表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰冠(はいかん)の大陸アルメリア  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

130/155

第五章:帝国動乱編 第34話 露呈 ― 壁の内側から

壁は、

外から崩されるより、

内側から

晒されることを

最も恐れる。


それは、

破壊ではない。


「見えてしまう」

という、

回復不能の

変化だった。

評議院。


夜明け前。


文書局の灯りが、

一つだけ

残っていた。


若い文官が、

机に

向かっている。


目の前には、

三つの束。


・公開討議所意見書

・資格要件適合意見

・除外対象とされた文書


***


文官

「……同じ……

 内容……。」


紙を

並べ替える。


語尾。

言い回し。

体験の描写。


出所は、

違う。


だが、

現実は

一つだ。


***


文官は、

深く

息を吸う。


そして、

一枚の紙を

抜き出す。


上申書。


宛先は、

第一評議員ではない。


監査局。


***


翌日。


評議院・午前会合。


反王派の貴族が、

穏やかな声で

言う。


反王派

「……最近……

 文書局が……

 騒がしい……。」


文官長

「……通常……

 業務……

 です……。」


だが、

視線は

揃わない。


***


その時。


扉が、

静かに

開く。


監査官。


記章を

胸に

付けている。


監査官

「……監査局より……

 来ました……。」


空気が、

変わる。


***


監査官

「……内部……

 通報……

 が……

 ありまして……。」


反王派

「……内容は……?」


監査官

「……意見書……

 の……

 扱い……

 について……。」


沈黙。


その沈黙は、

重い。


***


別室。


資料が、

並べられる。


除外基準。

適合基準。

実際の文書。


監査官

「……基準は……

 守られて……

 います……。」


反王派

「……当然だ……。」


監査官

「……ただし……。」


監査官

「……同一内容が……

 異なる……

 扱いを……

 受けています……。」


***


反王派

「……専門家の……

 裁量……

 だ……。」


監査官

「……裁量の……

 範囲を……

 超えています……。」


紙が、

机に

叩かれる。


***


監査官

「……現場の……

 声が……

 “資格”を……

 得た……

 途端……

 通り……。」


監査官

「……同じ……

 声が……

 直接……

 出た……

 場合……

 弾かれる……。」


監査官

「……説明……

 できますか……?」


説明は、

ない。


***


評議院内に、

噂が

広がる。


「内部通報。」

「監査。」

「基準の恣意運用。」


壁の内側が、

見え始める。


***


討議所。


その話は、

すぐに

届いた。


商人

「……中で……

 割れた……?」


記録係

「……らしい……。」


人々は、

声を

荒げない。


だが、

表情が

変わる。


***


皇城。


アリアは、

短い報告を

受け取る。


エリオン

「……監査局が……

 動いた……。」


アリア

「……内側……

 から……。」


エリオン

「意図……

 した……?」


アリア

「……いいえ……。」


アリア

「……でも……

 起きる……

 場所まで……

 待った……。」


***


評議院・夕刻。


反王派の一人が、

低く言う。


反王派

「……壁が……

 疑われて……

 いる……。」


別の者

「……壊されて……

 いない……

 のが……

 救い……

 だ……。」


反王派

「……いや……。」


反王派

「……壊される……

 より……

 悪い……。」


***


夜。


文書局。


若い文官は、

机を

片付ける。


恐怖は、

ある。


だが、

後悔は、

ない。


文官

「……壁は……

 守る……

 もの……

 だった……。」


文官

「……隠す……

 もの……

 じゃ……

 なかった……。」


***


帝都の灯り。


変わらない

ように

見える。


だが、

人々は

知ってしまった。


制度は、

完全ではない。


そして、

完全でないものは、

問いに

晒される。


アリアは、

遠く

評議院の屋根を

見つめる。


アリア

「……露呈……

 した……。」


それは、

崩壊ではない。


だが、

後戻りできない

段階だった。

露呈した壁を

どう扱うかを巡り、

帝国の上層が

真正面から

衝突します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ