表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/157

106




六月。


「明日、注射です」


夕飯を作りながら言う。


「何時?」


「十八時半」


「迎えいるか?」


「大丈夫です」


やり取りは短い。


最初の頃みたいに注射どうだったとか

痛くなかったとか、あまり言わなくなった。


痛みは、慣れる。




七月。


「今週ですね」


カレンダーを見ながら言う。


「了解」


それだけ。


前は少し照れがあった。


今は、確認。


夜。


触れる。


愛情はある。


でも、始まりが自然じゃない。


どちらかがきっかけを作るわけでもなく、


「今日だよな」


で始まる。


それでも笑う。


「業務連絡みたいですね」


「だな」


笑って終わる。




八月。


「旅行どうする?」


「その週、排卵近いかもです」


「あー」


数秒考える。


「じゃあ翌週にするか」


簡単に変更する。


不満はない。


優先順位が少し変わっただけ。


それだけのはず。


生理。


来る。


カレンダーに印をつける。


ため息は出ない。


泣きもしない。


「次ですね」


口癖みたいになる。


ある夜、ふと気づく。


排卵日の前後しか、触れていない気がする。


思い返しても、


ただ一緒にいたくて触れた夜が、思い出せない。


でも、困ってはいない。


喧嘩もしていない。


会話もある。


笑っている。


ただ、


“目的のない夜”が減っただけ。


夏が終わる。


気づけば、九月が近い。


何かが削られている。


きっと、


二人の間にあった、少しの余白の部分。


それでもまだ、壊れてはいない。


まだ、やれている。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ