表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【水の匣】  作者: 石田善二郎
第二章 現場調査

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/14

8 なッ!? 何をするだァッー!! ソユンッ!!


 


          (3)




「――てわけで、取ってきた」


 と、キューブ型のアイスを食いながらパク・ソユンが見せたのは、例のプラスチックの――、ナースのコスプレだったり、“ある種のマニアックそうなプレイ”に使われそうな注射器状のアイテムだった。

 すわなち――

 ここでようやく、場面は昼間の回想から、夜の屋台へと戻ってくる。

 戦利品のように見せられる注射器に、

「取ってきたーって……、まったく、何やってんだよ、お前は」

 と、刑事のマー・ドンゴンと同じように、キム・テヤンが呆れる。

「まあ、いいじゃないか、マーさんだから」

「そうよ。小っちゃいことは気にしないわ。こわかちこわかち」

「マー・ドンゴンのヤツだからってな、お前ら。てか、何だよ? こわかちって」

 悪びれないカン・ロウンとパク・ソユンのふたりに、キム・テヤンがふたたび呆れつつ、謎の『こわかち』につっこんだ。

 それはさておき、

「――で? だから、さ?」

 パク・ソユンが、何が「だから」なのか、前置きしつつ、

「これ、調べてよ、誰か。てか、ヨンファ、アンタしかいないけど」

 と、ドン・ヨンファのほうへと、注射器を向ける。

「はぁ……、まあ、やっぱり、ねぇ」

 ドン・ヨンファが、予想していたかのように言い、

「おっ? やっぱり、てめぇに白羽の矢が立ったな、ヨンファ」

「まあ、ソユンの、勝手な白羽の矢だけど」

 と、茶化すキム・テヤンに、「やれやれ」との仕草をしてみせる。

 まあ、財閥のボンボンでありながら、道楽的に実業家もやっていて交流関係も広いことから、自分に頼まれること自体は予想できていたのだろう。

「まあ、水を研究者している友人がいるから、ちょっと、明日、会いに持って行ってみようかな」

「ああ” 研究者、だと?」

「うん」

 ドン・ヨンファがキム・テヤンに答えつつ、何やら、スマホでチャットをしはじめる。

 そうして、ドン・ヨンファがチャットの文章をポチポチと打っていた。

 そのとき、



 ――ピ、ュッ――!!



「あ、べしッ――!?」

 と、ドン・ヨンファが、突然の奇声をあげた。

 胸でなく、顔にかけられた液体――

「う、ぅ……、ぐぅ……?」

 拭いながら、ドン・ヨンファが見た先には、

「……」

 と、パク・ソユンが無言で、まるでゴルゴ13のごとく――、水鉄砲を構える姿があった。

「なッ!? 何をするだァッー!! ソユンッ!!」

「ああ? せっかく、水の話をするからさ? 水つながりで、いいじゃない」

 さすがに憤って声を荒げるドン・ヨンファに、パク・ソユンはまったく悪びれずに答える。

 そんな、騒がしいふたりに、

「まったく……、本当に、鬱陶しいヤツらだな」

 と、キム・テヤンが顔をしかめると、

「は? ヨンファは、鬱陶しい枠かもしれないけど、私は鬱陶しくないぽよ」

「けっ、お前も、十分に鬱陶しいってんだよ!!」

「そうだよ。そもそも、“人に水鉄砲をかける”なんてふざけたことする人間が、鬱陶しくないわけないじゃないか」

「は? それは、待つぽよ。ふざけているようでふざけて水鉄砲をかけたかもしれないし……、ふざけいるようでふざけないで水鉄砲をかけたかもしれない、ぽよ」

「いや、その、『ぽよ』と水鉄砲なんて、100人中99人が、ふざけているようにしか見えないだろ」

 と、ドン・ヨンファがつっこんだ。

 そのようにしつつ、ドン・ヨンファはスマホの画面を、チャットが返ってくるかチェックする。

「まだ、返信は無いか? ヨンファ」

 カン・ロウンに、

「うん」

 と、ドン・ヨンファはうなづく。

 まあ、ずっとチャットの画面を見ていても仕方がないので、並行して本題に戻って話を進める。

「それで、この、“匣の水”っていうのは……、いままで、警察が調べたところによると、“ただの水”、らしいんだな」

 と、カン・ロウンが言うと、

「ただの水、だと?」

 キム・テヤンが、眉をよせ、

「それは、本当かい?」

 と、ドン・ヨンファも、ちょっと信じられないような顔をして、

「捜査機関の分析がよくなくて、調べてみたら、何か、特殊な成分が入っていたとか?」

「まあ、何か、微量な成分は入っているには入っているとは思うが……、おおむね、水道水みたいなものだそうだ。マーさんたちや、現場の、おそらく科学捜査班がいうには」

 と、カン・ロウンが答えた。

 ただ、そんな水に、ガイシャたちは……、これは、“捕まった”――のかな? それで、水だけでできた匣から、なぜか脱出できなかったんだよね

「何か、そのように脱出する間もなく、いっきに溺れたのか……? あるいは、この、“水の匣の水”というのが、何か特別な力をもってて、そのせいで、ガイシャは脱出できなかったのか?」

 ドン・ヨンファが、考えながら言うと、

「まあ、そんな水を、私は、“ちゅー”ってしちゃったけど」

「ったく、“ちゅー”ってしちゃったー、じゃねぇってんだよ、タコ」

 とここで、吞気に言ったパク・ソユンを、キム・テヤンがタコ呼ばわりして、

「は? 誰が、タコよ?」

「けっ、お前とヨンファも、併せて、タコどうしじゃねぇか」

「は? ヨンファはまだしも、私まで、タコあつかいしないでくれる? テヤンでも、しばくわよ」

「そうだよ。いや、そうだよじゃなくて、僕もタコじゃないんだが」 

「おいおい、話を戻すぞ、皆」

 と、入り乱れて話す三人を、カン・ロウンが本題へと引き戻す。

 そのまま、カン・ロウンが、

「皆が抱くように、ケースもなしに、“匣の形”を、水だけで保っているという謎――、“それ”を考えると、『ただの水だ』といわれても、本当にそうなのか? という疑問は残るのは、当然のことだ。だから、念のため、ヨンファの友人にも調べてもらったほうがいいのは、間違いない」

 と、話を取りしきる。

 そこへ、

「あっ? 返って来た」

 と、ドン・ヨンファは、友人からチャットが返ってくる。

 それを読むに、

「何か、あっちも、飲んでるみたいだね」

「は? さっさと、答えさせなさいよ。私が、文章、送ったげよっか」

 と、その表情は変わらないもののアルコールが回っているのか、パク・ソユンが絡んでくる。

「いや、やめとく。ソユンだけには、送らせない」

「は?」

「てか、ソユンも、けっこう酔ってんじゃん」

「いや、だから、言ってんじゃん? お酒は、ぜ――「「はいはい、絶対やめたね。ほんとっ、好きだな、その、タバコを吸いながら絶対タバコをやめたって会見ネタ」」

 と、キム・テヤンとドン・ヨンファのふたりが、ここだけは息が合うのか、言葉をかぶせてつっこんだ。

「はぁ、」

 パク・ソユンが、若干呆れたように、ため息気味の声を出した。

 まあ、『はぁ、』じゃないのだが、お前が呆れるなというところなのだが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ