第2章 占い師としての日々 第12話「試験と信頼5」
技官に今回の経緯を説明すると、提案を含め、快く受け容れてくれた。
シュンゴは机の前でウンウン唸っていた。
「さて、問題となる教育資料だが、、、。」
「どうするの?」
リーセが心配そうにシュンゴの顔を覗き込んだ。
「この街の識字率は低い。技官の方は文字は読めるが、原理原則を理解していないと判断や解釈がぶれてしまい、長続きする仕組みではなくなるかもしれない、、、。」
「国の統治システムのようなもの?」
「構造的には同じだね。ただ今回の件はさすがにそこまで大きくはないと思う。リーセ、悪いけどまたイラスト描くの頼めるかい?」
「わかった。」
リーセは部屋を出る前に振り返って
「失敗しても成功しても先生は私の先生だから。」
と言った。
「やれやれ、、、。こんなこと言われると引き下がれなくなるなあ。罪な教え子だよ。」
シュンゴは夜遅くまで資料を作成していた。
この世界には黒板に近いものが存在したようで、シュンゴはそれを使って技官の方に説明を始めた。概ね、上水道に関してはだいぶリーセや街の人にも理解してもらったと思うので、今回は廃水処理についての知識と仮説、実践してほしい内容について説明していった。
「、、、なるほど。つまり、汚れたものを川になるべく流さない、微生物のすみかを作って汚れを取る。さらに飲み水は煮沸させて飲む。そして、なるべく川の上流の方で生活水を採る。そうすることで体調不良が避けられる、、、。という解釈でよいのでしょうか?」
「はい。もちろん我々も連絡いただければ随時相談に乗らせていただきますので、先程の知識の共有と施策の実施をしていくことをお願いできますか?」
「わかりました。しかし不思議ですな。炭に特殊な処理を加えるだけで水の浄化作用が生まれるとは、、、。」
「まだどれほどの効果があるかは未知数ですがね、、、。我々のいた国ではよくやっていたんです。とある飲料の容器なのですが、これの表面に細かいデコボコがあって、微生物のすみかになるんです。特殊加工した炭でもおそらく対応可能なので。これも透視度等で継続的に分析評価し続けて効果を検証していきましょう。」
「わかりました。ありがとうございました。リーセさんもわかりやすい図をありがとうございます。これならだいぶ説明しやすそうです。」
「、、、私は私のできることをやっただけ。」
「ありがとうございます。リーセ、そこは自信を持っていいところだよ。だから素直に受け止めたらいいんだよ。」
「、、、わかった。ありがとう。」
「、、、これでよかったのかなあ。」
「先生も悩むことってあるんだ。」
「そりゃあね。今回の件だって結局技官の方に丸投げしてしまったからね。本当は自分で動いて解決できればよかったんだけど、、、。」
「やることをやったらあとはなるようになる、という趣旨のことを先生は言ってた。」
あちゃあ、とシュンゴは頭に手を当てた。
「こりゃあ一本取られたね。リーセ、何か食べたいものはあるかい?奢るよ。」
「、、、ひさびさにジェイクの店で客として食事がしたい。」
「わかった。それじゃあ帰ろうか。」
夕日で映し出された2人の影は遠く遠く伸びていた。




