第2章 占い師としての日々 第3話「店と運用2」
「置いていいぞ。」
「ありがとうございます。」
シュンゴは頭を下げた。
その後、ジェイクは少し考えるそぶりをした。
「ただ、まあ、、、。ここの街の店主はクセの強いやつが多いから、めげずに頑張れよ!」
「はい」
「うちじゃ、置けないな、、、。そもそもメリットがない。君は店を始めたばかりだし。私が君に協力したところで私にはメリットがないだろう、、、?せいぜい自分の店なんだから自分で頑張ることだな。」
「、、、ありがとうございました。」
「先生、もう20件断られた。この街の店の約4割。これ以上はやっても意味がないと思う。」
「、、、そうだね。少しやり方を変えてみようか。一旦持ち帰って考えてみるよ。」
次の日。
「先生、断られた店に何をしに行くの?」
「、、、占いをしに行く。」
ここは以前断られた武器屋の店だ。
どうやら最近売り上げが出ていないことをジェイクから聞いた。まずはそこから切り崩していく。
「どうした?昨日の件ならもう断ったはずだが。」
「無料占いをしにきました。今お時間はありますか?」
「はあ?何言ってんだ。そんなことにかまけてる暇はないんだよ。こっちはな、、、」
「、、、売り上げが出ていないんですよね?」
「、、、なんでわかるんだよ。」
「今日はその問題の解決の糸口を見つけるお手伝いをしたくて来ました。これが占いという学問の強みなんですよ。」
「、、、一回だけだからな。」
「、、、まず、ロイドさん。私はあまり武器のことは詳しくないのですが、どのようなスタイルで店を経営していますか?」
「、、、そうだな。うちは何より質と安さ重視よ。これでも元々武器職人だったもんで、それをもとに武器を適正な価格と質で見積もって購入して、それを売り捌いているだけだ。」
「なるほど。それなら接客はご自身で?」
「そうだな。自分で売っている。」
「なるほど、、、。ちなみに今のお店の配置は昔から?両脇が高い建物で挟まれていますが、風水的には凶相と言って、運気が悪くなる配置なんですよ。」
「、、、そうなのか?そういえばここ数年で両隣の店が改築されて高くなってうちの売り上げも落ちたような、、、。」
「あとはそうですね。これはある程度どうしようもないことなんですが、ロイドさんのお顔立ちがちょっと接客向けの顔ではないんです。眉が吊り上がっていて唇も両端が下がっている。そして目尻も上がっていて客商売に向いてる人の人相ではないんですよ。」
「そ、そうか。」
「そこで、可能ならば、でいいんですが。」
一呼吸おく。
「眉毛を剃って、自分で描いてみてください。下がり眉に。こうするだけでだいぶ印象が変わると思います。」
「それと、ロイドさんは自分の信念を持って店の切り盛りをしているとは思いますが、お店に対して武器の販売をするのもよいかもしれません。もちろん今のまま売ってもいいんです。ただ、この街の立地上、武器が行き渡らない箇所もあるかと思うので、販路開拓ということでやってもいいんじゃないか、と。」
「、、、なるほどな。」
「以上です。また何か進展があればぜひ占いの店に来てください。」
「、、、。じゃあな。」
「先生、あれで大丈夫だったの?占い、というより結構経営方針にも口出ししていたと思うけど。」
「リーセ、占いだけではダメなんだよ。占いは最後の手段なんだ。あくまでも前提知識をちゃんと身につけておかないと占いに飲まれてしまう。これが占いの怖いところなんだ。ただ闇雲に占いの結果だけ信じてしまう、と。」
「?」
「足元を掬われてしまうんだよね、、、。」
一週間後、店に少しずつ客が来始めた。
「占いの館へようこそ。」
「おう、よろしく頼むわ。」
そこには眉毛を剃って下がり眉を描いて照れ臭そうに笑う、ロイドの姿があった。
(ああ、やっぱり人が喜ぶ姿っていいな。)
シュンゴは笑顔でロイドを占いつつ、輝く彼の姿に未来の可能性と占いの奥深さをしみじみと感じた。




