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久しぶりの、遥花さんとの時間。
前は一緒に買い物をしたり
おうちに遊びに行ったりもした。
澪花ちゃんを見るのがつらくなって
澪花ちゃんを感じるのがつらくなって
なくしてしまった時間。
きっと遥花さんたちも、
わかっていたんだろう。
送ってくれてた写真たちも
いつからか来なくなった。
きっと、
私を待ってくれていた。
「遥花さん」
「ん?」
いつも通りの遥花さん。
……変わってしまった私。
でも、
まだ、終わってない。
小さく息を吸って、吐く。
不自然な間ができても
遥花さんは何も言わない。
遥花さんも、湊さんも
悠さんも
私を待っている。
「私、不妊治療してたんです」
遥花さんは何も言わない。
ただ、私の言葉を待つ。
「でも、だめでした…」
「いろんなことがつらくて、遥花さんたちを避けてました」
遥花さんはこちらをみない。
怒ってるんじゃない、
プレッシャーを与えないようにしてくれてるんだ。
「……私、ままになれませんでした」
涙が出そうになる。
それに少し安心する。
私、まだ泣けるんだ。
「朱里ちゃん」
「……はい」
「私朱里ちゃんに沢山助けてもらったよ」
「え…?」
「湊には言えない話聞いてもらったり、一緒にベビー服買いに行ったりもしたよね」
遥花さんの妊娠中
妊婦さんにいいお茶をプレゼントしたり
絵本を選んでいると
涙もろくなった遥花さんが泣き出したり、
たくさんの笑顔があった。
澪花ちゃんが産まれてからも
たくさん、
たくさんの時間があった。
「朱里ちゃんと一緒に、ままのつもりだったよ」
一緒に
一緒に、まま
……そうか。
私、ままになれるんだ。
手の甲に雫が落ちる。
胸の奥を覆っていた何かが、
すーっとなくなるのを感じる。
顔を上げると
シーソーに座った悠さんと視線が合う。
澪花ちゃんを飛ばしてしまわないよう
こちらに来れないみたいだ。
思わず笑ってしまう。
隣で、遥花さんも笑っていた。
ああ、
やっと。




