第2章 占い師としての日々 第9話「試験と信頼2」
「よし、早速調べていくか。」
住民に説明及びヒアリングをしていき、大雑把に地図にチェックをつけていく。
「、、、やっぱり街の水では何件か体調が悪くなる、っていう報告があるな。」
「、、、先生、この作業が昨日の晩に話していた水質の把握に繋がるの?」
「そうだよ。まずは採水箇所の把握とそこの水の水質を大雑把にみていく。」
シュンゴは事前に用意した容器を取り出し、水を汲み始めた。
「さて、、、。」
現在の水道の水源といくつかの候補となる水源の水を採水し、ビンにそれぞれの採水をタグ付けしていく。あと実際に使用している街の水道水も採取した。
「リーセ、水源にいる魚は何匹か採れたかな?それと水草も。」
「うん、採れた。ちゃんと生きてる状態で採った。」
「よし、それじゃあ試していくか、、、。」
容器にそれぞれ水草と魚を入れていく。一応、魚の健康状態や急激な環境変化等への影響を考慮した上で2本分試す。
「、、、先生、これで本当に水質がわかるの?」
「まあ、大雑把にだね。人間の代わりに綺麗な水質、、、川でも下流の方ではなく上流部。つまり水源近辺に住んでいる生物を使って有毒な成分が含まれていないかを試しているんだよ。含まれていたら、、、。やっぱり街の水に入れた魚は死んだな。」
「、、、やっぱり街の水は問題?水草は元気そう。」
「水草を入れた理由はね。水の中に含まれる酸素を補給するためさ。短時間ならばなくてもいいのだけど。少し長期間見てみたくてね。酸素不足で魚が死ぬことによる誤差を無くすためだよ。これだけで十分わかるわけではないけれど、きれいな水に生息している魚にしているし、他の理由が原因の死因もある。だから同じ条件で2本試しているのもあるんだ。」
「酸素って何?」
「この世で生きている生き物の大半が必要としている生命活動に必要な物質さ。これがあるとエネルギーを生み出せる。だいたいは空気中に含まれているんだけど、水中や地下道みたいに空気が溶け込み難かったり、空気が滞っていたりするところには少なくなる。だから水草を入れたっていう背景になるね。植物は日光を浴びると酸素を作り出せるんだよ。」
「、、、植物ってすごい。」
リーセが珍しくワクワクしているので説明を続けたかったが、一応今日中に基本的な水質検査を終わらせたい。現状、夜になると水草も光合成ができなくなって、魚も全部死んでしまう可能性があるからだ。
シュンゴは瓶の底に十字の印と瓶の高さがわかる目盛りをつけた瓶を用意し、そこに少しずつ採水した水を注ぎつつ、十字が見える範囲の高さを記録し始めた。
「先生、これは何?」
「これは透視度と言って、十字線が見えなくなるまでの高さを測ることで、水の濁りや透明度を大雑把に見ることができるんだ。これとさっきの魚の試験と照らし合わせて、総合的にどこの水源が良いのか、判断しようと考えているんだ。」
「、、、そう。でも不思議。こんなにシンプルなものでいろんな場所の水質が判断できるなんて。」
「、、、本当はもっと詳しく測定したいんだけどね。今ある道具や資源じゃ、これくらいが限界なんだ。とりあえず透視度が良いのと魚が生きているかどうか、で水源候補にあたりをつけていく感じだね、、、。」
「、、、もっといろんなものが測定できるの?」
「、、、まあ、装置や薬品が準備できれば、の話だけど。たくさんあるよ。水の中にもいろんなものが溶け込んでいたり混じっていたりするんだ。大雑把に言うと、雨水が山の中に染み込んでいくことで濾過されていき、それが湧き水となり、川となって海へと流れていく。だからだいたいはその山の地質に影響されていることが多いけれど、、、。」
「、、、シュンゴさん。」
先日相談した技官の方だ。
「あ、はい。なんでしょうか?」
「これはいったいどういうことをしているんですか?」
シュンゴは少し苦笑いしてリーセに目をやった。
「リーセ、説明頼めるかい?分からないところがあれば私が補足するよ。」
「わかった。」
リーセは少し声を弾ませつつ、技官に説明し始めた。




