ガルシュビダワールド
目覚めると颯太は、真っ白い保健室のような部屋のベッドに寝転がっていた。
そして、横に目を移すと長い黒髪が似合うキレイな女の人が座っていて、目が合ってしまった。
「ようやく目覚めたようね」
「あの…ここは? 俺、車に轢かれて…」
颯太が質問すると言いにくそうに「そう…ね。 信じられないかもしれないけど、あなたは車に轢かれて亡くなったの」と言った。
「え…嘘だ…。 じゃあ、どうして僕はあなたと普通に話しているんですか? もしかしてここが天国ってやつなんですか? 」
「いいえ、ここは天国でも地獄でもない、ガルシュビダワールドよ。正確にはガルシュビダワールドの中にあるルイティアスという場所」
彼女が口にしたのは聞いたこともないような名前だった。
「いい? これから話すことは全て本当のことよ。 信じてね」
颯太が静かに頷くと彼女は話し始めた。
「あなたはね、ガルシュビダワールドに選ばれた能力者なの」
「え、俺が…ですか?」
「ええ、ここでは死者の魂が蘇ることのできる、世界中で二つしかない場所の一つよ。 だから、一度死んだあなたは二度目の死も味わうことができるわ、素敵でしょ?」
そう言って目を細め微笑んだ。
でも、この人目が笑ってない…。
見た目はキレイなのに、なんだか恐ろしい人だな。
「能力と言っても様々なものがあって、例えば水を操れたり、相手の心を読める能力者もいる。 能力は物理的なものもあれば、心理的なものもあるってことよ? 物理的なものばかりだと面白くないものね 」
それから彼女の本格的な説明が始まった。
彼女の話をまとめると、このガルシュビダワールドには二つの世界があり、一つは今俺のいるルイティアス、もう一つはファルメアス。
ここ、ルイティアスでは世界で能力者の力を求めている者から様々な依頼が届き、その依頼を解決するのがここに来た者の主な役目。
依頼はティールベルと呼ばれている依頼者の強い思いによってルイティアスに届くシステムになっているため、ティールベルは依頼をしたという自覚はない。
そして、説明が面倒なことになるので依頼のことはティールベルには極力話さないようにしなくてはいけないようである。
その依頼を解決した報酬は、主にルイティアスで使えるチップ。
そのチップでは食べ物や服は勿論、装備品や能力UPに繋がる物も買うことができる。
もう一方、ファルメアスは死神が集う世界である。
死神とは人の心の喰らい生きている者で、死神に心を食われた者は死神になってしまうという。
能力者の中にも死神に心を食われ、死神になってしまった者もいるらしく、ルイティアスは死神を撲滅させようと死後の能力者を集めているそうだ。
死神にも強さがあり、弱い死神は弱い者の心しか喰らえないが、強い死神は強い者の心でも喰らえるらしい。
以前はルイティアスとファルメアスの間でしか移動できなかった死神も各世界を行き来して罪のない心を喰らっている。
一度心を喰われ、死神になった者は二度と元の姿には戻れず、消滅する他はないという。
最近は、死神の活動が盛んで心を喰われ死神になる者が続出し、ルイティアスにくる能力者の数が減っていっているらしい。
能力者を増やすためには、死神が心を喰らうのを阻止し、消滅させなければならない。
死神を倒し、消滅させるのは身体のみで心だけ残る。
その心には属性を表す色が付いており、その色の属性の能力者の体内に取り込むと能力のレベルがあがる。
その色の属性が自分の仲間内にいなくても、特殊な瓶の中で保存することができるとのこと。
「この辺りまではわかったかしら? 」
「あ、はい。 ところで俺の能力ってなんなんですか? 」
気になって聞いてみると「ああ、まだ言ってなかったわね。 あなた単体だけでは何の力もないのよ」と、とんでもない答えが返ってきた。
「俺単体じゃダメって…他に何がいるんですか? 」
「パートナーが居て、マスターになってから、初めてあなたの能力が輝くの。 そのパートナーは誰でも良いってわけじゃないわ。 あなたのパートナーになるために生まれてきたと言っても過言ではない、相性抜群の子がいるはずよ。 その子じゃないとダメなの」
「どうしたら、相性が良いってわかるんですか?」
「そうねー…。 これは人それぞれなのよねー。 まあ、感覚よ、感覚。 その時になればわかるわ」
「は、はあ…」
「あ、そうだ。 私、自己紹介してなかったわよね? 私はここの職員のアリシア・ブラウンよ、アリシアって呼んで? 」
彼女は思い出したかのようにそう言った。
「あ、はい。 俺は安藤颯太です」
颯太もアリシアに続き自己紹介をする。
「ふふ…よろしく、颯太」
そう言うと、アリシアは立ち上がり「ほら、颯太も立ちなさい。 あのお方の所へ行くわよ」と言った。
「あのお方って?」
歩きながら質問してみると「ルイティアスの中で一番凄いお方よ。 くれぐれも失礼のないようにね」と返ってきた。
しばらく歩くと、他の扉よりも大きく豪華な扉をアリシアはノックして「フローラ様、アリシア・ブラウンです」と言い、扉を開けた。
中に入ると、広い部屋の真ん中に金髪でロングヘアーの女性が、椅子に座って本を読んでいた。
「あら、アリシア…ん? その子は? 」
「この子が例の子です」
「えっと、安藤颯太です」
「そう…この子が…」
そう言いながら、フローラは颯太を頭の先から足の先まで見ながら「あなた、アリシアから自分の能力の話は聞きまして? 」と言った。
「大体は… 」
「そう、わかったわ。 あなたにはこれからマスターになってもらいます。 ですから、あなたと相性のピッタリな娘を私からプレゼント致しますわ」
「ふ、フローラ様っ! あの娘は!」
「いいのよ、あの娘の記憶は消してあるもの。 何も覚えていないわ」
そう言って、フローラは指をパチンッと鳴らした。
すると、現れたのはピンクで可愛らしい小さな妖精だった。
「はい~、お呼びでしょうか~? 」
話し方もフワフワしていて、いかにも妖精という感じだ。
「メル、これからあなたのマスターになる人よ? 」
「わぁ~! メルにもやっとマスターが出来たんですね!」
喜んで興奮している妖精は颯太の目の前まで来て「初めまして、マスター。 私はメル・ビス・ムーンと言います! メルと呼んで下さいね~ 」と自己紹介をしてくれた。
「初めまして、安藤颯太です」
颯太も自己紹介をする。
「早速なんですけど、これからあなたたちにはミッションをして貰いますわ」
「ミッション? 」
「ええ、説明だけでは分かりにくい所もあるでしょうし。 実践するのが一番だと思いますわ」
フローラはまた指をパチンと鳴らした。
すると、フローラの手元に真っ白い封筒が現れた。
「これからこれにチャレンジしてもらうわ。 難易度は低めの物にしてあるから大丈夫だと思うけれど」
そう言いながら、封筒を颯太に手渡した。
封筒を開けて中の紙に書いてあることを読んでみると「洞窟の奥にある石を取って来なさい」とのこと。
「そこで大体のことは学べるはずよ」とアリシアは言うが、一体どうやって行けばいいのだろうかと疑問に思い、「でも、どうやってここの世界へ? 」と颯太は聞いてみた。
すると、待ってましたと言わんばかりの笑顔で「は~い、それはメルの仕事なんですよ~。 マスター? 目を瞑って下さい」と言った。
颯太はメルに言われた通りに目を瞑る。
すると、メルが「聖なる地に我らを届けたまえ 」そう呟くと、颯太の身体はふわりとした感覚に包まれた。
この2話にこの物語の詳細が集中して記載されていますので、わかりにくいとは思いますが、「こんな設定見たことない」「話しがグチャグチャでわかりにくい」等思われた方はここを読み直してみて頂けると幸いです。




