#25
《《ピ~ポ~!ピ~ポ~!!》》
機械的で無機質な救急車の…けたたましいサイレンの唸るような音がハッキリと聞こえてくるのであった。
それだけなのであるが…何故だか、日常に引き戻されたような気がして、少しだけ安堵する一同だった。
すぐさま…救急救命士によって慎重な動作で素早く担架に乗せられ、車内に運び込まれた松っつんの無事を心から祈り…見送る一同。
搬送先の病院への付き添いは…梅ちゃんである。
救急車とともに同行してきたパトカーの集団。
これまた…パトカーの台数同様に大勢の警察官の集団から厳しい顔をして執拗に事情を問いただされていた竹りんであった。
しかし…それらを巧みな話術で上手くお茶を濁して説明しているところ等は組内の広報的な立場であった為か…流石なお手並みなのであった。
ッ…………………………!?
ワンワン…バウワウ、バウワ~ウ…ハフハ…フハフハフハフ~ッ………
遠くから…竹りんの様子を伺っていた影人の背中に…突如として生暖かい呼吸と共にズッシリと、のしかかってきた生物の衝撃を感じたのだった。
そいつは耳元から首筋にかけて…ペロペロとペチャペチャとくすぐったく、戯れるように何度も繰り返して舐めてくるのであった。
「アハハハハハ…く、組長ってば…
あぁ………よせよッ…くすぐったいじゃないか。
………………!?
ところで…組長……
おまえさ…今まで何処に行っていたんだよ?
一昨日の夜くらいから、いなくなっていたみたいだけれど」
影人は自分の首を軽く絞めるように回された短いプニプニな肉球の前脚を手に取ると………
くるりと翻って、彼女の艶々した毛並みの小さな頭をワシワシと撫でまわしてあげるのであった。
「………あ~~ッ!
チャッピ~~~~~ッ!?
もう…どこ行ってたの~?
私もお姉ちゃんも心配してたんだよ!」
光透波は…黒鋼組の番犬兼、現在の組長らしい小柄なウェルッシュコーギーと何かの雑種らしき金色のツヤツヤした毛並みの彼女を目ざとく見つけるのであった。
ちなみにチャッピーという名前は光透波が勝手に命名した影人的には非公式な名前だった。
姉である楓の手をグイッと無理矢理に引っ張りながら…影人のいるところへよそよそしく駆け寄っていくのであった。
チャッピーも散歩仲間の優しい光透波が大好きだったのである。
光透波の他にも見慣れない二人組が影人の傍らに気配を殺して…いつの間にか、そ~~っと立っていたのであった。
「なんや…なんや~ァッ、相変わらず、賑やかそうにしとるやないか~ッ!」
ふいに背後から掛けられた生意気そうな関西弁の男の声には…聞き覚えがある。
謎に包まれた新たな人物の登場で物語はさらに波乱を告げるのであった。




