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住宅地

1話に追記しましたが、体験したのはすべてが前の居住地での話になります。

まだ心霊体験っぽいことが書けてません……

 とある日、恐らく夜八時頃かそこらだったと思う。

 家に帰るために、普段はあまり通らない住宅地を通って、隣駅から家に向かって歩いていた。

 時間的にはまだ夜遅くではないが、住宅地自体は広い範囲で広がっていて、とても静かだった。

 人も表通りと違って殆ど見ないため、人通りはない。



 そんな中、家まであと300~400Mほどの地点まで来たところだろうか。

 真っすぐ進むと坂になっている道路とぶつかり、下りになっている左に曲がると、マンションの近所にあるスーパー前の交差点に出る。

 交差点に出るまで残り100Mか200Mか。

 住宅地の中には分岐点がいくつもあるが、引き返す選択肢を除けば直進するか、もう少し先にある右への曲がり角のみ。

 普通であれば当然、最も無駄のない直進を選ぶ。

 しかしこの時、不思議となぜか右に曲がろうと思った。

 何か予感があったわけでもないし、右に曲がろうかなぁと漠然と思っただけである。

 普通に考えてありえない行動だ。なにせ、余計な回り道になるだけだ。

 別に回り道をしても物珍しい、知らない場所でもあるまい。

 ただただ、吸い寄せられるように曲がった、が正しいような気もする。



 右に曲がる。数歩歩く。

 一瞬、「あれ、なんで曲がっちゃったんだろう?」と、そう思ったかもしれない。

 すると次の瞬間、犬がけたたましく吠える声が住宅街に響き渡る。

 直進しようとした先にいる家の犬が吠えたのだろう、と思った。

 そのまま歩いていたら絶対にビビっていた自信があるくらい、猛烈に吠えている。

 犬が飼われているであろう家の裏側にあたる道を歩きながら考えた。

 ああ、人間が近づいてきたから犬も反応しちゃったんだな、もしかして、第六感的なもので犬を避けたってことなのかな?

 そう思って納得しかけた時ふと、「待てよ、本当にそうか?」と考えを改める。




 もし、犬と自分がお互いに反応したのではなくて……


  ・・・・・・・           ・・

 『幽霊的なナニかがそこに存在していて、ソレに犬と自分がそれぞれ反応したのだとしたら?』


 怪談脳の悪い癖である。

 誤解により、怪談は生まれることがある。

 もし心霊かどうかが曖昧な体験ならば、その数はもっと多いのかもしれない。

 普通に考えれば犬と自分がお互いに反応した、ということなのだろう。

 だが、もし超常的なナニかが居たと仮定したら……怖いだろう、怖いはずだ。

 少なくとも怪談好きな自分でも、いざ実際に何かが起こるとやはり怖いわけで。

 考えすぎだと言われればその通りかも知れないし、むしろ怪談好きなせいで余計な先入観が生まれてしまうまである。

 大体、なぜ曲がったすぐのタイミングで吠えたのだろう。直進したとか、曲がってから一つ隣の通りに入って犬のいる家の裏手側まで進んだ頃に、とかならまだ分かるが。



 勝手に怯えながらも、曲がった先で坂の道路に突き当たる。

 通り一つ向こうはさっきの道だ。

 もっと別の道を通れればいいのだが、引き返したらあの道に出るしかないし、坂を上って右から回ろうにも、このまま行けば5分で帰れるところを30分かけて大回りする必要がある。

 つまり詰んでいる、というわけだ。



 少しでも距離を離すべく、道路の反対側に渡って帰ることにした。

 坂を下りながら例の道が見え、チラっと横目で確認する。

 何もいない。当たり前だ。勝手に想像して、勝手に怖がっているだけなのだから。

 住宅地を貫くような、街頭にポツリポツリと照らされた暗い夜道が、遥か向こう側へと続いているだけだ。

 でも自分に見えていないだけだとすれば……そんな勝手な妄想を振り切り、前だけを向いて家へと帰るのであった。

距離なんかはグーグルマップで調べました。

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