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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: 蛙の子はお玉杓子
第9章 天才王子とダンジョン攻略

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間章 溶けない氷

 ミストレア冒険者協会本部。

 多くの冒険者が行き交う一階の受付で、三人の男達が一人の受付嬢へ何度も頭を下げていた。


 三人ともA級冒険者だった。

 だが、身につけている装備は使い込まれ、革鎧には何度も補修した跡が残っている。


「これで、何とか頼めないでしょうか」


 男の一人が、貨幣の詰まった革袋を受付台へ置く。

 受付嬢は中身を確かめ、苦しそうに眉を寄せた。


「申し訳ありません。これだけの金額があれば、通常の遺体回収依頼なら受けてもらえると思います。ですが、場所が《還命樹海セルヴァリア》となると……」


 その名を聞き、近くにいた冒険者達が僅かに視線を向けた。


 《還命樹海セルヴァリア》


 回復魔法を扱える者がいなければ、入口を開くことさえ出来ないA級ダンジョン。

 内部には強い毒を持つ植物や魔物が生息し、傷つけた植物が急速に再生することから、進むだけでも大量の魔力を消耗する。

 さらに、内部で命を落とした者は樹海へ取り込まれる。

 遺体を回収する依頼でありながら、その遺体が残っている保証すらなかった。


「報酬が足りないなら、また稼いできます」


 別の男が言った。


「あと少しだけ待ってもらえませんか。必ず、もっと用意しますから」


「ですが、既に一年半以上が経過しています。今から報酬を増やされたとしても、受けてくださる方がいるかどうか……」


 三人は元々、五人で活動していた。

 四年半前、五人でセルヴァリアへ挑み、二人の仲間を失った。

 残った三人も全員が重傷を負い、仲間の遺体を運び出すことが出来ないまま逃げ帰った。


 その後、三人は何度もセルヴァリアへ戻ろうとした。

 だが、三人では入口を突破することさえ難しかった。

 実力のある者を雇うには金がいる。

 装備を買い直すためにも、治療のために作った借金を返すためにも金が必要だった。

 それから三人は、比較的危険の少ないC級ダンジョンや護衛依頼を回り続けた。


 一日でも早く金を貯めるため、宿へ泊まらず、野営することもあった。

 そうして四年半をかけて用意したものが、受付台に置かれた革袋だった。


「お願いします」


 最初の男が再び頭を下げる。


「あいつらを、故郷へ帰してやりたいんです」


「俺達だけ帰ってきて、二人をあそこへ置き去りにしたままなんです」


「せめて、家族のところへ……」


 話を聞いていた冒険者達の中には、気まずそうに目を逸らす者もいた。

 助けたいという気持ちはある。

 だが、そのために自分が命を落とせば意味がない。


 セルヴァリアへ入り、二人の遺体を探し出し、魔物と戦いながら運び出す。

 提示された報酬では、その危険に見合わなかった。

 少し離れた場所で、アストリッドは三人を見ていた。


 今日はミラのB級昇格試験を行うため、協会本部を訪れていた。

 B級になれば、冒険者として一人前と認められる。

 戦闘能力だけでは足りない。


 状況判断。

 仲間との連携。

 依頼を最後まで遂行する力。

 それら全てを確かめる必要がある。


 アストリッドは隣に立つミラへ目を向けた。

 ミラも三人の話を聞いている。

 受付台に置かれた革袋と、頭を下げ続ける三人を見つめ、その手を強く握っていた。


 アストリッドは受付へ歩み寄った。


「一つ確認したい」


 受付嬢と三人の冒険者が顔を上げる。

 青い髪と黄色い瞳。

 腰に魔剣を下げた女性の姿を見た瞬間、三人が目を見開いた。


「アストリッドさん……」


 S級パーティー《蒼天の戦乙女》のリーダー。

 魔導国家の冒険者であれば、その姿を知らない者の方が少ない。


 アストリッドは依頼書を手に取った。


「ミラの昇格試験は、実力を確認出来れば形式は問わないのだったな?」


「はい。試験官であるアストリッドさんが、B級に相応しいと判断出来る依頼であれば問題ありません」


「なら、この依頼を昇格試験に使う」


 三人の表情が変わった。


「引き受けてくださるのですか?」


「ああ。《蒼天の戦乙女》が、この依頼を受ける」


「ですが、報酬は……」


「要らないとは言わない。お前達が用意した分だけ受け取る。それで十分だ」


「ありがとうございます!」


 三人は何度も頭を下げた。

 アストリッドは依頼書を受付台へ戻し、ミラを見る。


「どうする?」


 ミラは一瞬だけ驚いた後、力強く頷いた。


「行きます」


「試験だからと、私達はお前を守らない。自分で判断して動け」


「分かっています」


「ただし、無理だと思った時は必ず言え。黙って倒れることだけは許さない」


「はい」


 受付嬢が心配そうに二人を見比べる。


「ミラさんは、まだA級ではありません。《還命樹海セルヴァリア》へ入るには、本来なら資格が足りませんが……」


「《蒼天の戦乙女》の一員として連れていく」


 アストリッドが答えた。

 S級パーティーが依頼を受け、全責任を負う場合に限り、資格を満たしていない冒険者の同行が認められる。

 ただし、その者が命を落としても、協会に責任を問うことは出来ない。


「承知しました。今回は六名での入場手続きを行います」


 受付嬢は必要な書類を取り出した。

 アストリッドが署名する横で、三人の冒険者が再び頭を下げる。


「本当に、ありがとうございます」


「礼は二人を連れ帰ってからにしろ」


 アストリッドはそう答えた。

 だが、依頼を受けた理由は、三人の姿を見たからだけではない。

 一人の少年がセルヴァリアから持ち帰った、二枚の冒険者証。

 その持ち主が、三人の探している仲間だと判明していたからだ。


 少年の名はレン。

 《氷壁》の二つ名を持つ冒険者だった。





 数日後。

 アストリッド達は《還命樹海セルヴァリア》の入口に立っていた。

 巨大な樹木が絡み合い、固く閉ざされた門のようになっている。


 《蒼天の戦乙女》の回復術師が根へ両手を触れ、指輪の魔法陣へ魔力を流した。

 淡い緑色の光が根の表面を走る。

 傷ついた樹皮が回復すると、重なっていた根が生き物のように動き、樹海へ続く道が開いた。


 湿った空気が流れ出す。

 甘い花の香りに混じり、僅かに腐敗臭が感じられた。


「行くぞ」


 アストリッドを先頭に、六人は樹海へ入った。

 内部は、一年半前に提出されたレンの報告書とは大きく変わっていた。

 壁となっていた木々が移動し、新しい道が生まれている。

 以前は通れた場所が太い根で塞がれ、存在しなかった沼地が広がっていた。


 だが、報告書が役に立たないわけではない。

 赤い斑点を持つ蔦は、人の魔力へ反応して動く。

 青い花から出る鱗粉には、身体を麻痺させる毒がある。

 倒木に擬態する魔物は、火を当てると体内の油に引火して爆発する。

 簡潔な文章だったが、危険な植物や魔物の特徴は正確に記されている。


「右から来る!」


 ミラが声を上げる。

 草むらから、四本足の植物型魔物が飛び出した。

 裂けた花弁の内側に、獣のような牙が並んでいる。

 ミラは右手の指輪へ魔力を流した。

 展開された火の魔法陣から、細く絞られた炎が放たれる。

 炎は魔物の前脚だけを焼き、その動きを止めた。


 すぐに《蒼天の戦乙女》の一人が槍で核を貫く。

 魔物の巨体が地面へ崩れ落ちた。


「今の判断は悪くない」


 アストリッドが周囲を警戒しながら言う。


「全身を燃やせば、周囲の蔦に火が移っていた」


「レンの報告書に書いてありましたから」


「読んだ知識を、その場で使えることも実力だ」


 ミラは僅かに頬を緩める。

 だが、休んでいる余裕はなかった。

 焼けた魔物の匂いに引き寄せられ、別の魔物が集まってくる。


 六人は互いの死角を補いながら進んだ。

 ミラは炎の範囲を細かく調整し、仲間や樹海へ燃え移らないよう魔物だけを焼く。

 前衛が毒を受ければ後方へ下がらせ、その穴を埋めた。


 一人で倒せる魔物であっても深追いせず、遺体を運び出すための魔力を残す。

 アストリッドは戦いながら、その全てを見ていた。



 数時間進んだところで、六人は大きな木の洞へ入った。

 周囲を確認し、交代で休息を取る。

 ミラは水を飲み、壁へ背を預けた。


「これを……レンは一人で進んだんですよね」


「ああ」


 アストリッドは短く答える。

 六人で進んでも、簡単な道ではなかった。

 報告書がなければ、さらに多くの時間と魔力を失っていただろう。

 それをレンは、誰の助けも借りずに進んだ。

 しかも、報告書には苦戦したという記述がほとんどなかった。


 魔物の特徴。

 毒への対処法。

 危険な場所。

 後から入る者に必要な情報だけが、淡々と並んでいた。


「相変わらず、無茶をする男だ」


 アストリッドが呟く。


「自分では無茶だと思ってないんだと思います」


 ミラが答えた。

 その声には呆れと、僅かな寂しさが混じっている。


「だから余計に質が悪い」


 アストリッドはそう言って立ち上がった。


「休憩は終わりだ。目的地までは、まだ距離がある」




 六人は再び樹海を進んだ。

 幾度も魔物と戦い、毒の沼を迂回し、塞がれた道を切り開く。

 そしてセルヴァリアへ入って二日目。

 報告書に記されていた場所へ到着した。

 何本もの巨大な根が絡み合う、薄暗い空間。

 その中央に、二つの氷塊が並んでいた。


「……あった」


 ミラが小さく呟く。

 透き通った氷の中で、二人の冒険者が眠っている。

 装備には戦いで負った傷が残り、その表情から既に命がないことは分かる。

 だが、腐敗した様子はなかった。

 四年半以上前に亡くなったとは思えない。


 氷にも濁りや亀裂はなく、作られた直後のような透明さを保っている。

 後衛の一人が周囲を見回した。


「おかしいです」


「何がだ?」


「セルヴァリアは、死者を樹海へ取り込みます。これだけの時間が経てば、遺体だけでなく装備まで根に覆われているはずです」


 だが、二つの氷塊へ根が近づいた跡はない。

 地面から伸びた細い根は、氷を避けるように左右へ分かれていた。

 アストリッドは片方の氷へ手を触れた。

 冷気と共に、内側へ閉じ込められた魔力が伝わってくる。


「これは……」


 膨大な魔力だった。

 氷を作るためだけに使われたとは思えない。

 今も魔力が失われず、氷の内側を静かに循環している。


「一年半も残るような魔法なんて、聞いたことがありません」


 回復術師が氷を調べながら言う。


「それに、これほどの魔力を使えば、普通は動けなくなります」


「レンは、この後にセルヴァリアの最下層へ進んでいる」


 アストリッドの言葉に、仲間達が黙る。

 強大なボスとの戦いを控えていながら、レンは見知らぬ二人のために大量の魔力を使った。

 冒険者証だけを持ち帰ることも出来た。

 遺体が樹海へ取り込まれることを、見なかったことにも出来た。


 それでも、レンは二人を氷で包んだ。

 いつか仲間が迎えに来られるように。


「レンなら、そうするよ」


 ミラが氷の中の二人を見つめながら言った。

 アストリッドが振り返る。


「知らない人でも、見捨てられないから」


 ミラの声には、迷いがなかった。

 アストリッドは再び氷へ視線を戻す。


「そうだな」


 短く答え、剣を抜いた。


「このまま運び出す。樹海の中で氷を溶かすわけにはいかない」


 周囲の倒木から使える部分を切り出し、二台の運搬台を作る。

 太い蔦を縄の代わりに使い、氷塊を固定した。

 アストリッドが剣の魔法陣へ魔力を流す。

 風が氷塊を包み、その重さを軽減させた。


 それでも二人分の氷は重い。

 六人は交代しながら運搬台を引き、来た道を引き返した。


 帰路でも魔物は容赦なく襲ってくる。


「後ろは私が守ります!」


 ミラが運搬台の後方へ回る。

 左右から迫る蔦を炎で焼き、飛びかかってきた魔物の顔だけを正確に撃ち抜く。

 一体の魔物が運搬台へ狙いを変えた。

 ミラは追いかけようとしたが、足を止める。

 その場から炎を曲げ、氷塊へ届く直前で魔物の脚を焼いた。


 前衛の仲間が止めを刺す。


「どうして前へ出なかった?」


 戦闘が終わった後、アストリッドが尋ねた。


「私が追えば、後ろが空きます。倒すことより、二人を外へ運ぶことの方が大事ですから」


「正解だ」


 短い言葉だったが、ミラにはそれで十分だった。



 入口の光が見えたのは、セルヴァリアへ入ってから四日目のことだった。

 樹木で作られた門を抜ける。

 外で待っていた三人の冒険者が、一斉に立ち上がった。

 運び出された二つの氷塊を見た瞬間、三人の足が止まる。


「……本当に」


 誰かが掠れた声を漏らした。

 ゆっくりと近づき、氷の中の仲間を見る。


 四年半前と変わらない姿。

 置き去りにした時のまま、二人はそこにいた。


 三人は氷塊の前へ膝をついた。


「すまなかった……」


 一人が氷へ手を触れる。


「置いて逃げて、本当にすまなかった」


「俺達だけ帰って……ずっと迎えに来られなかった」


「遅くなって、ごめんな……」


 三人は人目も憚らずに泣いた。

 何度も名前を呼び、何度も謝った。

 アストリッド達は何も言わず、その姿を見守っていた。


 やがて三人は立ち上がり、アストリッド達へ深く頭を下げた。


「ありがとうございました」


「これで、二人を故郷へ帰してやれます」


「本当に、何とお礼を言えばいいか……」


 アストリッドは首を横へ振った。


「礼なら、《氷壁》のレンに言ってくれ」


 三人が顔を上げる。


「あいつの魔法がなければ、二人は腐敗し、ダンジョンへ取り込まれていた」


 アストリッドは二つの氷塊を見る。


「私達は、あいつが守った二人を運んできただけだ」


 三人は氷の中の仲間へ視線を戻した。


「レンさんは、今どこに?」


「王国へ帰った」


「そうですか……」


「だが、また会う機会はあるだろう。その時に自分達の口で伝えればいい」


「はい。必ず」


 三人は力強く頷いた。






 ミストレアへ戻った翌日。

 アストリッドとミラは、協会本部の個室にいた。

 机の上には、今回の依頼についてまとめられた報告書が置かれている。


 アストリッドは最後まで目を通し、署名を書き加えた。


「ミラ」


「はい」


「お前のB級昇格を認める」


 ミラが目を見開く。


「本当ですか?」


「戦闘能力だけなら、最初から問題はなかった。魔法の制御も出来ている。仲間の動きを見て、自分の役割を変える判断も悪くない」


 アストリッドは書類を受付嬢へ渡す。


「最後まで依頼の目的を見失わなかった。B級冒険者として十分な実力がある」


「ありがとうございます!」


 ミラは立ち上がり、深く頭を下げた。

 子供の頃から憧れていた冒険者に認められた。

 その事実に、声が僅かに震えている。


「それと、以前の話を覚えているか?」


「以前の話?」


「B級になったら、《蒼天の戦乙女》を訪ねて来いと言ったはずだ」


 ミラは息を呑んだ。


「今回、お前と共に戦って実力は分かった。正式に望むのであれば、《蒼天の戦乙女》へ迎え入れる」


 かつてのミラなら、迷わず頷いていた。

 《蒼天の戦乙女》は、幼い頃から憧れていたパーティーだ。

 女性だけで構成され、いくつもの難関依頼を成功させてきた。

 その一員になることは、夢のような話だった。


 それでも、ミラはすぐに返事が出来なかった。

 セルヴァリアで感じたこと。

 一人で依頼を受け続けてきた時間。

 そして、もう魔道国家にはいない少年の姿が頭に浮かぶ。


「少しだけ、考えさせてください」


 ミラはそう答えた。


「自分がどこまで出来るのか、もう少し確かめたいんです」


 アストリッドは黙ってミラを見る。

 普通なら、前回の働きだけで迎え入れてもよかった。

 それでも自分は、B級になることを条件にした。

 実力を確かめるためだと思っていた。


 だが、本当にそれだけだったのか。

 レンの隣にいたミラを見た時、胸へ生まれた感情。

 あの夜、レンの部屋の中からミラの声を聞いた時に感じたもの。

 その正体を、アストリッドはまだ言葉に出来なかった。


「分かった」


 アストリッドはそれ以上考えることをやめた。


「急いで決める必要はない。入りたいと思った時に来い」


「はい」


「ただし、一人で進むことだけが強さではない。仲間を作れば、報酬は人数分に減る。自分の思いどおりに動けないことも増える」


 アストリッドはセルヴァリアから運び出した二人を思い出す。


「だが、一人では戻れない場所から、仲間が連れ帰ってくれることもある」


 ミラは静かに頷いた。


「覚えておきます」


 話を終えたミラが部屋を出ていく。

 扉が閉じた後も、アストリッドはしばらく椅子に座っていた。

 机の上には、レンが一年半前に提出したセルヴァリアの報告書が置かれている。


 最後まで読んでも、二人の遺体を氷で守った理由は一行も書かれていなかった。

 報告する必要がないと考えたのだろう。

 アストリッドは小さく息を吐き、報告書を閉じた。





 協会本部の保管庫には、セルヴァリアから運び出された二つの氷塊が並べられていた。

 二人の故郷へ運ぶ馬車が到着するまで、一時的に保管されている。

 協会に所属する複数の魔法使いが調べたが、氷が溶けない理由は分からなかった。


 冷気を発生させる魔法陣はない。

 新たな魔力を供給している者もいない。

 それでも氷は透明なまま、二人の身体を守り続けている。


 数日後。

 二人を故郷へ運ぶ準備が整った。

 三人の仲間が手配した馬車が協会本部へ到着し、家族へ渡すための書類も全て用意された。

 アストリッドは運び出される二つの氷塊を見送っていた。


「これで、帰れるな」


 誰に聞かせるでもなく呟く。

 その時。

 氷の表面を、小さな水滴が流れた。


 一年半以上、一度も溶けなかった氷。

 その一滴は役目を終えたとでもいうように、静かに床へ落ちた。

 アストリッドは目を細める。


「お前は、どこまで人を守れば気が済むんだ…………レン」


 問いかけに答える者はいない。

 二つの氷塊を載せた馬車は、待ち続けた家族のいる故郷へ向かって、ゆっくりと走り出した。

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