表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/157

131




静かな部屋。


時計の秒針だけが小さく音を刻んでいる。


ソファに座ったまま、何度か姿勢を変える。


落ち着かない。


理由は分からない。


今日も特別なことは何もなかったはずなのに、

胸の奥に引っかかる感覚が消えない。


朱里の「明日、病院なので」という言葉が、

何度も思い出される。


気にするほどの話ではない。


予定を聞いただけだ。


それなのに、なぜか考えが止まらない。


息を吐き、テーブルの上のパソコンを開く。


理由を探すより先に、

手が動いていた。


体外受精 流れ。


検索結果を開く。


採卵。

受精。

培養。

移植。

判定。


画面に並ぶ工程を目で追う。


難しい内容ではない。


順番も、期間も、きちんと整理されている。


読み進めるうちに、

明日の通院の意味も自然と分かる。


これで流れは理解できた。


何が起きていて、

次に何があるのかも分かった。


それで十分なはず。


分からないことがなくなれば落ち着く。


——なのに。


胸の奥のざわつきが、

少しも変わっていないことに気づく。


理解はできた。


不安になる理由も見当たらない。


それでも、

落ち着かないまま。


なぜなのか分からない。


分からないままなのが、

いちばん引っかかる。


寝室のドアへ視線を向ける。


朱里はもう眠っている時間。


何も変わっていないはずなのに、


自分だけがまだ、

同じ場所に立てていない気がする。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ