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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います(編集中)  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第8章 帝国の大和撫子と英雄の末裔

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第254話 皇城と将軍家


ルーカスの案内でレオンとエミルは帝都の中央へ向かって歩いていた

帝都の中心へ近付くにつれ街路はさらに広くなっていく

両脇には立派な街路樹が等間隔に植えられ

白い石畳は塵一つ落ちていない

行き交う人々も商人だけではない

礼装を身に纏った貴族

豪華な馬車

帝国騎士達の姿も目立つようになっていた


「やっぱり中心部になると雰囲気が変わるな」


レオンが周囲を見回しながら呟く


「ああ」


ルーカスも頷いた


「ここから先は貴族街だ 将軍家や大貴族の帝都の屋敷もこの辺りに集まってる」


レオンは並ぶ屋敷を見渡した

どの屋敷も王国では見ない造りだった

白い壁を基調とした屋敷

赤茶色のレンガを組み合わせた屋敷

黒い瓦屋根を持つ屋敷

それぞれ形は違う

それでも街全体としては見事に調和していた


「不思議だな 全部違う建物なのに違和感がない」


ルーカスは笑う


「帝都で生まれ育つと当たり前なんだが 他所から来る奴は大体同じことを言う」


エミルも周囲を見回していた


「本当に美しい街ですね 歩いているだけで見入ってしまいます」


やがて大通りの先に巨大な建造物が姿を現した

レオンは自然と足を止める


「……これは」


思わず息を呑む

巨大な城壁 その奥には帝都を見下ろすように建つ壮麗な皇城

白い壁は陽光を浴びて眩しく輝き

幾重にも重なる黒い瓦屋根が威厳を放っている

反り返った屋根は空へ向かって優雅な曲線を描き

まるで一羽の大鳥が翼を広げているようにも見えた

一方で 城壁や櫓の一部には赤茶色のレンガが積み上げられ

堅牢さも感じさせる

さらに城内には白い石柱が規則正しく並び 美しい水路と噴水が庭園を彩っていた

異なる様式が一つとなり 長い年月を掛けて完成した芸術品

そんな印象を受ける城だった


「凄い……」


レオンは小さく呟く

王国王城とも教国の聖都とも違う

これまで見たどの城とも異なる美しさだった

エミルも目を輝かせていた


「私も……こんなお城を見るのは初めてです まるで別世界ですね」


ルーカスは二人の反応を見ると

満足そうに笑う


「だろ?親父も兄貴もこの皇城を誇りに思ってる 城は帝国の象徴だからな」


三人は巨大な城門へ近付く

門の両脇には重厚な鎧を纏った帝国騎士達が整列していた

腰には細身の剣

背筋は寸分の乱れもない

ルーカスの姿を認めると全員が一斉に胸へ拳を当てた


「第二皇子殿下」


「お帰りなさいませ」


ルーカスは軽く片手を挙げる


「ああ 客人を連れてきた 通るぞ」


「はっ!」


巨大な門がゆっくりと開いていく


ギィ……


重々しい音が響き渡る

門を潜ると広大な中庭が目の前へ広がった

色鮮やかな花々 丁寧に刈り揃えられた木々 透き通る水を湛えた噴水

その中央を一本の白い石畳が真っ直ぐ皇城まで続いている


「広いな……」


レオンは思わず見渡した

この庭だけでも ノルディア邸がいくつ建つのか分からない

歩きながら見上げる皇城は近付くほどに圧倒的な存在感を放っていた

やがて 三人は皇城の正面玄関へ辿り着く

大理石で造られた長い階段を上る

巨大な扉の前には近衛騎士達が待機していた

ルーカスが頷くと近衛騎士が静かに一礼する


「皇帝陛下がお待ちです」


重厚な扉がゆっくりと開かれた


ギィ――――


先程より更に重厚な扉がゆっくりと開かれる

レオンとエミルは静かに中へ足を踏み入れた

二人は思わず息を呑む

そこは王国の謁見の間にも劣らぬ広さを誇っていた

いや 天井の高さだけなら王国を上回っているかもしれない

白い柱が等間隔に並び

天井では黒い梁が複雑に組み合わされている

床には磨き上げられた白い大理石

その中央には深紅の絨毯が真っ直ぐ奥まで伸び 玉座へ続いていた

レオンは自然と奥へ視線を向ける

数段高くなった壇上

そこには巨大な玉座が置かれていた

白を基調とした玉座 背もたれには帝国の紋章が金細工で刻まれ

左右の肘掛けには二頭の龍を模した精巧な彫刻が施されている

威厳を感じさせながらも どこか芸術品のような美しさも兼ね備えていた

その玉座の前に一人の男性が立っていた


帝国皇帝ジーカス・ヴァルハイト 四十二歳


白い肌 肩まで伸びた美しい銀髪

澄み切った翡翠色の瞳

鍛え上げられた身体を包む純白の礼装には 金糸で帝国の紋章が刺繍されていた

王冠は身に着けていない

それでも そこへ立つだけで誰もが皇帝だと分かる 圧倒的な威厳があった

その右隣には


第一皇子 ジークハルト・ヴァルハイト


以前ノルディアで会った時と変わらぬ落ち着いた表情で立っている


左隣にはルーカスが並んだ

さらにその左右には二組の夫婦が控えていた

右側へ立つ男性は


帝国将軍 クニヒロ・スルガ


四十代半ば艶のある黒髪を後ろで一つに束ね

切れ長の黒い瞳は鋭さと落ち着きを兼ね備えていた

濃紺を基調とした礼装を纏い

腰には一本の刀を差している

背筋は真っ直ぐ伸び

静かに立っているだけにもかかわらず

歴戦の武人であることが伝わってきた


その隣には妻 コトハ・スルガ


腰まで届く艶やかな黒髪を美しくまとめ

穏やかな黒い瞳を持つ女性だった

白と藍を基調とした上品な着物姿は派手さはない

だが 自然と目を惹く気品がある

優しく微笑む姿には どこか母親のような温かさも感じられた


反対側へ立つ男性は


帝国将軍 ラメセス・アメラン


褐色の肌

燃えるような赤髪

鋭い赤い瞳

二メートル近い長身に礼装の上からでも分かるほど鍛え抜かれた肉体

白を基調とした礼装には金の刺繍が数多く施され

堂々とした立ち姿はまさに豪傑そのものだった


その隣には妻 フェルトリー・アメラン


長く美しい赤髪

宝石のように澄んだ赤い瞳

健康的な褐色の肌には首元や腕へ美しい金細工の装飾品が輝いている

白を基調とした優雅な礼装にも 金糸による繊細な刺繍が施され

華やかさと気品を兼ね備えた美しい女性だった

ルーカスが一歩前へ出る


「親父 連れてきたぞ」


ジーカスは静かに頷く


「ご苦労だった」


そして レオンとエミルへ穏やかな視線を向けた


「遠路よく参られた レオン・ノルディア辺境伯 そして教国使徒 エミル殿」


レオンとエミルは深く一礼する


「エルグランド王国ノルディア領主 レオン・ノルディアです 本日はお招きいただきありがとうございます」


続いてエミルも頭を下げた


「教国聖騎士団副団長 エミルです この度は教国使徒として参りました」


ジーカスは満足そうに微笑む


「歓迎しよう 今日は長旅の疲れを癒してもらいたい 調停は明日執り行う」


そう告げるとジーカスは右手で将軍家を示した


「紹介しよう こちらは帝国将軍 クニヒロ・スルガ そして妻 コトハ」


クニヒロは一歩前へ出る

胸へ右手を当て静かに頭を下げた


「クニヒロ・スルガです レオン辺境伯 お会いできて光栄です」


コトハも柔らかく微笑みながら一礼する


「帝都へようこそ 滞在中はどうぞごゆっくりお過ごしください」


続いて皇帝は左側へ視線を向けた


「こちらは帝国将軍 ラメセス・アメラン そして妻 フェルトリー」


ラメセスは豪快に笑う


「ラメセス・アメランだ! 教国の使徒殿!歓迎する!」


隣のフェルトリーも優雅に一礼した


「お会いできて光栄です」


ジーカスは改めて二人へ視線を向ける


「レオン辺境伯の滞在中はスルガ家が案内役を務める」


続いてエミルを見る


「エミル殿 貴殿はアメラン家が案内しよう」


突然の言葉にレオンとエミルは思わず顔を見合わせた

まさか別々に帝都を案内されるとは思ってもいなかったのである

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