#28
そう言って現われた白虎の簡易体の姿は…蝶ちゃんやガゥなどよりも愛くるしい姿であった。
どのくらい愛らしいのかと言うと………
「キャ~~~~~……ッ!!
か…かぁ~いぃよぉ~~~~…ッ!!!!!!」
光透波が…思わずキュートさに堪えきれず、言葉にならない言葉で叫んでギュ~~ッと胸に…しっかりと抱き締めてすりすり~ッと頬摺りしてしまうほどに愛くるしいのであった。
そんなメチャクチャ愛らしい姿の白虎は…まるで生まれたばかりのホワイトタイガーの赤ちゃんのようであった。
ひよこの産毛みたいに…ほわほわしていて、細く滑らかでありながらも…ふんわりと柔らかい毛並みは白と黒の横縞模様であった。
まんまるい手足は短く…よちよちと地面を確認するかのような歩き方やピョコンッと、おしりから飛び出したみたいな尻尾も…一層、キュートさに磨きをかけていたのである。
誰しもが白虎と聞いて…連想するであろう勇ましい猛獣の如き姿。
そんな肉食の恐ろしい虎と言う印象ではなく…むしろイメージから、かけ離れた可愛らしい子猫と言う印象を受けてしまうのである。
そんな視線に…彼は自らの白虎としての威厳を示すかのように全身全霊…力一杯に遠吠えしてみるものの………
『ミャヴゥゥルルゥッ!!』
子猫が…くしゃみしたような鳴き声が響き渡る。
それはそれは…なんとも悩ましげな威嚇となってしまうのであった。
その鳴き声が…光透波の母性本能をさらに…ぎゅぎゅんと大いにくすぐる結果となり、身体中からラブラブなハートが乱舞しているのだ。
そんな光透波からの目一杯の頬摺りとキスの連続攻撃をされることになるのであった。
『や、や…や、やめッ、うぷッ………
我は…四神が…ひと………一人…び…びゃッ、白虎なり……わぷわぷッ………
よ、よせ~…ィッ………』
光透波からの濃厚なキスと頬摺りの乱れ撃ちは…それは、それは、かな~り強烈であった為に呼吸困難となり…わふわふしている白虎だったのである。
そんなを白虎の慌てふためく姿を見て…どうやら朱雀にはバッチリと笑いのツボにハマったらしいのであった。
その笑いっぷりたるや…実際にヤカンを置いたら、ヘソで茶をグツグツと沸かしそうなくらいの勢いで…真っ赤になりながら…カンラカンラと大笑いしていたのであった。
かたや…その様子を蝶ちゃんとガゥは『良いな~、良いな~!』と仲間にして欲しそうに…ピカピカな眼差しで食い入るように見つめていたのであった。
「あらあら、まぁまぁ!」
何か勘違いをして…見るからに「光透波ったら、あんなに楽しそうでホントに良かったわね!」と言わんばかりの笑顔で見つめる楓であった。
「…な、なぁ、オイ…お前の変態なスケベぇジジィと白虎から……アイツらとの今後の戦いとか…なんかについて相談するハズじゃないのか?」
影人が質問した内容は…至極、当然だった。
その通~り!!…と後ろから組長代理ことチャッピーが相槌の如く…ワォウ~ンと吠えたのである。
訊ねられた虎慈朗自身も…その事こそが目的であり、何らかの協力と対策をとる為に、わざわざ影人のもとを訪れたのである。
「んなもん…百も承知や!
オイッ白虎!!
それから…色ボケのスケベぇジジィもや…さっさと真面目な話をしようや!
コラァ…聞いとんのかアホンダラァ~ッ…!
…ッ遊んどる場合とちゃうやろ!!」
目が覚めるくらいの大きな声に…すっかり気の緩んでいた周囲はビクンと反応して振り返る。
白虎は…その僅かなタイミングを見計らって、光透波の魔の手から逃れると…主である虎慈朗に息も絶え絶えで心情を告げた。
『こ、こ、虎慈朗殿ぉッ!
おのれ…あの小娘、只者では無いぞ。
簡易体となり…力を限りなく、押さえ込んでいるとは言え………
この白虎がよもや…ああも容易く手玉に取られようとは……』
「ふ~ん…なぁ白虎、あの娘…光透波ちゃん………やったっけ…華やかな可愛いらしいオーラやし…ごっつ気に入ったわ。」
くるりと振り返った…光透波は、もの欲しそうにこちらを上目遣いのキラキラな瞳に…虎慈朗は胸をトキメキの矢で射ぬかれてしまいメロメロになってしまったのだった。
「なはははははははッ!!
ち…ちゃうちゃう、ちゃうねん…ちゃうねんて!
そないな…告白タイムとちゃうんや。
ほら…影人、お前の所にもデーモン・フレイムの三鬼衆とやらに襲撃されたんやないの?」
狼狽えた虎慈朗から放たれた言葉に聞き覚えの無いデーモン・フレイムと言う名詞が含まれていた事に訝しげながらも影人は答えたのであった。
「あぁ…来たぜ!
羅刹って筋骨隆々な大男とキザでナルシストな阿修羅って…いけ好かねぇ野郎がな………
生憎…俺は朱雀を暴走させちまったが、なんとか無事に…あいつらを撃退したってとこだな。」
頷きながら…虎慈朗が影人の言葉に続く。
「なるほどな…そないな事があったんか。
こっちには…刹那っていう奇妙な武器を使う…けったいな女が現われよったで…」
「ふむふむ…それで、そやつは、一体どうなったのじゃ?」
影蔵は…その女に心当たりがある気がして、虎慈朗に話を急かすように尋ねたのである。
「………ど、どう?
どうやて…そら決まってるやろ!
オレと白虎の能力がバチコ~ンと合わされば…もう鬼に金棒の無敵やさかいな。
そら…一撃でコテンパ~ンにしてやったわ!」
ページ
「コテンパ~ンやて………
ッうぷぷぷぷ…~~~ッ!
ダァ~ハッハッハッハッハ~~~~~…ッ!!
何をフカシこいているんや…このアホがッ!
どないもこないもあらへんがな…手も足も出されへんやったろうが!」
虎蔵は大きな声で笑いながら横槍を入れたのであった。
「…ッやかましいわ!!
白虎の力を奪われんかっただけマシやろがッ!」
虎慈朗は…そう言い返すのが精一杯であった。
「まぁ…まさか、伝説に謳われた魂具の中のひとつ…魔粧具の使い手であるとは想定外ではあったがな………ほんま厄介な敵やな…」
先程の変態っぷりを忘れさせる程に真面目でシリアスな顔をして…虎蔵が言ったのである。
「な、なんと………
では…あの十年前の事件の………!?」
意味深な言葉を呟いた人物は…
四十代ぐらいの痩せ形で…髭面の男が…話の輪から少し離れて、ポツリと立っていたのだった。
彼の隣には…温和そうな同年代らしき女性も柔和な笑みで、ひっそりと寄り添うようにして立っていたのである。
果たして…この二人、一体何者なのであろうか?




