#20
ゴゴゴゴゴゴゴ………ッ!!
影人は…安寧たる闇の中から抜け出し、己の真なる魂を呼び起こす事が出来たのであった。
それに純粋に地球と呼応するかのように勇ましく大地が鳴動し激しく震えるのであった。
「………よし、さぁ…今こそ覚醒めよ……
朱雀ゥゥー…ッ!!
俺は…俺のまもるべきモノを信じる
その為の希望の光となる事を誓うッ!
………共に戦おう、朱雀! 俺は…もう迷わないッ!」
影人は胸の前でパッと広げた左手に…しっかりと握り締めた右拳をパシッと軽く打ち付けて気合いを入れ直すと、両腕を天にかざすように広げ…遠くまで聞こえるように大きく通る声で闇夜の冷たく澄んだ漆黒な大気をビリビリと震わせたのであった。
ッ…………………………!!
影人の意識とは無関係に背中の翼を大きく広げて、はためかせると目の前が真っ白になる程に輝いたのである。
その輝きは…まばゆい虹のように七色の閃光を放ち、明滅する。
光の粒子の中から朱雀の声が高らかに響くのであった。
『キシャァァォ~ンッ!!』
正しく言葉にして表すのが複雑で困難であるが神々しく力強い鳴き声と共に…朱雀は炎の翼が消えた影人の背中から勢い良く飛び出したのだった。
「ん~まぁ~ッ…あれが朱雀ちゃんなの~ぉッ
…な……なんて、美しいのかしら」
梅ちゃんは…松っつんを懸命に手当てしながらも、その手を止めると…朱雀の神々しい姿に、ついつい、うっかり見惚れてしまうのであった。
漆黒の闇夜の虚空を貫いて…紅き真円を描く月よりも大きな翼で飛翔する朱雀。
真昼の燃え盛る太陽よりも眩しいくらいに輝く朱雀の姿がそこにあったのである!
悠然と翼をはためかせている…その姿は燦然と輝き、天から舞い降りた神の使いのようであった。
朱雀は上空をぐるぐると何度か旋回すると…ゆっくりと下降して、影人の目の前へ豪快に着地するのであった。
『キュェェェェ~ッッ!!』
熱くたぎる怒りをぶつけるような叫び声で…再び、ビリビリと大気を震えさせる朱雀。
影人の方をギロリと威嚇するように鋭く睨み付ける朱雀。
その鋭い視線を真正面から受け止め…微動だにせずに影人は、こう言ったのである。
「…ッ……………………
俺を試しているのか…!?
…朱雀ッ!!
大丈夫だ……………
俺は…もう二度と闇に魅入られたりはしないさ」
影人はギュ~ッと朱雀の首筋辺りを優しく抱き寄せるとフサフサとした燃え盛る柔らかな毛並みを何度も撫でてあげるのであった。
「……くぅ~~~ん…!!」
巨大な体躯には似合わない子犬みたいな甘えたような鳴き声をあげると朱雀は…影人にスリスリと頬摺りして喜ぶのであった。
「アハハハッ、くすぐったいよ!
やめろよ、朱雀ったら……」
言葉とは裏腹に影人は…それほど嫌な気分では無かったのである。
……………………………!!
「ん~…しかし、いくら四神のソウルズの念神体とは言えども、ちょっとデカ過ぎだろう………
あ…そうだ、そうだよ!
人間みたいな女性の姿をした朱雀が反省室にいただろ………
え…と、あんな感じにはなれないのか?」
それを聞いた影蔵は小さく呟きツッコミをいれたのであった。
「ムムム…彫魂神殿じゃ、断じて、反省室なんぞではないわいッ!!」
少し拗ねた子供みたいに影蔵は…ブツブツと呟いていた。
すると…朱雀は影人の言葉を了承するかのように行動に移るのであった。
小さく折り畳んでいた翼をバサッと大きく広げると眩しい閃光を放ち、明滅する。
周囲には…波打つような閃光の粒子が激しく、ほとばしっていくのだった。




