第2章 占い師としての日々 第4話「依頼と信頼1」
シュンゴの店が少しずつ繁盛してきた頃、アンジェは自警団のことで悩みがあった。
「最近、詰所の中で盗みが多発している、、、。誰がやったのだろう、、、?」
「アンジェ団長!」
「なんだ?」
「今月の自警団の維持費の辻褄が合いません。」
「またか、、、。ううむ、誰か解決してくれる者はいないものか、、、。」
「、、、そういえば。」
「ん?」
「最近、シュンゴという者が営む占いの店に行ったんですけど、気持ち悪いくらいに当たるんですよ。彼に任せてみるのはどうでしょうか?おそらく人を見る目はかなりあると思いますよ。」
「、、、そうか。シュンゴにそういう特技があったんだな。ちょっと会って確かめてみるか。」
「先生、大丈夫?」
リーセが心配そうにシュンゴを覗き込んだ。
「ああ。しかし、さすがに何人もみていると精神的に疲れてくるね、、、。ちょっとは気分転換に出かけてみたいもんだよ。」
「やあ、繁盛してるね。」
「アンジェさん、どうしてここに?」
シュンゴが驚いて馬上のアンジェを見上げた。
「リーセも元気そうだね。」
「、、、それなりにやれている。アンジェの紹介した仕事に就けなくてごめんなさい。」
アンジェは馬から降りて、リーセの肩に手を置いた。
「なあに、今はちゃんと仕事をやれているのだろう?それならよかったよ。人材ってのは環境によって生きたり死んだりするもんだ。」
「ところでアンジェさん、今回は何用で?」
「、、、ああ。あまり聞かれたくない話だから、客足が減るまで待っていてもいいかな?」
「はい。1時間ほどかかってしまいますが、大丈夫ですか?」
「なあに、ここでお前たちの仕事ぶりを見ているよ。」
1時間後。
「、、、驚いた。シュンゴは吟遊詩人よりこちらの方が向いているな。ジェイクもなかなか見る目があるな。」
「、、、恐縮です。あくまで私の力ではなくて、占いの知識をもとにした推測なので、全部鵜呑みにはしないほうがいいと思いますよ。」
「なるほど、、、。用というのは、自警団の中で盗みをしているやつがいてな。そいつを見つけて欲しいんだ。できそうか?」
「それはちょっと難しいですね、、、。占いは確実に当たるものではないので。それに私、腕っぷしの方はダメなので、犯人見つけても倒されてしまっては元も子もないですよ。」
「そうか、、、。」
アンジェは腕を組み、僅かに思案した後、シュンゴにこう提案した。
「それなら、私がシュンゴを守ろう。それで犯人の目星はつけるが、証拠が上がるまでは捕えない。その条件ならどうだ?」
「、、、アンジェさんにはお世話になっていますし、協力します。ただ、占いは未来を絶対に当てるものではないですので、そこを忘れないでくださいよ。」
「わかったよ。ところでリーセはどうするんだい?君はシュンゴの助手、ということでいいのかな?」
「そう。シュンゴは私の先生になっている。私は先生のサポートをしているから助手ということになる。」
「シュンゴもリーセを連れて行くことに反対はしないか?」
「はい。最近はリーセがいないと店がいろいろな意味で回らないですし。出立はいつでしょうか?その日は店を休みにするので、継続しているお客さんにも連絡しておかないと。」
「明後日だが、大丈夫か?」
「はい、それなら。手紙出しておけば大丈夫です。ちなみにその日は自警団の皆さんは全員お集まりになるのでしょうか?」
「招集はかけているが数人は欠席するかもしれない。すまない、その時はまた頼むかもしれないが、できるか?」
「はい。ただあくまでも目星をつけるだけなので、過信はしないでくださいよ。」
「わかってるさ。こっちは解決の糸口すら見えないんだ。使えるものならなんでも使うまでだから安心してくれ、、、。すまない。失礼だったか?」
「いえいえ。むしろそのくらいの方がこちらも肩の力を抜いてみれますので助かりますよ。それでは明後日、よろしくお願いします。」
「、、、よろしく、アンジェ。」
「ありがとう。明後日は9時ごろに来てくれ。できる限りメンバーを集めておく。」
アンジェは馬に乗って遠ざかっていった。
「、、、先生、大丈夫そう?」
「ううん、、、。まあやるだけやってみるしかないかな。リーセも前言ってたけど、アンジェさんってこの街の偉い人なんだよね?あそこまで頼まれたらやっぱりむげに断るわけにもいかないだろうし。」
「一難去ってまた一難。」
「まあ、これが私を鍛えてくれるチャンスだと思えばなんとか、ね。」
「、、、先生ってマゾヒスト?」
「そこはストイックと言ってもらえるかな、リーセ。」
シュンゴは苦笑いをした。




