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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第3章 宿場町と怪しい商人
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第41話 未来を見る剣

レオンは屋敷の廊下を駆ける

背後から怒号が飛び交っていた

その後剣戟の音と悲鳴が聞こえた

だがレオンは振り返らない

ゼムがいる

それだけで十分だった

屋敷の中は妙に静かだった

先程の騒ぎで傭兵達の大半は正面へ向かったのだろう

レオンは速度を落とさず走り続けた

時間がない

クロエを助けなければならない

廊下の角を曲がった瞬間、武装した男が飛び出してきた


「おい!侵入者だ!」


傭兵の一人は剣を抜き、もう一人は槍を構えた

構えからして素人ではない

レオンも剣を構え右目に魔力を流す

右目が熱を帯びた

未来予知の魔眼が発動し一瞬先の未来が脳裏をよぎった

右の傭兵が剣を振りかざす

レオンは半歩だけ動いた

次の瞬間予知した通り男の剣が空を切った


「なっ!?」


驚愕する男の懐へ踏み込み王国式と帝国式の二つを取り入れたレオンの剣を叩き込む

一人の男の剣が床へ落ちた

続けて鳩尾へ一撃、男は声も出せず気絶した

さらに奥からもう一人槍を構えて突進してくる

また魔力を流し未来を見た

槍による突き

その後の薙ぎ払い

全てレオンは先に動く

槍を受け流し、そのまま体当たりを叩き込み男は壁へ激突し、そのまま気絶した

レオンは足を止めない

突き当たりの部屋から声が聞こえた

男の声とそしてクロエの声だった

間違いない

レオンは扉へ手を掛けた




扉がゆっくりと開いた

部屋の中には椅子に縛られたクロエがいた

灰色の髪に黒い瞳

クロエは無事だった


「レン!」


クロエが顔を上げる

その声にレオンは安堵した

生きていた

それだけで十分だった


「迎えに来た」


クロエの目が潤む

だが次の瞬間、慌てたように叫んだ


「逃げて!」


レオンが眉をひそめる


「何でだ?」


「そいつは危険だ!」


そこで部屋の奥から笑い声が聞こえた

豪華な服

高価な指輪

見覚えのある顔

そこにはブロド・グランツが立っていた


「感動の再会だな」


レオンは剣を向けた


「お前が黒幕か」


ブロドは肩を竦める


「黒幕とは失礼だ、私はただ探し物をしていただけだ」


クロエの肩が震えている

レオンは見逃さなかった

ブロドはクロエへ視線を向けて

そしてレオンの方に視線を戻す


「久しぶりだな、竜車は良かっただろ」


レオンはただ睨み返す

その様子を見てクロエは息を飲んだ

こいつは敵だ

そう思いレオンは一歩前へ出る


「クロエ」


「な、何?」


「こいつ殴っていいか?」


部屋の空気が止まった

クロエが呆然とする

ブロドも固まった

そしてクロエは吹き出した


「ぷっ……」


怖かった、不安だった

だがレンは変わらない

本当に馬鹿みたいに真っ直ぐだ

クロエは笑いながら頷く


「うん、思いっきりお願い」


レオンも頷いた

ブロドの顔が引きつる


「おい!」


声を荒げた


「誰か来い!」


だが返事は無い、ブロドの眉が動く


「ッチ……何をしている!」


さらに大きな声で怒鳴った


「傭兵共! 何をやってんだ!」


それでも返事は無い

部屋に沈黙が落ちる

その時だった背後の扉が吹き飛んだ

木片が舞う煙の向こうから一人の老人が姿を現す

執事服

穏やかな笑み

それはゼムだった

服の乱れ一つ無い、息も切れていない

まるで散歩でもしてきたかのようだった


「お待たせ致しました」


そして優雅に一礼する


「おぼっちゃま、こちらは片付きました」


まるで庭掃除の報告だった

レオンは苦笑した

どうやら本当に片付いたらしい

残るは目の前の男だけだった

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