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森の娘と最後の騎士  作者: OWL
第二章 森の娘
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第49話 ハンネの日記③

皆様お久し振りでございます。ハンネです。


さて、旦那様からそろそろ応援がそちらに行くはずだと便りがありました。

ですが城内は手狭で居場所がありません。

下働き達に聞くと、壊れた物を放り込んでいるだけの無駄な部屋がたくさんあるそうですが、最高責任者が不在でそのままにしてあったらしいのです。

あの男に言って使う予定が無い部屋なら貰ってしまいましょう、修理できるものはダニエルさんなり到着した職人で直せそうなものがあれば直してもらいましょう。

それにしてもあの男は旦那様と違って経営能力というものが皆無ですね。

無駄ばっかりです。


ちょうど呼び出されたので行ってみると家政婦長から侍女達が次々と辞めていく事について侍女達がお嬢様へ横暴だとか何とか漏らしていたと苦情が出ているらしいのです。

まっ何ということでしょう。横暴な人間を慕って大勢の使用人がついて来ようとするわけないでしょう。しかしながらお城で一番力があるこの男にお嬢様を保護してもらわなくては困ります。幸い苦情があったので確認してみただけだったみたいで説得は楽でした。


やはり奥向きの事は婦長の発言力が大きいですね。


お嬢様を苛める貴族達が辞めていくのはいいのですが、城内でお嬢様に反感を持つものが出ては困ります。味方になってくれて渉外担当を任せられる貴族が残ってくれるといいのですが。私は平民ですしやはり貴族の事は貴族に任せてその方に最上位の侍女としてお嬢様を守って頂きたいです。

平民の感覚に近く、お嬢様に反感を持たない貴族の娘がいれば手助けしてみますか。


下働きの子達も懐いてきてくれましたので、大分城内の情報も集まってきました。

誰も近づいてはならないといわれている黒い塔のことも。

あの男の家族は子供だけで妻は他界しているというのは聞いてましたが母もいたそうですね。

物語なんかでも重い罪を背負ったりとか気がふれたので家族を幽閉する話が出てきますが、そんな感じでしょうか。騎士と従士が厳重に警備しているそうです。

彼らに話を聞くわけにもいかないので、下働きの子達に他に何か知っている話はないか聞いておきましょうか。お母上がいらっしゃるならこの城の女性陣の最高権力者はその方になりますし。


それにしても王様の宮殿みたいに王家の女性を守護する女性兵士のような存在はいないのですね。エーヴェリーン様にも女性の護衛はいないようです。

このお城規模の割に人少ないですしね。

うちの実家の方が働いている人多いんじゃないでしょうか。


徐々に侍女が減っていったおかげで、お嬢様のお側に侍る機会が増えてきました。

この不便な城での生活も少しは改善されお嬢様に必要なものが揃ってきました。

お好きな森の散歩にも出かけられるようになり、段々気晴らしをするようになってきて私も一安心です。やはりお嬢様にはもっと自分らしく振る舞って頂きたいのです。侍女達に気兼ねばかりして好きに振る舞えないご様子がお労しく残念でした。


あの男は自分から歩み寄ってお嬢様に困っている事はないか、などと聞きに行ったり気配りめいた事ができません。旦那様の爪の垢でも煎じて飲んでもらいたいものです。

旦那様はギィエッヒンゲンにちょっとした小旅行へ行くときも普段の生活でも大変気を配っておいででした。宿泊先では予め家令のコンラートさんが鏡を撤去しておいてくれたり、食器も金属製のものは使わないようにしておいてくれました。

父親代わりをするならそれくらい責任持ってもらいたいものですね。

あの男は力だけが取り柄です。


異国で心細い思いをして慣れない貴族の生活に困っていたお嬢様に必要だったのは、腕力なんかより必要なものがあったのに。

結局旦那様のお手紙の方がずっと頼りになりました。

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2022/2/1
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