第330話 魔導守護騎士
アルカナ迷宮の最下層を守る魔法人形が、ゆっくりと大剣を持ち上げた。
白銀の甲冑に刻まれた魔法陣へ、青い光が走る。
胸に埋め込まれた巨大な魔石から流れ出した光は、右腕の大剣と左腕の杖へ分かれていった。
魔導守護騎士アルカナ。
レオンは剣を構えながら、後ろにいるカイルへ告げる。
「手を出すな」
「分かってるよ」
「魔法具も使うな」
「レンが一人で倒さないといけないんだろ?」
「ああ」
ここまでカイルと一緒に来たが、魔物を倒したのはレオンだけだ。
最下層のボスまで自分の力で倒せば、アルカナ迷宮を一人で攻略した実績として認められる。
カイルは邪魔にならないよう、部屋の壁際へ移動した。
その直後、アルカナが床を蹴った。
巨体からは想像出来ない速度で、一瞬のうちにレオンとの距離を詰める。
大剣が振り下ろされた。
レオンは両脚へ流す魔力を増やし、横へ跳ぶ。
大剣が石床を叩いた。
轟音と共に床が砕け、無数の石片が周囲へ飛び散る。
レオンが体勢を立て直すより早く、アルカナは床へ食い込んだ大剣を横へ振るった。
巨体に似合わない滑らかな動きだった。
レオンは剣を立て、大剣の側面へ刃を当てる。
正面から受け止めず、力の向きを横へ逸らした。
それでも重い衝撃が両腕へ伝わる。
身体が床を滑り、靴底が石を削った。
アルカナは追撃せず、左手の杖をレオンへ向ける。
杖の先端へ赤い魔法陣が浮かび上がった。
レオンは左手の指輪へ魔力を流す。
青白い魔石と、その周囲へ刻まれた魔法陣が輝く。
同時に、レオンの前へ厚い氷壁が生まれた。
直後、杖から炎が放たれる。
激しい炎が氷壁へ衝突した。
氷が溶け、白い蒸気が部屋の中へ広がる。
アルカナの姿が見えなくなった。
レオンは右目へ魔力を流す。
白い蒸気の向こうから、大剣が突き出される光景が現在の景色へ重なった。
レオンは身を低くする。
次の瞬間、頭上を巨大な刃が通り過ぎた。
レオンは大剣を持つ右腕の下へ入り込み、肘の関節へ剣を振るう。
刀身に刻まれた無属性の魔法陣が銀色に輝いた。
刃が白銀の装甲へ食い込む。
だが、関節を切断する前に止まった。
アルカナの胸にある魔石が強く光る。
同時に右肘へ刻まれた魔法陣が輝き、レオンの剣を押し返した。
レオンはアルカナの腕を蹴り、後ろへ離れる。
傷ついた右肘の装甲へ、胸の魔石から青い光が流れ込む。
切れかけていた関節が、ゆっくりと元へ戻っていった。
「修復も出来るのか」
アルカナの胸にある魔石は、身体を動かすだけの物ではない。
傷ついた場所へ魔力を流し、壊れた装甲や関節を修復する役割も持っているらしい。
アルカナが左手の杖を床へ突き立てた。
赤、青、緑、黄。
四つの魔法陣が、アルカナを中心として床へ広がっていく。
足元の魔法陣が黄色く輝いた。
レオンは右目へ流す魔力を増やす。
床から無数の石槍が突き出す未来が見えた。
レオンは前へ走る。
背後から石槍が続けて突き出した。
足を止めれば貫かれる。
正面では、アルカナが大剣を構えて待ち受けていた。
レオンが間合いへ入った瞬間、大剣が横薙ぎに振るわれる。
床を蹴り、その刃の上へ跳び乗った。
大剣の表面を駆け上がる。
アルカナが剣を振り上げ、レオンを天井へ投げ飛ばそうとする。
レオンは右腕へ流す魔力を増やし、肩の装甲へ剣を突き立てた。
剣を支えにして身体を回転させ、そのままアルカナの背後へ着地する。
すぐに剣を引き抜き、膝の裏へ振るった。
銀色の刃が装甲を切り裂く。
アルカナの左脚が沈んだ。
しかし、胸の魔石が再び輝く。
傷ついた膝へ魔力が流れ、切断しかけた関節が修復されていった。
その間にも、床へ広がった魔法陣の色が変わる。
黄色から緑。
部屋の中へ風が集まり始めた。
右目には、無数の風の刃が部屋を横切る未来が映っている。
回避出来る隙間は僅かしかない。
レオンは左手の指輪へ魔力を流した。
青白い魔法陣が輝き、足元から氷の柱が伸びる。
氷の柱に押し上げられ、レオンの身体が宙へ跳ね上がった。
直後、無数の風の刃が床の上を通り過ぎる。
アルカナが空中のレオンへ杖を向けた。
杖の先端に青い魔法陣が浮かぶ。
放たれた水の塊が、逃げ場のない空中へ迫った。
レオンは氷の柱を蹴る。
水の塊が身体のすぐ横を通り抜け、背後の壁へ衝突した。
床へ着地したレオンへ、大剣が振り下ろされる。
横へ避ける。
大剣が床へ食い込んだ。
レオンはアルカナの懐へ入り、胸の魔石へ剣を突き出す。
剣先が青い魔石へ触れる直前、透明な壁に阻まれた。
金属同士がぶつかったような甲高い音が響く。
胸の魔石を覆うように、幾重もの魔法陣が浮かんでいた。
「障壁か」
レオンは剣へ流す魔力を増やした。
無属性の魔法陣が強く輝く。
剣先が透明な障壁へ僅かに食い込んだ。
だが、砕くには至らない。
アルカナが床から大剣を引き抜く。
レオンは攻撃を諦め、後ろへ跳んだ。
大剣が先ほどまで立っていた場所を薙ぎ払う。
胸の魔石は、傷ついた身体を修復するだけではなかった。
大剣と杖へ魔力を送り、自らを守る障壁まで作り出している。
あの障壁を突破しなければ、アルカナを倒すことは出来ない。
レオンは呼吸を整えながら、胸の魔石を見つめた。
魔石から伸びる青い光は、常に同じ場所へ流れているわけではない。
大剣を振るう時には右腕へ。
魔法を使う時には左腕と杖へ。
修復する時には、傷ついた場所へ。
そのたびに胸を守る障壁の光が僅かに弱くなっていた。
アルカナが持つ魔力にも限りがある。
全てを同じ強さで動かし続けることは出来ない。
特に複数の魔法を同時に使う時、胸の障壁へ流れる魔力は大きく減っている。
アルカナが再び杖を床へ突き立てた。
今度は四つの魔法陣が同時に輝く。
炎が渦を巻く。
水が頭上へ集まる。
風の刃が周囲を漂い、床の下から石槍が突き出す。
先ほどまでとは魔力の量が違う。
胸に蓄えた魔力を一気に使い、レオンを仕留めるつもりらしい。
同時に、アルカナは右手の大剣を肩へ担いだ。
魔法で逃げ道を塞ぎ、大剣でとどめを刺す。
レオンは右目へ流す魔力を増やした。
いくつもの未来が、現在の光景へ重なる。
左へ進めば炎に飲まれる。
右へ進めば風の刃に切り裂かれる。
後ろへ下がれば水に押し潰される。
前へ進めば、アルカナの大剣が待っている。
どの道を選んでも攻撃を受ける。
しかし、僅かに身体の向きを変え続ければ、全ての攻撃の間を抜けられる道が一つだけあった。
右目の奥が熱を持つ。
以前ほどの激痛ではない。
だが、複数の未来を同時に見続ければ、少しずつ負担が重なっていく。
それでも、レオンは未来視を止めなかった。
アルカナの胸にある魔石が強く輝く。
四つの魔法陣が動き出した。
レオンは正面へ走る。
床から石槍が突き出した。
半歩だけ左へずれる。
石槍が外套を掠める。
風の刃が右から迫った。
身体を沈め、その下を抜ける。
頭上から大量の水が落ちてくる。
レオンは指輪へ僅かに魔力を流した。
青白い魔法陣が輝き、落ちてきた水の表面が凍りつく。
完全に凍らせる必要はない。
形が崩れた水塊の隙間へ入り、そのまま前へ進んだ。
正面から炎が迫る。
レオンは剣を振るった。
無属性の魔法陣が銀色に輝き、炎の中心を切り裂く。
炎を抜けた先には、アルカナがいた。
巨大な大剣が振り下ろされる。
未来視で見たとおりだった。
レオンは足を止めない。
大剣が頭上へ迫る。
右目が捉えた軌道に合わせ、身体を僅かに横へ傾けた。
巨大な刃が肩のすぐ横を通り過ぎる。
大剣が床へ届くより早く、レオンはアルカナの胸元へ踏み込んだ。
複数の魔法を放ち、大剣まで振り下ろしている今、胸の魔石から最も多くの魔力が失われている。
障壁を作る魔法陣の光は、今までで最も弱い。
レオンは剣を両手で握る。
両腕と剣へ、さらに魔力を流した。
刀身へ刻まれた無属性の魔法陣が、白く見えるほど強く輝く。
膨大な魔力が、アルマの刻んだ線の一本一本へ流れ込んだ。
それでも剣は壊れない。
刀身にも、魔法陣にも亀裂一つ入らなかった。
レオンは胸の魔石へ剣を突き出す。
剣先が障壁へ触れた。
透明な魔法陣へ亀裂が走る。
一枚。
二枚。
三枚。
幾重にも重なっていた障壁を貫き、剣が青い魔石へ深く突き刺さった。
アルカナの動きが止まる。
青い魔石の内部へ、大きな亀裂が走った。
だが、完全には砕けない。
レオンの剣が、魔石の内部にある魔力の流れだけを断ち切っていた。
胸から伸びていた青い光が途切れる。
大剣がアルカナの手から落ちた。
続いて杖が床へ倒れ、四つの魔法陣から光が消える。
アルカナは片膝をついた。
全身へ刻まれた魔法陣が、一つずつ暗くなっていく。
最後に兜の奥で輝いていた青い光が消えた。
白銀の巨体が、重い音を立てて床へ崩れ落ちる。
部屋へ静寂が戻った。
レオンは右目から魔力を抜く。
目の奥に鈍い熱が残っているが、視界に異常はない。
剣を引き抜き、刀身を確かめる。
強い魔力を流したにもかかわらず、刀身にも魔法陣にも異常はなかった。
「さすがだな」
レオンはアルマの腕へ感心しながら、剣を鞘へ戻した。
壁際にいたカイルが駆け寄ってくる。
「最後の攻撃、全部見えていたの?」
「動きを予測しただけだ」
「予測だけで、あれだけの魔法の間を抜けられるとは思えないんだけど」
「抜けられた」
「答えになってないよ」
カイルは不満そうだったが、すぐに倒れたアルカナへ目を向けた。
その表情が一瞬で変わる。
胸の魔石へ近づき、傷ついた表面を覗き込んだ。
「魔石そのものを砕かず、内部の魔力経路だけを切ったの?」
「偶然だ」
「これを偶然で済ませるのは無理があるよ」
レオンは答えず、アルカナの胸元へしゃがみ込んだ。
胸の装甲を剣で切り開き、中から魔石を取り外す。
人の頭ほどもある大きな青い魔石だった。
表面から内部へ深い亀裂が入っているが、形は保たれている。
その奥には、まだ僅かに青い光が残っていた。
「これなら売れるか?」
「もちろん。亀裂は入ってるけど、残っている魔力だけでも相当な量だよ。それにアルカナの魔石なら、ボスを倒した証拠にもなる」
レオンは予備として持ってきた厚手の麻袋へ魔石を入れた。
続いて、床へ落ちている大剣と杖へ目を向ける。
大剣には無属性の強化魔法陣。
杖には四属性の魔法陣が刻まれている。
どちらもアルカナの巨体に合わせて作られているため、レオンの身長を超えるほど大きい。
「それも持って帰るの?」
「ああ」
「二つとも?」
「素材として売れるだろ?」
「売れると思うけど……持てるの?」
「問題ない」
レオンは大剣と杖を部屋の中央へ運び、持ってきた縄でまとめた。
身体強化へ流す魔力を増やせば、二つを同時に担いで運ぶことは出来る。
その時、倒れたアルカナの身体が淡い光に包まれた。
白銀の甲冑が、細かな光の粒となって消えていく。
回収した魔石と、大剣と杖はそのまま残っていた。
やがてアルカナの身体が完全に消えると、部屋の奥から重い音が響いた。
石の扉が、ゆっくりと開いていく。
その先にある床には、帰還用の魔法陣が刻まれていた。
以前のダンジョンでも、ボスを倒した後に同じような扉が開いた。
あの魔法陣へ乗れば、ダンジョンの入口まで戻ることが出来る。
「これで帰れるね」
カイルが開いた扉へ目を向ける。
「ああ。だが、まだだ」
レオンは、まとめた大剣と杖を床へ置いたまま、周囲の壁へ目を向けた。
まだ、この部屋で探す物が残っている。
「今度は何を探してるの?」
「隠し部屋だ」
「ここにあるの?」
「ああ」
乙女ゲームでは、B級以上の迷宮に隠し部屋が存在した。
最下層のボスを倒した後にだけ開けられる宝物庫。
攻略に必要な場所ではないため、存在を知らずに帰る冒険者も多い。
アルカナ迷宮のボス部屋にも、隠し部屋があることをレオンは知っていた。
ただし、ゲームの画面で見た部屋と、実際のボス部屋では広さも細かな造りも違っている。
隠し部屋がある場所までは分かる。
だが、開くための仕掛けが正確にどこにあるのかまでは分からなかった。
レオンは壁際へ移動する。
石壁を押す。
床に刻まれた模様を調べる。
柱の裏側にも目を向けた。
その様子を見ていたカイルも、反対側の壁を調べ始める。
「魔法陣らしい物はないよ」
「魔法陣で開くとは限らない」
「でも、魔道国家の迷宮だよ?」
「迷宮を作ったのが魔道国家とは限らないだろ」
「それはそうだけど……」
二人でボス部屋を調べ続ける。
しばらくして、レオンはアルカナが最初に立っていた場所へ戻った。
その背後にある壁。
ゲームでは、この辺りに隠し部屋の入口があった。
壁には、杖と剣を持つ騎士の姿が彫られている。
レオンは彫刻を一つずつ調べた。
騎士の兜。
胸。
右手の剣。
左手の杖。
杖の先端へ触れた時、僅かに石が動いた。
レオンは、その場所を奥へ押し込む。
カチッ。
小さな音が響いた。
しかし、それだけでは何も起きない。
レオンは彫刻を見直した。
アルカナは大剣と杖を持っていた。
ならば、片方だけではない。
騎士が持つ剣の柄にも手を触れる。
そこにも、同じような小さな窪みがあった。
レオンは剣の柄を押し込んだ。
二つ目の音が響く。
直後、石壁全体が僅かに揺れた。
壁の表面へ縦の亀裂が走る。
彫刻が刻まれていた壁の一部が奥へ沈み、そのままゆっくりと横へ動いていった。
壁の向こうに、狭い通路が現れる。
「本当にあった……」
カイルが驚いた顔で通路へ近づく。
「どうして場所が分かったの?」
「この辺りが怪しいと思っただけだ」
「それで仕掛けまで見つけたの?」
「ああ」
カイルは明らかに疑っていた。
だが、レオンは何も答えず、先に通路へ入る。
短い通路の先には、小さな石室があった。
壁や床に罠らしい魔法陣はない。
部屋の中央には、黒い石で作られた台座が置かれている。
その上に、一つの腕輪が残されていた。
黒銀色の金属で作られた腕輪。
中央には黒い魔石が埋め込まれ、その周囲へ細かな魔法陣が幾重にも刻まれている。
レオンは台座へ近づいた。
間違いない。
乙女ゲームでアルカナ迷宮の隠し部屋から手に入る魔法具。
吸魔の腕輪、アルカナ・ドレイン。
触れた魔法から魔力を吸収し、その威力を弱める腕輪だった。
吸収出来る魔力には限界がある。
限界を超える魔法を受ければ、全てを吸収することは出来ない。
それでも、魔法を使う相手との戦いでは非常に強力な魔法具だ。
「これは……」
カイルが腕輪を覗き込む。
先ほどまでの驚きが消え、その黄色い瞳が研究者の物へ変わった。
「周囲の魔力を取り込む魔法陣が刻まれてる。それだけじゃない。吸収した魔力を中央の魔石へ流す経路もある」
カイルの顔が腕輪へ近づいていく。
「レン、少し調べさせて」
「見るだけならいい」
「手に取っても?」
「駄目だ」
「どうして?」
「分解しそうだからだ」
「分解しないよ」
床に散らばったカイルの魔法具を見た後では、信用出来なかった。
レオンは台座から腕輪を取る。
腕輪を右腕へ通すと、その大きさが自動的に変わった。
隙間なく腕へ固定される。
中央に埋め込まれた黒い魔石が一瞬だけ輝き、すぐに元の色へ戻った。
「少し魔法を当ててもいい?」
「駄目だ」
「弱い魔法なら壊れないよ」
「迷宮を出てからにしろ」
その言葉を聞き、カイルは少しだけ表情を明るくした。
試すこと自体を断られたわけではないと思ったらしい。
レオンは隠し部屋を出た。
カイルも名残惜しそうに石室を振り返りながら、その後へ続く。
ボス部屋へ戻ると、カイルは最下層の床から魔鉱石を採取し始めた。
レオンは、まとめておいた大剣と杖の縄を確かめる。
緩んでいる場所はない。
採取を終えたカイルが、魔鉱石を自分の鞄へ入れた。
「これで必要な物は揃ったのか?」
「うん。もう大丈夫だよ」
その返事を聞いてから、レオンは大剣と杖を肩へ担いだ。
二つを合わせた重さが身体へかかる。
身体へ流す魔力を増やせば、歩くことに問題はなかった。
魔石を入れた麻袋は、空いている手で持つ。
カイルがレオンの肩へ目を向ける。
「本当に、そのまま持って帰るんだね」
「ああ」
「入口から街までも、そのまま?」
「運べるんだから問題ないだろ」
「そういう意味じゃないんだけど……」
カイルは小さく笑い、魔鉱石の入った鞄を持ち上げた。
レオンは開いた石の扉へ向かう。
帰還用の魔法陣が、床の上で淡く輝いていた。
アルカナの魔石。
巨大な大剣と四属性の杖。
そして、隠し部屋に残されていた吸魔の腕輪、アルカナ・ドレイン。
全てを回収した。
カイルも、目的の魔鉱石を手に入れている。
もう、この部屋に用はなかった。
「帰るぞ」
「うん」
レオンは荷物を担いだまま、魔法陣へ足を踏み入れた。
カイルも隣へ立つ。
足元へ刻まれた魔法陣が強く輝いた。
周囲の景色が、白い光に包まれていく。
次の瞬間、足元の感触が変わった。
白い光が薄れると、ダンジョンの入口が目の前に広がっていた。
外から差し込む陽光が、薄暗い通路を照らしている。
レオンは肩の荷物を担ぎ直し、入口へ向かって歩き出した。
アルカナ迷宮の攻略は終わった。
あとは持ち帰った魔石と武器を冒険者協会へ見せ、攻略記録の更新手続きを済ませるだけだった。




