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ソウルズ!朱雀覚醒篇  作者: オレンジタイフーン


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22/30

#22


朱雀は…先程、影人がしてあげたみたいに優しく頭を撫であげる………否、目一杯に撫でまわすのであった。

 

 

 

「ち…ち、ち、ちょっと、ダメだって……ッァ、そんなに…くっつくなって!?」

 

 

影人は朱雀から香り立つ、甘い匂い…若い女性特有のフェロモンらしき鼻孔をくすぐる芳香と意識せざるをえない感触に悩まされていた。

 


 

影人を悩まされていたモノは…ムニムニ~ッとした弾力性に富んでいて、どこまでも柔らかな…突き立て…出来たての…モッチモチのお餅みたいな触感に戸惑い…気恥ずかしさから朱雀の肩を両腕で掴むとグンッと身体から引き離して、一言…告げるのがやっとであった。

 

 

『んん~~~ッ!

 

なんだい、なんだい、イケずだねぇ~~ッ!

 

どうしちゃったのかな!?

 

…そんなに真っ赤になっちゃって…まぁ~可愛い

 

そうさね、お望みとあれば手取り足取り教えてあげるよ………

 

いろいろとね……ウフフ』 

 

 

彼女の夕暮れ時の空を思わせてしまう…紅く艶めかしい腰の上ぐらいまでは届くであろう長い髪。

 

 

その髪を軽く揺らして…影人の鼻先をツンッとインターホンのチャイムを押すみたいに軽く突きながら、ケラケラとからかうように朱雀は話したのだった。

 

 


 

 

「………ッ…ち、ちょっと、幾ら…朱雀様でも、あんまり影人の事をイジメないでよねッ!!」

 

 

彼女は…咄嗟に声を張り上げていたのである。

 

 

 

………無意識だった!

 

 

 

何故なら…影人のあんな姿を見るのは耐えられない。 

 

姉である楓と…なんとな~く二人っきりになった時や楓が影人の世話を焼き過ぎた時に見たことがあるのだった。

 

 

まるで人形のようにカチコチに硬直しながらも…鼻の下を伸ばして、妙に照れている時などに垣間見せる、ちょっぴり嬉しい困った顔なのである。

 

 

無意識に、実の姉さえ恋敵と思い込んでいるのに…

 

 

微妙に揺れ動く恋心を有する光透波にとっては…一大事なのである。

 

 

思考回路はショート寸前。 

 

脳内…大パニックのグ~ルグルで、赤色灯火とサイレンが警鐘を高らかに鳴らしており…『 いざ、鎌倉 』の緊急事態で…スクランブル発進…レッツ・ゴー!なのである。

 

 


 

ちょいとした錯乱状態の光透波だけではなく…姉の楓も、にこやかな笑顔の表情は変えずに無意識でギュウゥ~~ッと…掌に爪が食い込むくらいに拳を握り締めていたのだった。

 

 

 

………………………ハッ!!

 

 

偶然にも視線が合った楓の瞳の奥の深淵たる漆黒の闇を見てしまったガゥは…ブルブルッと身震いした。

 

 

そら恐ろしい愛情であった。

 

 

見てはいけないモノを見てしまったのである。

 

 


 

『ウフフフフフフフ…ッ!! 

あら…あら~ぁッ、あんた妬いてるのかい!?

 

アハハッ…初々しいやね! 

結構…結構~!

 

そういや…さっきは告白までしたんだものね~ッ!

 

 

…ッ………………………

 

…あ、あぁッ!

 

 

あ~ぁ…なんだい、もう、時間切れかい?

 

若いんだからさ…もっと頑張りなよ、つまんないじゃないのさ………

 

 

やっぱりね…このサイズの念神体と波長を能力者以外にもみえるように維持して持続できるようになるのは…こりゃ、まだまだ先の事だね

 

じっくり調教してあげなきゃだわね………』

 

 

ひさしぶりに触れた清々しい外気に…今まで遊園地に連れて来て貰った事が無い子供みたいに楽しそうに、無邪気に…はしゃいでいた朱雀である。

 


 

そんな朱雀の身体から突然シュウウウ~ッと…白く細い煙。



蒸気や湯気みたいなモノが…一つ、二つ、三つと幾筋もの煙が見る間に…次々と立ち上るのである。

 

 

すると…ポンッとクラッカーみたいな破裂音がしたのであった。

 

 

 

な、なんと…朱雀はガゥや蝶ちゃんくらいのミニマムサイズに縮んでしまっていたのであった。

 

 

 

…………………………へ?

 

 

 

なんだか…言いたい事の半分も言えないままの光透波は、鳩が豆鉄砲を食らったみたいにポカ~ンと目を真ん丸くしていたのだった。 

 

 

『ねぇ、ねぇ、朱雀様ってあんな可愛いらしい姿にもなれるんだね…

 

ねぇ…カゲゾ~!』

 

 

蝶ちゃんは影蔵に向けて、新しい遊び仲間を見つけたみたいに喜びの声をかけたのである。

 



 

影蔵は…さらに老け込んだように皺を蓄えたままで、コクリと小さく無言でうなだれたのである。

 

 

 

ボン…キュッ…ボンのグラマーだった朱雀は見るも無惨な超幼児体型…洗濯板な胸のツルツルペタペタさんに成り果ててしまっていたのだった。

 

 

あの妖艶な服装はサイズこそ縮小しているが…まるで幼稚園児が着ているスモッグみたいにガバガバのブカブカなのである。

 

 

そして…蠱惑的な女性にしては重厚な低く吐息混じりで耳障りの心地良い声も2オクターブ程…甲高くなってしまっているのだ。

 

 

 

ぷかぷかと空中に浮きながら…影人の傍らへ近付くと、朱雀はキャンキャンと忙しなく吠える子犬みたいな声で勢い良く話し出したのだった。

 


 

『まぁ…あんたくらいのケツの青いヒヨッ子な能力者にしちゃ、まずまずのデキってトコだが…これから、みっちりと修業してやらなきゃだね!』

 

 

 

………………………ッあ? 

 

 

「あ…アレ~ッ?

 

朱雀ちゃんが見えなくなったわ」

 

 

梅ちゃんは…朱雀を探して辺りをキョロキョロと見渡している。

 



 

影人は…朱雀って小さくなっても偉そうなんだな…とか思いながらも、自分の分身みたいなヤツの話を黙って聞くことにした。

 

 

 

『んふふッ…おバカな、あんたに解りやすく説明してやるとだねぇ~

 

そうだね…今風に例えるなら、ほら…最近、巷を賑わせているラジヲってハイカラな機械があっただろう?

 

ん~と…それを受信する機械を人間とするとだね、再生する音源は大気中を漂う電波だよねぇ、

 

電波自体の存在は…そこには確かに有るが感じられないよね、みえやしない!

 

つまり…チャンネルっていうのかね、波長が…


ん~…なんと言うのか、ピタリと合わないと能力者だろうとみる事なんて出来ない訳なのさ…』

 

 

ら…ラジオがハイカラだなんて、いつの時代だよッと思いながらも…影人は朱雀の話で気になった疑問点を遠慮気味に聞いてみる事にしたのであった。

 





 

「あ…あの朱雀様、みえる仕組みについては、なんとなく理解しましたが…しかし、一体全体…念神体に触れたり出来るのは何故なんですか?」

 

 

『む~ッ!?


朱雀様なんてさ…堅苦しいよさ!

 

いっそ…この際、朱雀ちゃんとか…朱雀たんとか…朱雀りんとかで呼んじゃいなよ!

 

アハハ…』

 

 


 

ウリウリ~ッと小さな身体で…頬っぺたの辺りを何度も肘で執拗に小突いてくる朱雀と質問の意図とは違う返答に狼狽えながらも恐る恐る答える影人である。

 

 

 

「………え~と

 

じゃあ…朱雀ちゃんの方向で………

 

あの…ところで俺の質問の答えは?」

 




 

『ん~…

 

良いやね~…

 

朱雀ちゃんだってさ、

 

ウフフフフ…

 

…………!?

 

あぁ…質問の…こ…た…えだったね…

 

エホン…まぁ、なんだね、触れられた瞬間に触感さえも身体を取り巻くオーラが忠実に再現している訳なのさ…

 

だから、みえない人間は触れたり出来ないし、声だって聞こえないのさ!』

 



 

 

朱雀の説明に頷く影人は…現在、念神体がみえている人間を改めて…確認してみることにした。

 

 

 

「まず、俺と楓さんと光透波だろ……

 

ん~…?

 

それから…じいちゃんに、竹りんかな?」

 

 

どうやら…能力者以外の人間では光透波と竹りんだけがみえているのかと確認する影人である。

 

 

 

 

……………………………

 

 

 

 

一方…先程から、かな~り放置プレイ気味の羅刹はと言うと………

 

 


 

虫の息ではあったが…いつの間にやら、完全にノックアウトされていた。

 

 

もともと副作用の強い…しかも未完成品のクローンソウルを限界以上の出力で使用した為に…力の反動つまりはリバウンドで朱雀の念神体が女性の姿へ変わる頃には、すでにギョロリと白目を剥き、仰向けになってブクブクと汚らしい泡を吹いて倒れていたのだった。 

 

 

 

「うふふ……………フフフフフフフフッ!」 

 

 

 

ようやく…一段落、着いたかのように思えた頃……… 

 

 

そんな虚空に不気味な笑い声が紅い月夜の大気を震えさせたのだった。

 

 

 

「ア~ハッハッハッハッハッハッハ~…!!」

 

 

 

 

 

………果たして、この声の主の正体は誰なのか?

 

 

影人達に…さらなる危機が訪れるのであろうか?

 

 

 

一層…肌寒さを増した夜風がヒュオオオッと吹き抜けていったのであった。

 

 

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