#26
影人は…その声に思い当たる節があるのであった。
しかも…あまり嬉しくない思い出の方が多いのだった。
多分、じいちゃんも同じ気持ちだろうな……………と影人は思っていたのである。
「………そ、その声は、虎慈朗
お前…一体、何しに来やがったァァッ!!」
その言葉が言い終わらないうちに…振り向き様、虎慈朗の鼻っ柱を目掛けて豪快に素早いパンチを繰り出すのだった。
しかし…彼は、その突き出してきた影人の腕に、するりと潜り込むように身体を移動させる。
瞬時に…その腕を両腕で抱えるようにして背中に影人をおんぶするみたいに担ぐと…ポーンと垂直に軽く飛び跳ねる感じで脚に力を入れる。
そのまま…なす術無く影人は地面へと投げふせられたのであった。
柔道の一本背負いに似た感じの男気溢れる雄大な技であった。
「どや…オレの勝ちやな……せやけど、ホンマ、相変わらずケンカっぱやいヤツやな~!
能力者ってのは…皆、ケッタイなヤツやで!
天然のアホやな!
これは…間違いないで!」
その勝手にカテゴライズした『 皆 』の中に自分も含まれている事には蚊ほども気付かずに…高笑いする虎慈朗であったのだった。
「ち…チクッショ~!
今のはマグレだァァッ!
マ…グ…レぇ~~ッッ!!」
影人は仰向けのまま…体操選手のように、手の平で地面をグンッと強く押しつけ、上体を反らしてブリッジすると…クルンと回転しながら飛び起きるのだった。
もちろん…当然の如く、負けず嫌いな性格を表す台詞もしっかりと言い返しながらなのであった。
「ハハハ…そないにオレに勝ちたいんやったら、そら、いろんな修業せな…アカンねやろな」
虎慈朗は続けて蕩々と話し始める。
「ちゃうがな、ちゃうがな………
せやで…ここへも何かアホみたいに派手な格好した不思議な能力を使うヤツら、来いへんかったか?」
虎慈朗が思い出したように訊ねると影人は驚いた様子で…こう返したのであった。
「………あ!?
ああ…来たぜ!
………羅刹って…筋肉バカがな」
「もしや…おぬしらの所にも現われおったのか?」
影蔵が神妙な面持ちで問い掛けるのであった。
「まぁ…詳しい事は虎蔵のジジィから………って、オ~イ…虎ジィッ!
どこいったんや~~~~、虎ジィからも説明してくれや」
虎慈朗の背後から…楓の悲鳴が聞こえた!!
「い、イヤ~~~ァァッ!やめて下さい~~!
………ッァ…キャ~~!」




