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街は完全に冬の色だった。
イルミネーションが通りを埋めて、
吐く息が白く溶ける。
人混みの中、
悠は朱里の手を握って歩いている。
指先が冷たい。
「寒い?」
「だ、大丈夫です」
でも肩が少し震えている。
悠は自然に距離を詰める。
腕が触れる。
マフラー越しに体温が混ざる。
きらきらした光の下で、
朱里の横顔が柔らかく照らされる。
悠は少しだけ息を吐く。
「……今日くらい」
低く。
「我慢やめていい?」
半分、からかい。
半分、本音。
朱里の動きが止まる。
目が大きくなる。
顔が一気に赤くなる。
「……あ、あの」
「ん?」
「うち……片付ける時間、少しください……」
「……は?」
思考が止まる。
イルミネーションの光がやけに眩しい。
「え、片付け……?」
「だ、だって、悠さん実家、ですよね……」
「え……」
数秒の空白。
「あー……」
ようやく理解する。
「いや、そういう意味じゃ、なかっ、たんだけど……」
朱里の顔がさらに赤くなる。
「え……」
「あっ……やだ、私……っ」
両手で顔を覆う。
耳まで真っ赤。
「ち、違います、その、私、別に……!」
半泣きの朱里。
悠は一瞬目を閉じる。
そして、
深く、息を吐く。
「はぁー……」
額に手を当てる。
「お前、ほんとずるいわ……」
朱里がびくっとする。
「え……?」
悠は一歩近づく。
距離が、近い。
イルミネーションの光が、
二人の間を揺らす。
「家、行っていいの?」
さっきより本気。
朱里の喉が小さく鳴る。
「え……」
逃げない。
でも震えている。
悠はそっと頬に触れる。
冷たい。
でも内側はきっと熱い。
「俺は、ちゃんと止まる」
静かに言う。
「お前が嫌なら、何もしない」
その言葉に、
朱里の肩の力が抜ける。
「……嫌じゃ、ないです」
小さい声。
でもはっきり。
悠の理性が、軋む。
「……今の、反則」
朱里はまだ赤いまま。
「じゃあ……」
震える声。
「少しだけ……」
悠は笑う。
柔らかく。
「覚悟決めろよ」
からかい半分。
本音半分。
冬の空気の中、
距離が一気に近づく。
イルミネーションより、
二人の間の熱の方が強い。




