第1章 吟遊詩人で占い師 第3話 副業占い師
この店で働くことになって2週間経った。
「なあ、シュンゴ」
「何でしょうか?」
ジェイクは気まずそうに頭を掻きながらこう聞いた。
「お前の歌。なんというかもっと即興っぽくなんねえのか?正直、お前の色が強すぎてあれはうちの客のテーマソングじゃなくて、シュンゴの歌になってるぞ。」
「すみません、、、。自覚はしていましたが、どうしても自分の書きたい詞じゃないと納得のいく歌にならないみたいですね、、、。」
「とりあえずお前が自分で書いた詞は歌えばいいが、他に客が喜ぶ特技はねえのか?お前のことだからなんかあると思うんだが、、、。」
シュンゴは少し気まずそうにこう答えた。
「占い、というものができます。」
「はあ、占い?なんだそりゃあ!」
「人間の性格を当てることができる昔からある経験値由来の学問、というか、、、。」
「お前の話はちょっと難しいんだよなあ。具体的にはどういうことができるんだ?」
「部分的な人の情報、、、。顔の形や部位、手のしわの状態、生まれた時間から人の性格がある程度わかるんです。正直に言うと、ジェイクさんの面接でも使いました。」
「マジか!すげえな!それって恋愛相談とか仕事の相談とかもできるんじゃねえか?」
「はい、できます。というよりそういう相談に指針を与えるのが占いの目的ですね。」
「そりゃあいいな!さっそく今日の夜の仕事からお前、それやってくれ!演奏はよお、1時間くらいでいいわ。」
「はあ、わかりました。」
正直、複雑な心境であるが、まあいいか。ひさびさに占いやれるのは楽しみだし。
ジェイクの説明もあり、シュンゴは定番になりつつある自作曲を弾いた後、簡易的な占いスペースを取って、客の相談を待った。
「あのう、、、。」
20分後、おずおずと来た女性客。踊り子さんかな?
「占いでしょうか?いいですよ。何でもご相談ください。秘密厳守なので大声で話さない限りは秘密は漏れないですよ。まあ、酒場なので小声で話すのは少し難しいですが。」
「ふふっ、そうね。それなら踊り子の仕事と恋愛相談をお願いしようかしら。30分銀貨5枚(5000円程度)何でしたっけ?」
「そうですね。まあ初回なんで少々の延長は全く問題無いですよ。では見ていきますね。まずは仕事から見て行きますか。生年月日をお教えください。」
「はい。」
この国でいう生年月日と前世での生年月日との相関関係は把握済みだ。ほぼ一緒であった。強いて言えば建国の年数基準なので、前世よりも1000年単位で短いと言ったところか。
こちらの踊り子さんは、数秘で過去3、現在6、未来9、算命学では、中心が龍高星、あとは他も水の星と金の星がとても多かった。
「あのですね、、、。失礼かもですが、習得が早く運動神経は良いが、芸術性が無い、とか言われませんでした?」
「えっ!なんでわかるんですか?」
「実はあなたには習得能力が強い水の星と運動や行動力の星である金星がとても多かったんです。ただ、芸術性は水火の激突、という、いわゆる火の星と水の星が無いと生まれ難いんです。火の星を持って無いので。そうかな、と思いまして。」
「あと、性格ですが。数秘でみると、女性らしい要素は多々あるのですが、根は子供のように人生を楽しみたい性格ですね。あとは好き嫌いが激しい、、、。おそらく恋愛相談はおモテになられるのでしょうが、好きになれる相手がいない、いたとしても束縛が強そうな方で少し不安になっている、と言ったところでしょうか。」
「予言者ですか!まさにそれなんです!贅沢な悩みかと思い、相談し難かったんです。」
「これは占いという学問ベースから来るただの予想なので、褒め言葉は占いという学問に対して、で受け取っておきますね。さて、解決方法ですが、まあ風水の視点でいけば、踊り子さんは赤のアイテムを身につけるといいかもしれませんね。赤の要素がもともと無いので。あとは、水金の星が多いということは、学んだことをすぐに身につけてそれを元に行動できる、、、。話すのは苦手でしょうから。これまで通り踊り子を続けながら、フリーの踊り子でバックダンサー?とか副業でやったり、あとはテクニックの部分で尖ったりするといいんじゃないでしょうか?例えば、人気の踊り子さんの踊り方を身につけて取り入れたりとか。」
「わかりました。やってみます!」
「あとは、恋愛相談ですが、気になっている彼の生年月日は、、、。わからないですよね。顔の特徴とかわかりますか?」
「そうですね、、、。彼は四角い顔で吊り上がった細い目、大きな口がワイルドで好きですね、、、。」
「なるほど、、、。踊り子さんが仰った特徴がですね。頑固で生きる欲望が強い、情報を選択するタイプでハッキリものを言いやすいタイプかもしれないですね、、、。これは良い悪いって話では無いですよ。つまり、踊り子さんに惚れたらその愛をしっかり貫いて幸せにするために頑張れる人なのですから。まあ、踊り子さんの不安通り、ちょっと頭固いかもしれませんが、ね、、、。」
「えっ!ほんと、なんでそんなにわかるんですか?!」
「ま、まあ、これが占いっていう学問なんですよ、、、。とりあえず彼との関係を進めたいなら難儀なものかとは思いますが、彼が惚れるまでしつこく接することでしょうね。彼の趣味とかを一緒になって取り組んで彼がすごいって言うまで極めるのもありかもですね。踊り子さんは習得能力、たぶん高いので。彼はいわゆる職人さんの人相をしているので、彼のわかる範囲の分野で結果を出すのがいいと思います。あっ、もう時間か。とりあえず、よろしければまた相談に乗るので、よかったらまたお願いします。」
「ありがとうございます!こちらこそ進展があればまた相談します!本当にありがとうございました!」
「うーん、、、。」
「どうした、シュンゴ?あの占いってやつ、すげえじゃねえか!途中からうちの客がこぞって占えって来て大人気だったのに、どうしてそんなに浮かない顔なんだ?」
「私としては趣味だったので、、、。本業は吟遊詩人のつもりだったんですがね。」
「それでもよかったじゃねえか!ほら、うちらもだいぶおいしい思いしたし、戻って祝い酒といこうじゃねえか!」
「ソフトドリンクでお願いしますよ。飲めないので。」
「つれねえなあ。まあいいや、楽しく飲むことが大事だからな。ほら行くぞ、シュンゴ!」
「はい」
どうやら、私の職業は占い師に決まりそうだった。名目上は副業だが。




