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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第4章 新事業と枢機卿
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第70話 魔獣の血

魔力草が発芽してから数日後

レオンは朝一番で実験場へ向かっていた

隣にはクロエ後ろにはゼム

三人の視線は自然と木箱へ向く

だがそこにあったのは期待した光景ではなかった


「枯れてるな」


レオンが呟く

発芽していた魔力草は黄色く変色していた

葉は萎れ成長も止まっている

クロエも顔をしかめた


「昨日までは元気だったのに」


ゼムも確認する


「水やりは欠かしておりません、土も問題ありません」


つまり別の原因がある

レオンはしゃがみ込み魔力草を観察する

発芽はした、だが育たない

何かが足りない

そんな感覚があった

その時、後ろから声が聞こえた


「実験はどうですか?」


振り返るとセリオスだった

どうやら教国への書状を書き終えたらしい

レオンは立ち上がる


「報告は終わりましたか?」


「えぇ」


セリオスは木箱へ近付く

そして芽を見た瞬間、目を見開いた


「これは……発芽したのですか?」


「えぇ」


レオンは頷く


「でも途中で止まってしまいました」


セリオスはしゃがみ込み慎重に観察する


驚きを隠せない様子だった


「発芽だけでも大発見です……教国でも成功していませんから……」


クロエが少し得意そうに笑う


「僕のおかげ」


「あぁ土のおかげだな」


「それ……僕のおかげだよね?」


「まぁそうだな」


クロエは頬を膨らませて怒る

レオンは苦笑した

少しだけ笑いが起きる

だがすぐに全員の視線は木箱へ戻った

原因が分からなければ意味が無い

レオンは腕を組む

植物

栄養

前世の知識を思い出す

そして一つの考えが浮かんだ


「肥料か!?」


クロエが首を傾げる


「肥料?」


「ああ」


レオンは頷く


「植物は土と水だけで育つ訳じゃない、栄養が必要だ」


セリオスも興味深そうに聞いている

レオンは続けた


「群生地には必ず魔獣がいた、なら魔獣の排泄物が関係しているのかもしれない」


クロエの顔が少し引きつる


「排泄物?」


「うんちだ!肥料としては普通だろ?」


「言わなくても分かってるよ!!」


「多分そういった問題じゃないと思います」


ゼムも微妙な表情をしていた

その時セリオスが口を開く


「確かに魔獣の排泄物にも多少の魔力はあります」


レオンが視線を向ける


「あるのですか?」


「はい」


セリオスは頷く


「ですが血ほどではありません」


レオンの眉が動く


「血?」


「えぇ」


セリオスは続ける


「魔獣の体内で最も魔力を含むのは血液です……排泄物にも魔力はあります、ですが量が違います、それは比較にならないほどです」


レオンは考える

群生地

魔獣

ウィンドウルフ

縄張り争い

討伐

戦闘

そして流れる血

クロエも気付いたらしい


「……あ!……じゃあ排泄物じゃなくて血?」


「可能性はあります」


セリオスは頷いた


「ですがまだ仮説です、実際に試してみなければ分かりません」


レオンも同意する

確証は無い

だが試す価値はある

ゼムが口を開いた


「おぼっちゃま、ボアの解体場なら大量に確保出来ます」


「あぁそうだな」


レオンは頷く

ボア肉事業のおかげで血はいくらでもある

なら試さない理由は無い

クロエが尋ねる


「今から?」


「今からだ」


レオンは即答した


「思い付いた時に動く」


クロエは呆れたように笑う


「レオンのそういう所僕嫌いじゃないよ」


セリオスも苦笑した

だが反対はしない

むしろ興味が勝っているようだった

レオンは木箱を見下ろす

まだ答えは出ていない

血が正しいかも分からない

だが少なくとも次に試すべき事は決まった


「解体場へ向かおう」


その言葉に全員が頷いた

魔力草栽培の答えは、まだ霧の中だった

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