表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第4章 新事業と枢機卿
98/275

第88話 見送り

セリオスが出発する日

朝から空はよく晴れていた

ノルディア城の正門前

教国の馬車が停まっている

護衛の聖騎士達も準備を終えていた

セリオスは馬車の前に立つ

周囲には見送りの人々が集まっていた

レオン

クロエ

ゼム

リック

シスター

ラッツ

リン

そして孤児院の子供達

短い滞在だった

だが多くの事があった

孤児院

魔力草

回復薬

ポーション

ハイポーション

そして魔力侵食症

セリオスは皆へ頭を下げる


「短い間でしたがお世話になりました」


シスターも頭を下げた


「こちらこそです、本当にありがとうございました」


孤児院の子供達も口々に叫ぶ


「もう帰っちゃうの?」


「また来る?」


「今度はいつ?」


セリオスは苦笑した


「また来ますよ」


「本当?」


「ええー」


子供達の顔が明るくなる

その時だった

リンが腕を組む


「むぅ……」


嫌な予感がした

レオンは目を細める

リンは真剣な顔だった

そして


「レオン様が愛妾にしてくれないなら」


レオンは頭を押さえた

始まった

クロエは既に笑いを堪えている

リンは胸を張った


「私がセリオス様のお嫁さんになってあげるね!」


静寂が流れ朝の鳥の鳴き声だけ響く

セリオスが固まる

聖騎士達も固まる

ラッツは頭を抱えた

ゼムは視線を逸らす

クロエは吹き出した


「ぶっ!」


肩を震わせている

リンは真剣そのものだった

セリオスは困惑した顔で瞬きを繰り返す


「えっと……ありがとうございます?」


「はい!」


リンは満足そうだった

レオンは即座に言う


「やめろ」


「なんで!?」


リンが抗議する


「セリオス様も優しい!お金持ち!偉い人!」

だから問題ないよ!」


「嫌、そういう問題じゃないだろ……」


即答だった

クロエが腹を抱えて笑っている

ラッツが深々と頭を下げた


「すみません……本当にすみません……」


セリオスは苦笑した


「いえ……元気なのは良い事ですから」


リンは満足したらしい

うんうんと頷いている

セリオスは改めて皆を見渡した

孤児院の子供達

シスター

レオン達

どれも短い付き合いだった

だが忘れられない時間になった

その時だった

レオンはふと前世の記憶を思い出す

乙女ゲームのイベント【怪しい商人】

そして、その商品一覧の中にあったアイテム【謎の秘薬】

病や呪いの進行を遅らせる特殊な秘薬

レオンは隣を見るそこにはクロエが居た


「なぁクロエ」


「ん?なに?」


「あの秘薬を売ってくれないか?」


クロエが目を瞬かせた


「あれ?……急にどうしたの?」


レオンは答えない

代わりに視線だけがセリオスへ向く

そこでクロエも気付いた


「あー……」


小さく呟き直ぐにアイテムバックを開く

中を探り一つの小瓶を取り出した

透明な液体が入って瓶のラベルには

【謎の秘薬】が書かれている

クロエはそれを差し出した


「はい」


レオンは受け取ろうとして止まる


「値段は?」


するとクロエは首を振った


「ううん、お金はいらないよ」


「だが……これは……」


クロエは苦笑した


「まぁ、そもそも売り物じゃないし」


「え?……売り物じゃない?」


「……うん」


クロエは小瓶を見る

少しだけ懐かしそうだった


「……んー……あっ、これ公爵家の宝物の一つだから」


レオンは言葉を失う

クロエの父と母が残した遺品

その一つだった

ゲームでは出処は描かれていなかったからだ

レオンは静かに言った


「秘薬は両親の宝だったんだろ?」


クロエは頷く


「まぁね」


そして少し視線を逸らした


「でも……レオンが必要になるかなと思って取っておいたの……」


小さな声だった

少しだけ耳が赤い

レオンは思わず苦笑した


「そうか……でもこれを……」


クロエはレオンが何をしたいか既に分かっていた

そして秘薬をレオンに渡す


「僕も……心配だからね」


「ありがとう」


クロエはそっぽを向いた


「どういたしまして」


レオンは秘薬を握り締める

そしてゆっくりとセリオスの方へ歩き出した

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ