第2章 占い師としての日々 第7話「過去と試験2」
アンジェの試験を受けることに決めた。
指定された場所へ行き、呼ばれるまで待つ。
(部下になると決まったら占いの店は続けられないだろうな、、、)
そのことに対してシュンゴは一抹の寂しさを感じたが、これも人生経験だろう、と割り切ることにした。
「、、、落ちて当たり前だ。人生経験として受けてみよう。」
「、、、先生なら普通に通ると思う。」
リーセはどこか呆れた表情でこう言った。
「さて、シュンゴ。君は占いと吟遊詩人の経験があることは知っているが、他にできることはあるのか?」
「はい。元々前の職場では技術の仕事をやっていたので、飲み水やゴミ問題等、衛生を改善する技師としてお役に立てると考えております。」
アンジェは少し考え込むような仕草をして、
「それなら街の東の区画の飲み水と下水の衛生状態を改善する仕事に携わってくれないか?あそこは衛生状態が悪く、病気で亡くなっている者が多い。シュンゴの技師としての力を発揮できると思うが、、、。」
シュンゴは少し顔を俯かせたが、表情を引き締めて顔を上げ、
「はい。それならば、現時点でこの街がどの程度の衛生技術を有していて、どの程度の設備が導入可能か、調べてからどの程度改善が見込めるか見てから決めたいのですが、可能でしょうか?」
「ああ、わかった。シュンゴ自身はこの問題に取り組むことに消極的である、というつもりではないのなら、見通しが立ち次第、やってみてほしい。街の図書館や衛生に詳しい技師に話をつけておこう。それでいいかな?」
「、、、ご配慮いただきありがとうございます。ぜひ私の力で解決可能ならばやらせてください。」
「さて、リーセ。君はシュンゴのサポート役としてよく勤められていると私は評価している。今回シュンゴには街の衛生状態を改善する仕事を与えた。本人はまだ実現可能かどうか調べてから協力する、と言っているが、君もその仕事でシュンゴをサポートする、ということで問題ないかな?」
「先生のやることに従う。それが私の未来に繋がっていくと思う。なんとなくだけど。」
「そうか、、、。ならリーセ、君に聞こう。君は何ができるかな?」
リーセは言葉に詰まった。
(私にできること、、、。なんだろう、よくわからない。でもここで何も答えないわけにもいかない。)
「、、、私は本を読むこと、学ぶことが好き。先生といるとそれが現実のものになるからとても楽しい。」
「、、、。これって理由になる?」
アンジェは一瞬黙り込み、大声でハハハ、と笑った。
「それでいいよ、リーセ。君らはまさに名コンビだね。」
「、、、何が面白いかわからないけど、先生と一緒ならそれでいい。」
「ああ、問題ないよ。それならリーセはシュンゴのサポート役として仕事を受けてもらおう。」
「、、、わかった。ありがとう、アンジェ。」
「ああ、よろしく、リーセ。」
シュンゴはリーセが面接室から出てきた際、小走りで駆け寄った。
「リーセ、大丈夫だったか?」
「、、、問題ない。先生は少し過保護。私だって少しは仕事ができるようになっている。」
シュンゴはほおを掻いた。
「、、、すまない。たしかにそうだよな、先生としては素直に教え子の成長を喜ぶべきところだった。前祝いとしてジェイクさんの店で飲みに行かないか?いろいろ話しておきたいこともあるし。」
「わかった。」
リーセはなぜか少し笑顔になっているような自分を不思議に感じていた。
(先生に認めてもらえたから、、、?でも、もっと前の私だったら少し違う反応な気もする)
リーセは少し自分の気持ちの変化に違和感を覚えたが、さっと気持ちを切り替え、ジェイクの店に向かうシュンゴの後を追いかけていった。




