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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第3章 宿場町と怪しい商人
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第29話 一年三ヶ月ぶりの王都

第3章を半分ぐらい書いたのですが

4章との繋がりが変になったので書き直してます

少し投稿が遅れます

すいません

グランツの宿場町を出発してから六日

街道の先に巨大な城壁が見えてきた

王都エルグランドその王国最大の都市

レオンは馬車の窓からその姿を眺めた


「久しぶりだな」


初めて見る景色ではない

一年三ヶ月前に王子誕生祭へ父の代理として訪れた場所だ

あの時は辺境伯家の嫡男としてそして今日は

正式な辺境伯となるために来ている


「感慨深そうですな」


向かいの席に座るゼムが言う


「まあな」


レオンは苦笑し窓の景色を眺めていた

馬車は王都へ入り石畳の道を進む

王都は多くの人々行き交う

荷馬車や竜車はグランツの宿場町よりも更に多い

一年三ヶ月前と変わらぬ賑わいだった

やがてノルディア家の王都屋敷へ到着する

長旅の疲れもありレオンは

翌日の任命式に備え早めに休むことにした



翌日、謁見の間

赤い絨毯が玉座まで真っ直ぐ伸びている

左右には王国の重臣達や騎士達が並んでいる

そしてその先に玉座に座る男を見てレオンは思わず息を呑んだ


アーサー・エルグランド


エルグランド王国第二十四代国王た

年齢は四十五歳

王家の血を象徴するような美しい金髪に澄み渡る蒼い瞳

整った顔立ちは王子であるアレクによく似ていた

だが纏う雰囲気はまるで違う

王として積み重ねてきた年月

幾つもの決断を下してきた重み

それらが自然と威厳となって現れていた

レオンは跪いた


「ノルディア辺境伯家当主、レオン・ノルディア、参上致しました」


静寂が広がる

国王はレオンを見つめていた

レオンの歳はまだ十三歳

だがその瞳には迷いが無かった

しばらくして国王が口を開いた


「顔を上げよ」



「はっ」


レオンは顔を上げた

国王は静かに頷いた


「久しいな、前に会った時はまだ幼かった」


レオンはあまり覚えてはいない

王都の夜会幼い頃に父グラニウスと共に王都に訪れた時の事だった

父上と共に挨拶を行った日の事である


「はい、幼きながらも覚えております」


国王は僅かに笑った


「そうか」


そしてその表情が真剣なものへ変わる


「まずはグラニウスの件だ」


謁見の間の空気が変わる


「余も惜しい男を失った……王国の盾であり王国最強の騎士の一人であった、心より冥福を祈る」


レオンは深く頭を下げた


「ありがとうございます」


国王は頷きそして、玉座から立ち上がった

周囲の貴族達がざわめく

国王自ら立つそれだけでも異例だった

国王はレオンの前まで歩いて行く

そして腰に下げていた剣を抜いた

謁見の間に緊張が走る

だが誰も動かない

勲章の儀に使われてい作法だったからだ

国王は剣をレオンの肩へ置く


「レオン・ノルディア、其方をノルディア辺境伯に任ずる」


「ハッ!」


「北方の守護を担い王国の民を守ることを命じる」


異例の行動であった

だが最後の言葉は就任の儀の発言と同じであった

レオンは驚きを隠しながら頭を下げ返事をしていた

陛下の言葉は重い言葉だった

グラニウスが背負っていた責務

それを受け継ぐ瞬間

レオンは真っ直ぐ前を見る


「謹んで拝命致します」


けれど迷いは無かった

国王はその返答を聞き満足そうに頷いた


「良い目だ」


そしてレオンだけに聞こえる声で言った


「グラニウスも同じ目をしていた」


レオンの目が僅かに見開かれる

国王は微笑んだ


「だが忘れるな、お前はグラニウスではないレオン・ノルディアだ」


その言葉は激励だった。

父の背中を追うだけではない

自分の道を歩めよとそう告げていた

国王は再び玉座へ戻る

そして高らかに宣言した


「ここにレオン・ノルディアを正式なノルディア辺境伯として認める!」


大広間に拍手が響く

新たな辺境伯の誕生

それはレオン・ノルディアという十三歳の少年が辺境伯に成った瞬間だった

こうしてレオンは正式なノルディア辺境伯となった


式典後

挨拶を終えた頃だった


「久しぶりだな」


聞き覚えのある声が飛んでくる

振り返ると、金色の髪と青い瞳を持つ少年が立っていた

アレク・エルグランド

エルグランド王国第一王子であった

一年三ヶ月前の王子誕生祭で出会った相手だ

レオンはすぐに頭を下げる


「お久しぶりです、殿下」


そして続けた


「まずはお詫びを」


アレクが首を傾げた


「お詫び?」


「はい」


レオンは真っ直ぐアレクを見た


「あの日の誕生祭を途中退席した件です、父の容態が急変し、失礼を承知で退出いたしました、しかし本来であれば改めて謝罪へ伺うべきでした」


アレクは一瞬きょとんとした後、苦笑した


「そんな事か」


「ですが――」


「気にしていない」


アレクは軽く手を振る


「事情は父上から聞いていた」


「むしろ来てくれただけでも十分だ」


レオンは少し肩の力を抜いた。


「ありがとうございます」


アレクは改めてレオンを見る


「正式な辺境伯就任、おめでとう」


「ありがとうございます」


「大変だろうが頑張れ」


「はい」


短い会話だった

だが変わらない気さくさに少し安心する

アレクは笑みを浮かべる


「また時間がある時に話そう」


そう言い残し、人混みの中へ消えていった




任命式は終わった

これで王都へ来た目的は果たした

だがレオンにはもう一つ気になっている事があった。

屋敷へ戻る馬車の中レオンは口を開く


「ゼム」


「はい」


「怪しい商人の情報をもう一度聞かせてくれ」


ゼムはすぐに頷いた


「現在判明している情報は四つです、若い男、各地を転々としている、貴族との取引記録が確認されていない、それと最後の目撃情報は南部フェルナード伯爵領で御座います」


レオンは腕を組む

若い男

各地を転々

そこはゲームの情報と一致しているのだが


「南か」


それは知らなかった。

ゲームではそんな話は出てこない

怪しい商人は突然現れて突然消えるそれだけだった


「理由は分かるか?」


「不明です」


ゼムは首を横に振る

レオンは少し考えた

しかしすぐに結論を出す


「まあ、各地を回ってるなら南にいても不思議じゃないか」


「私もそう思います」


ゼムも同意した

商人なのだから移動するのは当然だ深く考える必要はないだろう

むしろ気になるのは別の情報だった


「貴族との取引が無いんだよな」


「確認できませんでした」


「商人相手は?」


「多数あります」


レオンは前世の記憶を辿る


乙女ゲーム

怪しい商人

主人公

攻略対象達

確かに攻略対象ではなく主人公しか取引をして居ない感じだった

怪しい商人が貴族と取引している場面は記憶に無い

平民

商人

冒険者

そんな相手ばかりだった気がする


「貴族嫌いなのかもな」


思わず呟く

ゼムは少し考えた


「可能性はありますな、商売なら貴族相手の方が儲かります、ですがそれを避ける理由があるのでしょう」


レオンは窓の外を見る王都

ゲームの中で怪しい商人が最も頻繁に現れた場所だ

南へ向かったらしいのだが

王都にいる可能性も十分ある


「探してみるか」


「探されますか?」


「ああ」


レオンは頷いた。


そして少し考えもし本当に貴族嫌いなら

辺境伯の格好で近付いても逃げられるだけだろう


「ゼム」


「はい」


「平民の服を用意してくれ」


ゼムが苦笑する


「平民の服ですか?」


「貴族嫌いなら貴族の格好で行っても意味ないだろ」


「確かに」


「明日、街を回る」


こうしてレオンは翌日

平民の格好で王都を散策する事を決めた

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