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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第4章 新事業と枢機卿
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第76話 魔力を持つ子供達

翌日、レオン達は再び孤児院を訪れていた

庭では子供達が元気に走り回っている

レオンの姿を見つけた瞬間


「レオン様!」


「来たー!」


「クロエ姉ちゃんだ!」


子供達が一斉に駆け寄って来る

クロエは苦笑した


「だから姉ちゃんじゃないって」


「お姉ちゃん!」


「お姉ちゃん!」


「うんうん、お姉ちゃんだね」


結局否定は意味が無かった

その様子を見ていたセリオスが小さく笑う

すると建物の中からシスターが姿を現した


「皆様、ようこそお越しくださいました」


「お久しぶりです」


セリオスが頭を下げる

シスターも微笑み返した


「本日はどのようなご用件でしょうか」


レオンは少し言葉を選ぶ


「子供達について確認したい事があります」


その瞬間シスターの表情が少しだけ変わった


「何か問題がありましたか?」


孤児院を預かる立場として当然の反応だった

レオンは首を振る


「いえ……むしろ逆です」


シスターは少し安心したようだったが、不思議そうな顔をしている

そこでセリオスが前へ出た


「魔力を持つ子供が居るか調べたいのです」


「……魔力ですか?」


「はい」


シスターは首を傾げる


「それは何故でしょうか」


セリオスは隠さず答えた


「回復薬製造の協力者を探しています」


シスターは目を見開く

回復薬、その価値は理解している

だが同時に不安も浮かんだ


「危険な事ではありませんか?」


レオンは即座に答える


「危険な事はさせません、それに本人の意思も確認しますので、嫌なら断って構いません」


ゼムも続けた


「教育もこちらで行います、読み書きや計算なども含めてです」


シスターは四人の顔を見る

レオン

セリオス

クロエ

ゼム

全員真剣だった

しばらく考えた後、小さく頷く


「分かりました……子供達にも説明してから行いましょう」


こうして一行は礼拝堂へ移動した

そこには教会が保有している簡易魔導具が置かれている

大きな水晶だった


「順番に触れてください」


セリオスが説明する

子供達は興味津々だった


「何これ?」


「綺麗!」


「宝石みたい!」


検査が始まる

一人目……反応無し

二人目……反応無し

三人目……やはり反応は無い


レオンも焦ってはいなかった

魔力持ちは珍しい

だからこそ貴族は貴族なのだ

そして十人ほど調べた頃だった

一人の少年が前へ出る

茶色の髪

最年長のラッツだった


「次、俺だな」


ラッツが水晶へ手を置く

その瞬間、淡い青色の光が灯った

礼拝堂が静まり返る


「光った……」


シスターが目を見開く

セリオスが頷いた


「魔力がありますね」


ラッツ本人が一番驚いていた


「俺?」


「はい」


周囲の子供達が騒ぎ始める


「すげぇ!」


「ラッツ兄ちゃんだ!」


「かっこいい!」


ラッツは照れ臭そうに頭を掻いた

その後も検査は続く

そして小さな女の子が前へ出た

金色の髪のリンだった

以前レオンへ愛人宣言してきた少女である

リンは胸を張った


「次は私!」


元気よく水晶へ触れる

すると今度は淡い黄色の光が灯った


「えっ!?」


「リンちゃんも!?」


礼拝堂が再び騒がしくなる

リンは得意そうだった


「えへへ私すごい?」


レオンは苦笑する


「あぁ凄いぞ」


リンは満面の笑みを浮かべた

その後も全員を調べた

だが結果は変わらない

魔力を持っていたのは

ラッツ

リン

二人だけだった

検査が終わる

セリオスが結果を確認した


「二人ですね」


「そうですね」


レオンも頷く

予想より少ない、だが十分だった

ラッツが不安そうに聞く


「それで俺達どうなるんだ?」


リンも首を傾げる


「何するの?」


レオンは二人の前にしゃがみ込む


「勉強だ」


「勉強……」


ラッツの顔が曇った

周囲の子供達も同じ反応だった

レオンは苦笑する


「読み書き、計算、それから回復薬作りだ」


「回復薬?」


「ああ」


レオンは頷く


「人を助ける薬だ」


ラッツは少し考えた後、頷いた


「分かった」


するとリンも勢いよく手を上げた


「私もやる!………愛妾になる為に頑張る!」


礼拝堂が静まり返った

レオンの動きが止まる

セリオスが固まる

ゼムは額を押さえた

シスターは頭を抱える


「リンちゃん……それはどこで覚えたのですか……?」


リンは元気よく答えた


「宿場町のおじさん!」


全員が納得した


「あいつらか……」


レオンは深いため息を吐く

ゼムも頷いた


「実にありそうですね」


セリオスは天を仰いだ


「後で注意しておきましょう……」


シスターは本気で頭を抱えている


「何を教えているのですか……」


リンだけが不思議そうだった


「偉い人なんでしょ?」


「違う」


レオンは即答した


「まず勉強しろ」


「はーい!」


元気な返事が礼拝堂に響く

話が終わり、子供達もそれぞれ動き始める

その時だった、クロエはそっとリンの前にしゃがみ込む


「リンちゃん」


「なーに?」


リンは不思議そうに首を傾げた

クロエは優しく微笑む


「愛妾は駄目だからね」


「え?」


「絶対駄目」


何故か真剣だった

リンはよく分かっていない顔をする


「なんで?」


クロエは少しだけ言葉に詰まった


「それは……」


理由は上手く説明出来ないクロエ


「駄目なものは駄目なの」


リンは納得していない様子だったが、とりあえず頷いた


「わかった!」


本当に分かったのかは怪しかった

クロエは小さくため息を吐く

その様子を少し離れた場所から見ていたセリオスは、何も言わず微笑んでいた


こうしてノルディア回復薬事業の最初の協力者が決まった

ラッツそしてリン

二人の小さな魔術師達だった

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