落とし穴
ふわりとした感覚は無くなり「マスター、目を開けてもいいですよ~? 」というメルの声でゆっくりと目を開ける。
洞窟の入り口に颯太は立っていた。
「メル…ここ? 」
「えっと、そうみたいですね~」
「そうみたいって…ここに連れて来てくれたのはメルだろ? 」
「そうなんですけど、目的地の詳細とかまではわからなくてですね~」
「ま、石を取ってくればいいだけだろ? 早く行こう」
「フローラ様は意外と意地悪ですからね~…そう簡単にいくでしょうか~…」
呟くように言ったメルの言葉は、颯太には全く聞こえなかったようで、なんの疑いもなく洞窟の奥へと進んで行った。
「メル…これ、まだなのか? 」
「もう少しで着くと思うんですけど~…あ! あれじゃないですか~!? 」
メルが指を刺した方を見ると、青白く光る物が台の上に置いてあった。
「ふぅー、これを取ったら終わりか…」
颯太が石を取ろうと手を伸ばすと、古い扉が開くような音がした。
恐る恐る足元を見ると、それは落とし穴だった。
颯太が落とし穴だと気づいたときにはもう遅く、2人は暗闇の中へと落ちて行った。
「いっ…てー」
「だ、大丈夫ですか~!? 」
ドンッと地面についた身体がとても痛い。
颯太とメルは落とし穴で地下の洞窟らしきところへと落ちたようだ。
「ここはどこだ? 」
「洞窟のようですけど…」
「とりあえず、適当に歩けばどこかに着くだろ」
「はい~、じゃああっち側に歩きましょうか~」
俺らはなんの当てもないが、適当に歩き始めた。
「メルはいいよなー…羽があって空飛べるし。 飛べたらあんな痛い思いしなくてもいいんだよな」
「すっごい便利なんですよ~! メルはまだ出来ないですけど、自分や相手に空を飛べるようにさせられる魔法もあるんですよ~ 」
「へぇー、それは勉強とかしたら出来るようになるもんなのか? 」
「あ、そうですね~。 勉強でも取得は出来ますけど…それぞれの属性とかもあるので、出来る人と出来ない人がいますよ~。 これは他の魔法も同じなんですけどね~」
「そっか…なんか奥が深そうだな」
本当にここはゲームのような世界だな。
あ、本当はガルシュビダワールドなんて存在しない、ただの夢だったりして…?
いや、そんなことはないか。
さっきの落とし穴から落ちた痛みは本物だったしな…。
颯太が足元を見ながら考え事をしていると、「あ、颯太さ~ん! 分かれ道ですよ~」とメルが声をかけた。
颯太ははっとして顔を上げると、目の前には三つの入り口があった。
「右かなー」
勘で答えてみると「メルも右がいいです! 」メルはそう言って楽しそうに進んでいく。
そんなメルに続いて颯太も進んで行った。




