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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第4章 新事業と枢機卿
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第71話 解体場の雑草

レオン達はそのまま、ボアの解体場へ向かっていた

同行しているのはクロエ、ゼム、そしてセリオス

解体場が近付くにつれ独特の匂いが漂い始める

大量の肉を処理している場所だ

仕方のない事だった

やがて木造の大きな建物が見えてくる

ボア解体場はノルディア領の主要産業を支える施設の一つだった

中へ入ると職人達が忙しそうに働いていた

ボア肉を切り分ける者

塩漬けを行う者

荷車へ積み込む者

皆が慌ただしく動いている

その中の一人がレオン達に気付いた

そして慌てて駆け寄ってくる


「領主様!」


周囲の職人達も気付き頭を下げる

レオンは軽く手を上げた


「仕事を続けてくれ」


職人達は再び作業へ戻る

近付いてきた職人が不思議そうな顔をした


「今日はどうされたんです?」


レオンは単刀直入に答えた


「ボアの血を分けて欲しい」


職人は固まったそして困惑した顔で尋ねた


「血ですか?」


「ああ」


「何に使うんで?」


「実験だ」


職人は数秒黙った

そして苦笑する


「領主様らしいですね」


クロエが小さく笑った

レオンは気にしない


「貰えるか?」


「もちろんです!どうせ捨ててますし」


職人は快く了承した

その時だった、解体場の隅を歩いていたクロエが足を止める


「あれ?」


全員が視線を向ける

クロエは地面を指差していた

そこには青白い葉を持つ植物

レオンの目が見開く


「魔力草……」


セリオスも驚いた表情になる

急いで近付いた

間違いない魔力草だった

しかも一株ではない

周囲に数株生えている

セリオスが固まる


「何故こんな場所に……」


職人が不思議そうに首を傾げた


「その草ですか?」


「……ああ」


職人はあっさり頷く


「たまに生えてくるんですよ」


皆が沈黙した

セリオスの動きが止まった

レオンも固まる

そしてクロエが聞き返した


「たまに?」


「はい」


職人は当然のように答える


「邪魔なんで抜いてました」


今度は完全な沈黙が流れる

セリオスが頭を抱えた


「抜いていたのですか……」


「え?」


職人は困惑する

セリオスは魔力草を指差した


「これは魔力草です、一株で金貨数十枚の価値があります」


職人の動きが止まった


「金貨?」


「数十枚です」


「……」


周囲の職人達も固まる

一人が青ざめた


「俺……昨日抜いたぞ……」


別の職人も顔色を変える


「俺も先週……」


解体場がざわつき始めた

クロエが吹き出す


「勿体ないね」


「笑い事ではありません」


セリオスは本気で頭を抱えていた

レオンはしゃがみ込み周囲を観察する

血で汚れた地面

解体作業が行われる場所

そして少し離れた場所に水路が見えた

レオンは立ち上がる


「この水はどこから引いている?」


職人が答える


「丘の上ですよ」


「丘?」


「えぇ」


職人は頷いた


「昔から使ってる水です、井戸水より美味いんで解体場にも引いてるんですよ」


レオンは水路を見る

澄んだ水が静かに流れていた

職人は話を続ける


「それに肉の鮮度も持つんですよ」


セリオスが顔を上げる


「鮮度が持つ?」


「はい」


職人は当然のように頷いた


「普通の水で洗うより長持ちするんです、昔からそうなんで皆使ってます」


クロエが首を傾げる


「そんな事あるの?」


「さぁ」


職人は肩を竦めた


「昔からそうだったんで当たり前だと思ってました」


レオンは再び魔力草へ視線を向ける

そして魔力草

まだ答えは出ていない

だが何かがある

そんな確信に近い感覚があった

セリオスも真剣な表情で水路を見ている

やがてレオンが口を開いた


「少し水を貰うぞ」


職人は頷いた


「はい!好きなだけどうぞ」


レオンは小さく息を吐く

血だけのつもりだった

だが思わぬ発見があった

次の実験で何が分かるのかまだ誰にも分からなかった

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