022/2/1
小説家になろうに「いいね」機能が実装されました。
感想書いたりするのはちょっと億劫だな~という方もなんらかのリアクション取っていただけると作者の励みになりますのでよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ